第17話 禁じられた記憶

東京郊外――霧に包まれた洋館の奥。

その地下室に、封印されていた真実が目を覚まそうとしていた。



【領域外の妹の記憶】


灰原哀は、夢の中で**“自分のもう一つの顔”**を見た。

それは彼女自身――いや、「宮野エレーナ」に瓜二つの女性の姿だった。


女性「哀……まだ“戻って”はいけないわ。記憶が定着するまで……」


灰原「あなたは誰……?」


女性「私は、“あなたの母”の記憶を継ぐ者……そして、最初の“領域外の妹”」



【公安の情報室・赤井務武のファイル】


安室透(バーボン)は、機密指定解除された古いファイルに目を通していた。


安室「……赤井務武が、ミネルバ計画を追っていた……?」


そこに記された文字に、彼は言葉を失う。


《Project Minerva/記憶転写と人格複製による知性の永続化》


安室(RUMの“クレイドル計画”と一致する……!)



【FBI・赤井秀一の証言】


赤井「……俺の父は、“ある研究員”と接触したあと、消息を絶った」


コナン「研究員……“エレーナ・宮野”? それとも……」


赤井「いや、“エレーナ”は研究チームの一員でありながら、内部告発を考えていたらしい。父もその協力者だった。組織にとって最も恐れるべき存在だった」


コナン「それで、消された……」


赤井「ただ一つ、記録に残っていた音声データがある。“Cradle001は女性。知識と記憶は移植可能。倫理は、もはや問題にならない”――そう記されていた」



【ロンドン・ミネルバ研究所跡地】


領域外の妹――メアリー・世良は、焼け跡に立っていた。


メアリー「……私の肉体は“再構成”されたの。エレーナと同じ“ナノ再構築薬”によって」


世良「だからこそ、私はもう“元の自分”ではない。私の中にはエレーナの記憶が断片的に残っている」


世良「私は、“クレイドルの被験者番号002”。あなたたちの戦いは、すでに“過去の記憶”に刻まれているのよ」



【安室 × 赤井の協力】


安室「君の父親と、僕の上司だった諸星大河。二人は“裏の公安”で繋がっていた」


赤井「……だったら、今だけは共闘してもいい。“記憶を武器にした支配”を止めるためにな」


二人が初めて拳ではなく“握手”を交わす。



【組織アジト】


RUM「予想通りだ。あの二人が動いたか」


ボス「だが無駄なことだ。彼ら自身が、既に“記憶操作”の実験体なのだから」


RUM「ふふ……“赤井秀一”が赤井秀一であるという保証は、どこにもない」


ボス「そして“バーボン”にもまた、複数の“記憶の系統”が混在している。ゆえに彼らは矛盾に苦しむだろう」



【世良真純 × コナン】


世良「新一……あんた、記憶の中の“本当の自分”をまだ見つけてないんじゃない?」


コナン「……え?」


世良「本当の“新一”は、今の君じゃないのかも」

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