第27話 何かしないと

インハイで娘の軟式野球が終わったとき、推薦がきていた内地の大学へ進学しないと娘が言ったとき、何かしないと、と慌てた。


幼い頃に習っていたこともあり、三線教室へ通い始めた。


ママさんバレーも、今までは行ったり行かなかったりだったけれど、休まずに週2回の練習に参加するようにした。


今まで、こども達のご飯を用意すること、生活を整えること、が私の生活の中心だった。


夜ご飯と翌日の朝ご飯、お弁当のことを考え、毎日買い物をする。


お米とお味噌だけは絶対にきらさないようにする。


一回、洗濯を後回しにしたら、ものすごい量の汚れた服がたまるので、とりあえず帰宅したら回す。


毎日掃除機をかけないと髪の毛が目立つので、片付け、掃除機は必ず。


土日の送迎。


週末は基本、寝ている夫は当てにならないので、うまく予定を立てる。


3人とも強いチームにいたので勝つことが多かった。


饒舌なこどもを車に乗せて帰るのは喜びだった。


何もしていない自分にまで価値があるようにさえ感じた。


でも、優勝しない限り、負ける日が来る。


自分を責める長男、チームメイトや審判のせいにする次男、誰のせいにもしない娘。


長男のときはどうしても一言、口を出して、余計に嫌な思いをさせてしまった。


次男へそんなことを言ったら暴言を吐かれるので、何も言わないようにした。


娘に言ってものれんに腕押しなので、全く口出ししなかった。


夫はそのへんが奇跡的に上手い。


たまにしか観にこないのに、それも試合全てを観ていないのに、酔っているのに、こども達が素直に耳を傾ける。


話す内容、言い方、タイミング。


無意識なんだろうけれど。


こども達が独立し、夫も寂しさはあるのだろうけれど私程ではない。


小さな会社の上司がであり、仕事はほとんど定時に終わり、毎日のように飲みに行ける。


今のところ健康で、親の介護もない。


夫は、私のように、無理やり何かをする必要性を感じていない。



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