第25話 やり取りはおしまい
『お母さん、何か、あった?』
タブレットで時間潰しの動画を見ているとき、娘からLINEがあった。
『なんで?』と動画を見ながら、スマホで打つ。
『最近、来ないし』
いそがしい、と文字を打ったらスタンプが出てきたので、それを返した。
『バレーは行ってるの?』
同じスタンプで「うん」があるので、それを返す。
電話で話したい。
小さな機械を持って、これだけを見て文字を打たなければいけない。
だからといって、音声入力は気恥ずかしい。
『インスタ見てる?』
私が誰の? と返す前に、『 車の人の』の娘から送られてきた。
一日に何度もチェックしている、と正直に言いたくない。
この逡巡している時間も、娘にとっては答えになるのだろう。
『たまに』
私が送ったのと、
『今週末のオープンキャンパスで歌うから来てね』
娘からのLINEがほぼ同時だった。
母は音声入力もできないのに、娘は大勢の人の前で歌う。
OK、のスタンプを押す。
『お父さんも来てほしいけれどな〜』
ムリ、のスタンプを押したら、だよね、のスタンプがすぐに返ってきた。
これで、娘とのやり取りはおしまい。
動画を見ながら、娘から追加でLINEがこないか、スマホを視界に入れる。
違う家に住んでいたら、ほんの少ししか娘とつながることしかできない。
かといって、家にいたら「自分のことは自分でして」とイライラする。
こどもがこどもでいてくれる時間は本当に短い。
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