2.三人目の彼氏
「
俺は、今でも暁斗が大好きだ」
「烈火……」
執着と独占欲が見え隠れする琥珀の瞳。
その瞳は、自身の上官である
愛着と執着、独占欲――。
その視線を浴び続けていたからこそ分かる、不穏な色。
溢れんばかりの愛情の中にある剣呑な色が、その琥珀の瞳には宿っていた。
きゅ、と暁斗は唇を引き結ぶ。
ここで選択肢を間違えれば、殺されるのは暁斗か上官2名か烈火か。
烈火があの化け物じみた上官2名を殺せるとは思えない。
入隊試験で判定された階級が“大尉”という階級なのだ、佐官を殺せるなんて思わない。
特に、英暁の方は28歳という若さで大佐となってからこれまで、その地位を揺るぎいないものとしてきた。
今度、更なる昇進の話もあるほどの実力者であり、そんな彼が烈火に後れを取るなんて考えられない。
癒月にしても、彼は参番隊の中でも屈指のマッドな軍医であり隊長なのだ。
少佐になったのはつい最近であれど、その治療に特化した異能を扱うのは正に“天才”。
こちらを殺すのも烈火ではきついであろうことは窺える。
という事は、だ。
この現状、暁斗が一番危惧するべきは。
“俺が愛してるっつってんだろ! それが分からないなら、体に教えるしかねぇな?”
その言葉で殺されるという未来。
ヤンデレは手に入らないものを殺す習性がある、というのは何処で聞いた話だっけ。
現実逃避を始めた脳が危険信号を送ってくる。
恐らく、暁斗が本気で殺しにかかれば烈火くらいは殺せるだろうか。
それでも、刺し違えがいい所ではないか。
まだ、死ねない。
少なくとも、家督を乗っ取り、父親を先祖の元へ送るまでは。
まだ、死んでも死にきれない。
ふーっと、息を軽く吐く。
そして、意を決した暁斗は烈火に微笑んだ。
「烈火……、その気持ちは凄く嬉しいです。
いつまでも貴方に守られていたい、僕もずっとそう思っていました」
「暁斗……!」
「ですが」
暁斗の言葉に表情を明るくした烈火だったが、彼の続きそうだった言葉を暁斗は遮った。
これは前もって言っておかなければならないことだと自分に言い聞かせる。
その後で自分がどうなるのかは、烈火の性格次第だろうか。
とにかく、暁斗は視線を落として言葉を紡いだ。
「僕は既に、英暁兄様と癒月少佐のモノなので……。
その、半年前からずっとそういう関係で……。
お二人も僕を深く愛してくれているので、どちらか選べなくて……、貴方のことも多分、そうなると思います」
「……」
長い睫毛を伏せがちにして呟くように言えば、烈火からの反応はなかった。
そっと彼の方へ視線を向ければ、衝撃を受けたかのように微動だにしない彼がそこにいたのだ。
怒るでも、キレるでも、喚き散らすでもなく、ただ無表情の彼がいた。
暁斗は話を続ける。
「優柔不断だと自分でも分かっているのですが……、お二人とも、本当に僕を深く愛してくれているので、それに報いらなければ、とも思ってしまって」
「ふ、二人はそれを知ってんのか……?」
「はい。
むしろ、関係の始まり自体はお二人が僕を愛したことにあるので……、納得もしています」
「……」
暁斗の言葉の後に沈黙が訪れる。
子供の頃から――暁斗が生まれた時からずっと一緒だった。
自分よりも小さい暁斗。
暁斗が女であるという事は“彼女”が生まれた時から知っていたし、暁斗のことで知らないことはないと言えるほど暁斗のことが好きで。
本気で暁斗の騎士になろうとしたのだ。
気が付けば、暁斗の事しか見えていなかった。
暁斗が廃嫡され婚約者を宛がわれた時だって、暁斗と離れていた時間だって。
“彼女”を想わなかったことはなかったのだ。
漸く暁斗を守れるほど強くなれて、これで暁斗を嫁に迎え入れることができる――と思っていたのだ。
それが、暁斗本人は男として特殊機動四隊に入隊している上に、副隊長にまでなっていて、更に二人の男が暁斗を手に入れていただなんて。
そんな話があるか!
