第6話 背中が楽しいといっている

長女のアパートからの帰り、パーキングの案内表示が輝いて見えた。


昔みたいに寝不足ではないのに、と思いつつ、ウインカーを出して入っていく。


誰かに急かされるようにシートを倒し、タオルを瞼の上に乗せる。


脚が震え、眠くなくてもすぐに眠れるんだ、と思った。



高校のグランドでノックを受けている。


夫だ。


今より細い、圧倒的に。


息子達に似ているけれど、違う。


あの子達には私の血が入っていて夫よりも丸みを帯びている。


高校生の夫がその場で軽く飛び跳ね、瞬時に動き、グラブでボールを引っ掛けるように捕球して右手に持ち替えてファーストへ投げる。


右に左に動く。


背中が、楽しいといっている。



夢だとわかっていた。


娘と夫の話をしたから、と。


でも、このままずっと見ていたい、目覚めたくないと強く思った。










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