夢の中の少女

【夢の中の町】 4年■組 ■■香織


 その夢は、ずっと前からよくみます。ようち園のときにはもうみてたから、たぶん、もう5年くらいみます。5年以上かも知れません。たぶん、1週間に2回か、3回くらいみます。多いときは、昨日みて、今日もみたりします。だから、私は、すっかりあの町の道なんかをおぼえています。


 夢の中の私のおうちは団地です。5号とうの303号室が私のおうちで、お母さんとお父さんと弟と4人でくらしています。


 夢の中で気がつくと、私はいつも朝のおふとんの中にいます。そうするとお母さんが「ごはんよ」と私をおこしにきます。リビングにいくと、お父さんがもうごはんを食べはじめていて、まだ小さい弟はお母さんにだっこされています。朝ごはんはパンです。本当のおうちではいつもお米なので、うれしくって2枚食べます。


 ごはんを食べたら外に出ます。夢の中にようち園や学校はありません。お父さんはおしごとに行くけれど、子どもはいつもお休みです。かいだんを走っておりて右の方に行くと公園があるので、私はよくそこであそびます。いくと先にお友だちがきていて、かくれんぼやおすなばあそびをします。お友だちは夢の中だけのお友だちで、学校のお友だちは出てきません。


 夢の中にはゲームもスマホもないので外であそびます。公園でボールあそびをしたり、大きな声でさわいでもおこられないので、外であそぶのはとっても楽しいです。この前は男の子といっしょにやきゅうをしました。夢じゃない公園でもきん止じゃなかったらいいのになと思います。公園以外では地区センターで本を読んだりたっ球をしたりします。他には池を見に行ったり、木のぼりをしたりしてあそびます。


 お昼になったらいちど帰ります。そしてお昼ごはんを食べます。お昼はカレーとかカラアゲとか私の好きなものしか出ません。うれしくってかならずおかわりをしてしまいます。


 お昼を食べたら弟とお昼ねをします。まどをあけておふとんによこになると、すずしい風がふいてきて、私はきもちよくてすぐにねむってしまいます。


 お昼ねからおきてもまだお昼くらいの時間で、私はまた外にあそびに行きます。今どはみんなでだがしやさんに行きます。私は自てん車にのれませんが、夢の中では風のように走ることができます。そこでおかしを好きなだけ食べます。弟のおみやげもかって、夕方になるまでまた公園であそびます。


 私はこの夢の中の町が大好きです。朝おきたらお母さんがいるし、もういないお父さんも弟もいるし、私の足もちゃんとうごきます。だから私は夜が楽しみです。夜になって、またあの町の夢をみられたら、私はこうしてかなしくないきもちでいられます。いつか本当に、あの町にひっこすことができたらいいな、と思います。

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