第8話 武器にしたのは“育てる偽りの愛”
友達もいらない。
彼氏もいらない。
私に必要なのは、結果だけ。
毎月売上や指名数での競争。
数字に表れる世界。
私はいつの間にか
ホステスという仕事にのめり込んでいった。
だけど
——私の武器だった「病み営業」では、売り上げが全く伸びない。
その頃からインスタグラムが流行し始め
SNSで知名度を上げるキャバ嬢が増えていた。
彼女たちのストーリーを見ると
どんな接客をしているのか
どんなふうに売上を上げているのか
そのやり方に衝撃を受ける。
莫大な金額を動かす姿に
私の中に「憧れ」が芽生えた。
—私も真似してみよう
そう決意して、私は“病み営業”をやめた。
目指したのは
「会ったら元気になる存在」
明るくポジティブで疲れを癒す
パワーを与えられるホステスになること。
この頃の私がイメージしていたのは
「ヒーローインタビュー」
お客様への質問を止めない。
興味を持った“ふり”
徹底的に褒めて、掘り下げる。
お客様の話に全力を注ぐ。
——「もっと教えて」
だんだんと
私は「色恋営業」へと変えていく。
結果は明らかだった。
単価がどんどん上がっていく。
わがままを言えば
叶えてくれるようになった。
むしろ——
「わがままを叶えさせられてる俺って、かっこよくない?」
そんな感覚すら持たせるような
“育てる営業”を始めた。
私は新しいフェーズに入った。
指名数と売り上げの作り方を知った。
けれど、その先で
私は“夜の世界”におけるタブーを犯していく——
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