言い様のない激情が烈火の身を焦がす。
暁斗は俺のモノなのに。
ぽっと出の奴らに暁斗を取られてなるものか――。
「暁斗」
「烈……、うわっ!」
そう思った時には、烈火の体は勝手に動いていた。
見下ろした赤褐色の瞳は驚きに満ちている。
ふかふかのベッドに押し付けた暁斗の手首は細く、力を籠めれば壊れてしまいそうだった。
「烈火……?」
軽く開いた薄紅の唇から、暁斗の小さな声が漏れる。
その赤褐色の瞳は次第に妖しい色を帯びていくが、烈火はそれに気付かない。
烈火は暁斗の耳元に唇を寄せ、囁いた。
「それでも関係ねぇ……。
お前は俺のモンだろ」
低い声が鼓膜に触れた。
その声にゾクリと肌が粟立ち、記憶よりも低くなった声にドキリ、と心臓が脈打つ。
自分を射抜くように見下ろす琥珀の瞳には、狂気と独占欲が滲んでいた。
衝動のままに重ねられた唇。
それは、暁斗の唇を貪る様に重ねられ、熱い舌が暁斗の唇をこじ開けた。
「んっ……」
息付く暇もないほど激しく唇が重ねられ、口の中を蹂躙するように烈火の舌が舐め回す。
暁斗の唇から漏れ出す吐息、その合間に聞こえる熱の篭った声に、烈火の理性は溶けていく。
このまま、暁斗の全部を奪ってしまえば、“彼女”は自分のモノになるだろうか──などと。
ずっと焦がれ、待ち望んできたのだ。
“彼女”と思いを分かち合う日を。
“彼女”だけをずっと想って、今まで来ていた。
唇を離せば、烈火と暁斗の唇を繋ぐように玻璃色の糸が繋がり、刹那、それは脆くも切れた。
お互いの息の荒さがキスの激しさを物語っていた。
「烈火……」
肩で息をする暁斗は、烈火の琥珀色の瞳を見つめる。
見つめ返す瞳に映るのは、暁斗の姿のみ。
乱れた黒髪、仄紅く染まった白い頬。
その赤褐色は挑発的に細められた。
「貴方が僕を昔みたいに守ってくれるなら……、愛してくれているなら、僕もそれに応えたい。
でも、僕は誰か一人を選べないので……、それでもいいですか?」
熱の篭った声で囁くと、暁斗は首元が緩められているシャツのボタンを更に二つ外した。
すると、《姿映し》の異能が解け、浅い谷間がシャツの間に現れる。
妖艶に誘いかける暁斗は、何だか烈火の知っている“彼女”と違うようで。
それでも、“彼女”の誘惑に抗えなかった。
晒された細い首筋に引き寄せられる様に、烈火は暁斗の首筋に唇を寄せる。
「暁斗……、それなら、俺がお前を攫ってやる。
癒月も英暁も見られなくなるくらい……、俺でいっぱいにしてやる」
「なら、貴方の愛で僕を守って……。
僕の騎士様?」
「ああ……、お前は俺のモノだ」
烈火の熱い唇が首筋をなぞりながら、時折強く吸い付いてくる。
彼の唇が離れた先には、彼の執着の証である鬱血痕が鮮やかに刻まれていた。
「ん……っ、烈火の唇、熱い……」
熱い吐息が肌をなぞる度、暁斗の背筋を快楽が伝い、ゾクリ、と肌が粟立つ。
熱を帯びた声に理性をかなぐり捨てた烈火は、暁斗のシャツを乱雑に剥ぎ取った。
春先のまだ肌寒い空気に触れた白い肌がその寒さに微かに震えるが、それは間もなく始まった烈火の愛撫により、燃えるような熱を帯びていく。
「烈火ぁ……、あ、それ、気持ちいい……っ!」
烈火の手が強く、控えめな胸を揉みしだく。
もう片方の胸は突起を口に含み、舌で執拗に転がす。
それだけで、暁斗は甘い声を吐息の合間から漏らし、体を震わせた。
“彼女”は意外と敏感な様で、烈火の力強く情熱的な愛撫にも健気に体を震わせ、愛らしい声を漏らす。
それに気を良くした烈火は息も荒く暁斗の腹部を撫で、その手をスラックスに掛け、そのまま一気に下着と共に脱がせる。
露になった暁斗の秘部からは、透明な蜜が伝っていた。
そこに触れれば、暁斗は体をビクリ、と震わせる。
「めっちゃ濡れてんじゃん……、暁斗、敏感すぎ。
堪んねぇな……」
「ふ……っ、ん、んぅ……」
陰核を舌で転がして軽く吸えば、暁斗の腰がビクン、と震えた。
そのまま舌で、唇で陰核を可愛がりながら、その下の花弁を開いて、蜜が滴る小径の奥へ指を進ませる。
暁斗の中はきつく締め付けてくるものの、蜜で満たされたそこは烈火の指を拒むことなく受け入れていく。
熱い内壁の中で烈火の指が蠢く度に、暁斗はそのビリビリと身体を這う快感に腰を浮かせ、甘い声を上げた。
「あぁ……っ!
