第4話
今日は朝から雨模様、気分が上がらず偏頭痛もあるので憂鬱だ。
そして
結局他人のアカウントでアナリティクスは見ることができなかった。
つまりだ、黒瀬薫は俺の推し黒海オルカなのではないのか。
憂鬱と疑問が入り混じったモヤモヤした気持ちで電車に揺られ学校に着く。
「おはよ、ジメジメしてて嫌だね」
「だな」
ん、珍しく黒瀬さんが早くに来ている。だが流石にここで聞くのはやめておこう。
「おはよう黒瀬さん。今日の帰り少しいいかな」
「おはよ白石くん。大丈夫だよ」
話す約束は取り付けたがどう切り出そう…
授業中に何か浮かべばいいんだが…
でも…もし本当に薫さんがオルカだったのら…サインくらい貰ってもいいかな…
だめだだめだ、いくら同級生だったとしても弁えねば…厄介リスナーと思われたくない。
そうして考えているうちに放課後、空き教室で二人きり。
「それで、話って何かな」
「単刀直入に話すよ、君は黒海オルカなのかな」
結局上手い入り方が思いつかなかった。
彼女は数秒複雑そうな表情を浮かべ、切り出す。
「とりあえずなんでそう思ったのかな」
「配信アプリのアナリティクス。あれって本人しか見れないはずだろ?」
またも複雑そうな表情を浮かべる黒瀬さん。そうして数十秒の沈黙が流れたのち、先に沈黙を破ったのは黒瀬さんだ。
「そう…だよ…」
「やっぱり」
運命が…もし存在しているなら…
「黒瀬さんが…」
神様が…運命を操っているのなら…
「黒海オルカ」
神様は今、どんな顔をしているのだろう
「あはは…バレちゃったか〜」
「勿論だけど太一にも秘密にする。誰にも口外しないって約束する」
「案外すんなり言ってくれるんだね」
「だってオルカは大切な最推しだから」
「説得力が違うな、最古参は」
こうして俺、白石晶と黒瀬薫こと黒海オルカの奇妙な縁が始まるのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます