第11話 凌雲館高校・共闘遊戯会、開幕(前編)

 凌雲館高校では、夏休み前の7月に、体育祭を行う(旧名・凌雲館高校共闘遊戯会)。種目は他の高校と対して変わらない、凌雲館高校、全校生徒800人が、紅白に分かれ戦う、ちなみに去年の大会はと言うと、紫陽と紫苑が同じ、白組だった為、凄まじかったらしい、こと、騎馬戦に至っては、紫陽の騎馬と、紫苑の騎馬が、校庭中を縦横無尽に走り抜け「鬼馬戦」と化したらしい。その二騎は、五分で紅組25騎を殲滅したらしい。伝説となっている。そして白組の圧勝。

 そして、今年は、デュアル・プリンスは紅白に分かれた、白組総大将・二年燦之宮紫陽、紅組総大将・二年燦之宮紫苑、二人がグラウンドの台に登壇し、校長先生に選手宣誓を行った、校長は

「今回は、君たちは別々なんだね……すごい期待しているよ」

「はい!先生のご期待に沿えるよう精進いたします!」

こうして150年近くの歴史を誇る、由緒正しき、凌雲館高校共闘遊戯会が、いまここに幕を開けた。

「紫苑、宜しくな」

「紫陽こそよろしく、ふふ、楽しみだね、去年つまらなかったもん」

「……ん~まあ俺も同じだな」

すると、白い鉢巻を巻いた可憐な少女三人が、こちらに向かって来た。

「紫陽お兄様、紫苑お兄様、壇上での御挨拶、素晴らしかったです。妹として鼻が高いですわ、ふふ」

「おや、そういえば、紫月と、琴音さんと、碧月さんは、俺と同じ白組なんだね、頼もしいな」

「えぇ、バッチリ応援しますからね、あ、もちろん紫苑お兄様も、ふふ」

「なんか、ついでみたいな言い方しないでよ、寂しい……」

すると碧月は……

「私は、国をたがえても、紫苑師匠一筋ですので!安心してください」

「はは、うん、ありがとう!」

「では、お兄様方、私たち三人、最初の種目がありますので、ごきげんよう!」

「うん、頑張ってな、紫月と琴音君、碧月君」

三人はトテトテと会場に向かって行った。

「紫苑、彼女たち最初の競技は?」

「うんとね、『玉入れ』みたいよ」

「……え、まあ伝統的行事だよな」

「見に行こうよ、まだ僕たちの種目まで時間あるし」

「たしかにそうだな、応援に行こう」

競技会場に着き、どこか懐かしい想いが込み上げる。

紅組・白組、双方30名が、構え、笛の音を待つ、そして先生のホイッスルが鳴った。みな必死に自軍の籠に玉を入れようと必死だ、……と気になる白組の女生徒三人が目に留まった、遠いので何を話してるのか分からない。

場所は、乙女三人の位置に移る、碧月は、ほいほいと、籠に投入する、琴音は、

「紫月さん、数学の『放物線』をイメージして、簡単で良いですよ、投射角をイメージ、着地点をイメージして、その誤差を逆算すれば、いま、どこに、どの高さで『放る』か、イメージ出来るのでは?」

なんとなくだが、言われた通りに、玉を放ると籠に入る、嬉しかった……すると、琴音と、碧月に抱き着かれた、嬉しかった、人に触れられるのが、心地よく感じた、紫月の初めての体験だった、そして競技時間残り8分、紫月、琴音、碧月の三人は、籠に、玉を放った、『精密に』……紅組の連中は心底焦った……

「し……白組の籠……マンパンじゃねえか……勝てねえよ……」

これにより白組の勝ちは頂いたが、障害物競走では、紫苑に依る、障害物への対策措置により紅組が勝利。


 そして、いよいよ騎馬戦が始まる……

双方、家柄など無視して、己の武勇を誇示したい、有志の男子生徒が挙手をする、男と男の『戦い』であり、『闘い』、白組・紅組・双方20騎が、男のプライドと意地を掛けた『戦い』である。

凌雲館高校のグラウンドに、『白の紫陽軍、20騎』対し、『赤の紫苑軍、20騎』が

対峙していた、紫陽と紫苑には、お互いの頭脳戦が刹那に交わされていた。

(…………府に落ちん……なんだこの構成は……これだと、俺の騎上する一騎でケリがつくぞ……)