ダメ、烈火……、それ……っ!」
快楽に首を振れば、暁斗の赤みを帯びた黒髪が白いベッドに散らばり、赤褐色の瞳が潤む。
シーツを握る手に力を込め、必死で快楽に耐えながらも、暁斗の心中は何処か冷静だった。
(烈火を受け入れたのは良いけど……、英暁兄様達に知られたらどうしようか……)
英暁と癒月の時は彼らが一緒に暁斗を組み敷いてきて、なし崩し的に3人で致す結果になり、英暁と癒月はお互いの存在を認めながらどうにか均衡を保ち、結果的に2人に愛される事になったのだが。
流石にこれは浮気にも程があるだろう。
2人をどう丸め込もうかと暁斗は考える。
2人を上手く丸め込めなければ、暁斗が殺されるか、烈火が殺されるか……。
後者はともかく、前者だけは絶対に避けなければならない。
暁斗はまだ、死ぬわけにはいかないのだから。
「あっ!!」
思考する事に気を取られていた暁斗は、突然来た強い快感にビクン、と体を仰け反らせる。
いつの間にか、烈火の唇が暁斗の耳元に来ており、烈火は暁斗の耳朶を軽く噛んで囁く。
「俺に集中しろよ。
まさか、こんな時に英暁と癒月の事を考えてるんじゃないだろうな?」
「んぅっ!
そんな、こと……っ!」
烈火の瞳が愛と執着に揺れ、その中に嫉妬が混じる。
こうして暁斗を抱いても尚、“彼女”の心には自分は入り込めないのか。
暁斗の心は既に、あの二人のモノとなってしまったのか。
身を焦がすような感情は、烈火の心を蝕んで行く。
そしてそれは全て、暁斗へと向かって行くのだ。
「暁斗の騎士は俺だけでいい。
癒月や英暁なんか、いらねぇだろ?」
「んぁ……っ!」
熱い吐息が太ももに触れ、唇がそこを吸い上げる。
強く吸いつかれたそこには烈火の執着の痕が鮮やかに残っていた。
それを満足げに見やり、暁斗への愛撫を再開する。
烈火の指が増え、秘部を深く探って奥へ奥へと進んでいき、暁斗の密口からは蜜がシーツへ滴る。
指が内壁を抉る度に暁斗の体がビクビクと震え、暁斗の意思とは関係なく甘い声が止まらない。
「あぁ……っ、烈火、ダメ……、ダメ……っ!」
烈火の激しい愛撫に赤褐色の瞳が潤み、シーツを握る手に力がこもる。
赤く火照った身体を仰け反らせ、暁斗は快楽に溺れるように喘いだ。
「暁斗……、俺、もう我慢できねぇ……。
お前が欲しい……!
俺のものでいいよな、暁斗……?」
「烈火……、本当にいいのですか?
