第6話 銀座がくれた居場所と孤独
学校に通いながら
夜は銀座でホステスとして働く日々。
周りの友達は彼氏と遊び
サークル活動をして
普通の学生生活を楽しんでいた。
私は毎日携帯を握りしめて
必死に営業の連絡を送り続けていた。
大学に入ってからも私は
高校時代から
仲の良かった友達と頻繁に遊んでいた。
3年間ずっと一緒に過ごしてきた彼女には
銀座でホステスをしていることも
包み隠さずに全てを話していた。
華やかだけど孤独な夜の仕事。
そんな世界の中で
彼女と会って過ごす時間が
私が“素の自分”に戻れる
貴重なひとときだった。
でも、少しずつ、何かがズレ始めていた。
一緒に旅行に行った時、ご飯を食べた時、
「今手持ちないから今度払うね」と。
いつまで経っても支払われることはなく
言い訳ばかりが続いていた。
最初は気にしないようにしていたけれど
財布を持ってこない事が続く――
気づけば私は“友達”ではなくなっていた。
それでも
高校3年間の思い出を否定したくなかった。
あの頃の楽しさまでもが
嘘になることが、ただ怖かった。
だけど、もう自分を誤魔化せなかった――
何も言わずに彼女とは縁を切ることを決めた。
涙が溢れて止まらなかった。
そこから私は気が狂うように
よりホステスの仕事にのめり込んでいった。
友達からサークルや合コンに誘われても
「お金を払ってくれないのに、なぜ話さなきゃいけないの?」
そんな感覚にさえなっていった。
“お金を払って私に会いに来てくれる人”
を大切にしたいと思うようになり
プライベートで男性に会うことは一切やめた。
朝は学校へ行き、夜は銀座へ。
深夜3時に帰宅してシャワーを浴びてすぐ寝る。
そしてまた朝が来る。
そんな毎日を繰り返すうちに
確実に
“19才の女子大生”ではなくなっていった。
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