(ふん、多分に考えてることは一緒だ、まず最初に、全校の紅白のメンバー分けの時、

ラグビー部主将・紅崎浩二、柔道部主将・稲森藍斗、剣道部主将・黄村和正……そちらに行ったのは把握していた、次に、紫陽は、三人は、ここの場に、騎馬として、構成してくること、『一騎当千』を創ってくること……まぁ、僕のくじ引きも悪かったのも、みんなに申し訳ないけどね、ふふ)

(紫苑……俺は一騎当千の騎馬を遣い蹂躙するんだぞ!それで良いのか⁉)

(…………おぃ、紫陽、いつまでも、僕をみくびってんじゃないよ……)

紫陽が一騎当千の騎馬をつくり、他の力を平均的に構成したのに対し、紫苑は、全員を平均値に構成した、ただし、騎乗の者には、判断力の優れた者を騎乗させた。遊撃部隊として、縦横無尽に動いてもらうため


その様子を見ていた者たちは、

「も、もうこれ、源平合戦か戦国絵巻じゃねえかよ……もう空気に押し潰されるよ」全体の気迫が最高潮に達したなか、『はじめ‼‼‼‼‼‼』のホイッスルが鳴った、のちに、ある生徒は語った……、あの笛は、ホイッスルではなく、法螺貝の『龍鳴』に聞こえたと……

お”お”お”わ””わ”~~~~紫陽の最強騎馬が紅組に潰しにかかる、その合間に紫苑たちは、白組の、末端から潰しにかかる、紫陽は眼前突破を予測していたので、ほっとした、だが、まもなく白組の騎兵は、相当数の数を減らした。

そこに紫苑の騎兵が登場した。

「なんだ、奇襲か、?」

「そう。思い込んだ紫陽の負けだ」

いま、紫苑の騎馬になってくれてるのは、テニスの王子様もといテニス部主将の『桃崎 奏』、華道部・部長『藤波 匠』、そして茶道部・部長・『西園寺 円』、紫苑がなぜこの三人を選んでいたかと言うと、皆、武術の嗜みがあるのを、知っていたからだ。


そして現状、残っているのは、最強の紫陽たち騎馬と、見た目最弱の紫苑たち騎馬である。そしてひるまず紫苑は、三人に言葉を掛け、三人と共に突っ込んでいった!

紫陽はひるまず、

「もらった‼‼‼‼」

と紫苑の額の鉢巻に手を伸ばした……

「かかったな……スキル、『柳舞やなぎまい』」

ちなみに、この技も燦流古式武術ではなく、対・紫陽のために編み出した紫苑オリジナルである。

紫苑は、ぐいんと、目一杯、背をそらし、紫陽の手をかわした、そして、起き上がりの、すれ違いざま紫陽の鉢巻を……『はぎ取った』、総大将の鉢巻の得点は五倍に跳ね上がる、紅組は、あらためて優位にたった!

ホイッスルの音が上がる

「勝者‼‼‼紅組!」

紫苑とその脚になってくれた三人は足元から崩れた、

(あぁ~勝てた~……)

すると騎馬になってくれていた三人が

「見事作戦が刺さりましたね」

「私は身近に拝見出来て誉れでした」

「打ち上げという、言葉は相応か分かりませんが、四人で御茶の席を御用意して喜びを分かち合いましょう、ふふ」

「いいですね、その前に軽くテニスして、汗をかきましょう、はは」

「では、また日取りを決めて……僕、桃崎は、燦之宮様と、接点が出来て嬉しいんです、政治的な打算無く、ふふ」

藤波も、

「確かに、親の打算はウンザリですね、いわゆる『ぶっちゃけ』で、語れる友が欲しいのですよ」

「確かに、ふふ」

「私、西園寺の者としては、『久遠寺詩子』様と『紫月』様の『お点前』を拝見したいですね、……おっと、他意はございません」

「大丈夫ですよ、詩子さんにも、紫月にも伝えますので」

「ありがとうございます……」

紫苑は、

「まあ、この後の後半戦、僕たちは、あまり出番ないですけど、応援頑張りましょう!」


後半戦に続く




 








  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る