僕は癒月少佐と英暁兄様の……っ、んぅ……!」
情欲にギラつく琥珀色の瞳に、再び確認するように言葉を重ねるが暁斗の言葉は烈火により物理的に塞がれてしまった。
奪うように重ねられた唇は、乱雑に熱く口付けを繰り返してくる。
それは、「お前は俺のモノだ」と言っている様で──。
暫くして、唇が離された。
見下ろしてくる烈火の瞳には、独占欲が揺れており、剣呑な光を帯びている。
「知るか、関係ねぇ。お前は俺のだ。
お前は俺だけ感じてればいいんだよ……っ!」
半ば強引に暁斗の脚を開き、烈火は暁斗の蜜壷へと自身の熱を捩じ込む。
快楽と共に体に伝うのは、暁斗を自身のモノとできた高揚感なのか。
とにかく、烈火は暁斗の熱に眩んでいき、もう制御など出来なかった。
ただただ、暁斗の体を容赦なく貪るように穿つのみ。
心地好い熱と締め付けに烈火の唇からは、今まで以上に荒い息が漏れていた。
「あぁ……っ、烈火……、烈火ぁ……っ!」
「は……っ、暁斗……、お前の中、締め付けてきて……っ!」
「う、ん……っ、んんぅ……っ!」
烈火の熱が暁斗の最奥を暴れ回るように揺さぶる度、暁斗は深い快楽に溺れていく。
指が白くなる程シーツを握りしめ、身体中を駆け巡る快感に知らず知らずの内に甘い声が唇から漏れ出す。
烈火の熱は暁斗の思考をぐちゃぐちゃに掻き回していった。
深く沈みながら情熱的に身体を揺さぶってくる烈火の動きに合わせて、暁斗の身体が揺れる。
暁斗の中からは蜜と烈火の先走りが混ざったものが溢れ出し、シーツを濡らしていた。
「あぁ……っ、烈火!
んあぁ……っ、あっ、……っ!」
ゾクゾクと背筋を這う快感に、暁斗の瞳からは涙が滲んでいく。
体を重ね始めて幾度となく英暁と癒月に抱かれた身体は、暁斗の元の気質も相俟って快楽に弱かった。
一度、その味を知ってしまった暁斗の身体は、快楽を拾うとそれに抗えなくなってしまうのだ。
だからこそ、烈火を抵抗なく受け入れられたというのもある。
そうでなければ、幾ら生き残るためとはいえ、自身の身体を差し出せていた筈がないのだ。
それを知ったのは、癒月と英暁と初めて夜を共にした時。
それまで知らなかった自分の一面をこじ開けられたのだ。
「んあ……っ、あ、んん……!」
暁斗の甘い声が部屋に響く中、烈火の動きは激しさを増していく。
その激しさに縋るように暁斗の両手が烈火の背中に回され、その広い背中に爪を立てる。
腰に絡み付いた暁斗の両脚を開いて、烈火は暁斗の内壁を抉るように激しく突き上げた。
部屋に粘度の高い水音と肌がぶつかり合う音、艶めかしい暁斗の嬌声が響き、それが余計に烈火を興奮させる。
「暁斗……、愛してる……っ!
癒月も英暁も関係ねぇ……、お前は俺のモノだ……!」
今の彼の身を焦がすのは、狂おしいほどの嫉妬なのか、それとも、暁斗への異常な愛情なのか、その両方か。
それはもう分からないけれど、“彼女”へ抱く感情は確かな愛だった。
それが歪んでいたって、綺麗でも醜くても、同じ感情なのだ。
そこに美醜も正も邪もなく、ただ純粋な歪んだ愛を
愛情の押し付けでも何でも、“彼女”が応えてくれるなら、それでいいのだ。
烈火の瞳は、生まれたままの暁斗を映していた。
紅色の頬は快楽に染まり、それでも暁斗の瞳には今、自分だけが映っている。
それに心が満たされるようだった。
激しくも心地好い熱に溺れていた二人は、その音に気付かなかった。
微かに聞こえていた筈のドアが軋む音は、部屋を満たす淫靡な音に掻き消されていたのだ。
「おい、なんだこの状況……」
不意に聞こえた、この場に居ない筈の声。
その声に、暁斗は強制的に現実に引き戻される。
声の方へと視線を向ければそこには英暁と癒月の姿があり、二人の視線は烈火と暁斗へ向けられていた。
英暁の翡翠の瞳は嫉妬で燃え、癒月の瑠璃色の瞳は執着と嫉妬の色を宿している。
「おい烈火、てめぇ暁斗に何してやがる……?」
英暁の声が低く響き、烈火を鋭く睨みつける。
癒月も英暁も一仕事終えて、漸く暁斗の部屋へと訪れてみれば、暁斗の部屋の前で英暁が感じた風は暁斗の風と烈火の風。
それも、烈火から感じる
風属性の異能を持つ英暁は、風を読み取る能力に長けているのだ。
それが指す所はつまり、暁斗の部屋から、ただの幼馴染同士が談笑をしているような雰囲気ではない様子が英暁にはダイレクトに伝わっていた。
暁斗がそれを受け入れているという事も。
そして、嫌な予感と共に癒月と扉を開けて部屋へと入ってみれば、暁斗が烈火に抱かれている場面と出会してしまった、という訳。
その烈火は、英暁と癒月の登場にも関わらず、暁斗をそのまま抱き続けていた。
「霧島大尉、初対面で随分と大胆ですね。
暁斗君を離す気は……ないか」
物腰柔らかく微笑む癒月だが、その瞳は明らかに嫉妬の色を滲ませていた。
いつもと変わらない穏やかな声は、何処か冷たさを孕んでいる。
そんな二人へと振り返り、動きを止めた烈火の琥珀色の瞳が挑発的な光を宿して彼らを一瞥した。
「お前らなんかに暁斗は渡さねぇ。
暁斗には俺だけで十分だ!
