第28話 やり過ごす

やり過ごす。


パーキングがそこにあるのはわかっているのに、ないふりをする。


やり過ごした後、次は20分後、と鮮明に浮かぶ。


ウインカーを出して、そちらへ入っていきたい。


スムーズに。


何も考えず。


娘の歌が始まるまで、たっぷり時間はある。


パーキングでゆっくり眠れる。


けれど、時速80キロで、ほぼ車線変更はしないで左車線を進む。


20分はあっという間に過ぎる。


前を走っている車がパーキングに寄りませんように、と願う。


もし前の車が流れたら、私もついていってしまう。


それが当然かのように。


前を走る軽自動車はウインカーのウの字も出さなかった。


前の車に習って、二つ目のパーキングもやり過ごす。


パーキングを示す矢印が、あっという間に後ろに過ぎていく。


こういう願いは簡単に叶うのにな、と小さく笑ってしまう。


というか、沖縄の短い高速道路でパーキングに寄る車はすごく少ない。


肩の力が抜けた。


だから、肩に力が入っていたことがわかった。


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