なぁ、そうだろ、暁斗……?」
嫉妬の色を帯びていた瞳は自身の下に組み敷いている暁斗を捉えると、狂気に満ちた恍惚の色を宿し、暁斗を見下ろす。
低い声は暁斗に問いかけているモノの、声の中に微量の狂気の色が滲んでいた。
それを感じ取った暁斗は密かに息を呑み、烈火の仄昏い琥珀の瞳を見上げることしかできない。
「俺から暁斗を奪う気か?
暁斗は俺のモノだ!」
烈火に抱かれ、甘い声で喘ぐ暁斗の声にあらんばかりの力で拳を握り、身を焦がすような嫉妬に英暁の身体が震える。
怒鳴りながら一歩踏み出そうとした英暁を制し、癒月が先に暁斗へと歩み寄った。
「暁斗君……、新しい男に抱かれて、どんな気分ですか?」
執着と嫉妬の色を宿した瑠璃色の瞳が暁斗のあられもない姿を映す。
しかし、問いかけてくる声は興味深いものでも見たかのような、何処か状況を楽しんでいるようにも感じるような声だった。
細められた瞳が何を考えているのか分からず、暁斗は底知れない恐怖に癒月の瞳を見返すばかり。
「癒月……さん……っ」
「君が誰に抱かれようと、君は僕のモノだという事を忘れないでくださいね……?」
「ん……っ」
癒月の指がさらりと汗ばんだ暁斗の頬を撫で、唇にキスを落とす。
そのキスは独占欲の表れか、または懇願だったのか。
とにかく、今は新たに現れた恋敵へと抱く嫉妬心は、癒月の心に少なからず焦りを生み出した。
そんな癒月の気も知らないで他の男に抱かれ喘ぐ暁斗だったが、ここで暁斗は烈火にしがみ付くように彼の背中をかき抱く。
「んあぁ……っ!
烈火、もう、僕……、だめ……っ!」
「っ、暁斗……っ!」
限界を迎えたのは烈火も同じだったようで、暁斗は自身の中で熱い奔流が迸るのを感じながら自身も絶頂を迎える。
ドクドクと体の奥が脈打つような感覚に暫く放心する暁斗。
フワフワと体は何処か宙を漂っているような感覚で、その赤褐色の瞳は虚ろだった。
どちらのモノと分からないような荒い息遣いが鼓膜を叩き、熱い吐息が暁斗の唇を塞ぐ。
「ん……、んぅ……」
烈火の舌が暁斗の咥内を労わるように舐めあげ、暁斗もそれを受け入れていた。
「暁斗……愛してる。
お前はもう俺のモノだ。もう、誰にも渡さない……」
暁斗の頬を撫でる烈火の恍惚の瞳には、愛と執着を混ぜたような色が見えているが、今の暁斗にはもう、どうでもいい事だった。
現状を英暁と癒月に見られたのだ。
彼ら次第では、烈火もそうだが、自分もどうなるのか分からない。
行為後の重怠さを感じながら、暁斗はゆっくりと意識を闇の方へ傾けて行った。
暁斗が眠りに落ちた後の部屋では、英暁と癒月が烈火を睨みつけ、烈火も負けじと彼らを睨み返す。
その場には、暁斗への執着心と、暁斗を狙う者への嫉妬心が渦巻き、部屋は異様な雰囲気を放っていた。
【R18】狂愛戦線 俺夢ZUN @zun_oreyoume
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