QRが敵になった日

 魔王城と魔王軍がQRの手に落ちた数分後・・・

 M∀GYメンバーで構成される自治防衛組織基地内にエマージェンシコールが鳴り響く


 内容は鳥型人獣討伐依頼だった・・・





 討伐依頼から7分――――


 「どういうことだよ!?いったい・・・!?」

 そう叫ぶのはM∀GYメンバー及び仮称QR対策チーム(特設)構成員モッフである


 「分からない…今はそういうしかないよ…」

 「俺たちが偵察に行った時には、ごうやんが倒れていた…それだけだ…」

 そう答えるのは同チーム偵察部隊只我の2人


 「なんで、Qさんがあんな風になってんだよ!?」

 モッフはモニタに映るQRを指差す


 そこには空に浮かびながら、街を破壊するQRの姿だった


 「あんなもの見たことない・・・」

 震える声で話すのは被害状況の分析にあたっているあやさんだ

 あやさんは大きな鳥型の黒い霧に覆われて、死んだ目をしたQRを見る


 「なにかQさんを止める手立てはないのか!?」

 モッフの声が作戦室に響く


 『現時点ではありません・・・』

 モッフの声に応えるようにして、通信モニタから声が流れる


 「誰だ?」

 「私です・・・・お久しぶりですね・・・・」


 「王女・・・・!?」

 モニタには獣人族の王国の王女が映っていた

 獣人族の王国は過去の災厄により次元が分断されており、国交が困難になっている


 「彼の今の姿は、まごうことなき厄災・・・・我々の手におえるものではありません」

 王女はそう言ってある画面を見せる



 「百数年前・・・彼がまだ、幼い頃・・・・・その時の記録です」

 記録には幸せそうな家族の映像が写っている


 「彼は我が国の貧民街と言われるところで育ちました・・・彼の両親は結婚を反対されていましたその中で、既成事実として作られた子どもが今のQRさんです」

 M∀GYの面々は王女の話を静かに聞いている

 

 「QRという名前自体、本当の名ではありません・・・・そして、誰にもわかりません」

 「どういうことですか・・・?」

 そう聞くのはアオさんである

 

 「彼にとって煩わしかったからです・・・・本当の意味で望まれなかった自分の存在・・・両親からの暴力に抗えない弱く惨めな自分という存在が、すり減って何もなくなっていく自分自身が・・・」

 王女は続ける


 「そんな日々が続いたある時、彼は禁忌を犯しました」

 「禁忌・・・・?」


 「我が国に古くから伝わる呪の1つ・・・・・自己否定破壊セルフキラーです」

 

 「セルフキラー・・・・」

 モッフは王女に続きを促すように王女の言葉を繰り返す


 「セルフキラーは自分の感情と人格自体を魔力によって崩壊させる攻撃用の呪です・・・・それを彼は自分自身にかけました・・・・」

 「なんでそんなことを・・・」


 「いらなかったからでしょう・・・」

 王女は冷静に冷徹にモッフの言葉を切り捨てる


 「当時の彼にとって自我は邪魔でしかなかった・・・・彼にとって必要だったのは自分を消して痛みも何も感じない自分です」

 「そんなの人じゃない・・・」

 あやみやは言葉を漏らす


 「己の身が人じゃなくてもいいんです――――彼にとっては自分のすべてが煩わしいんですから・・・なんなら自分が消える場所を望んでさえいます・・・過去もそして今も」

 「今も・・・?」

 全員が王女に聞き返す


 「彼は不完全なまま今の状態です・・・彼にとって今現在も不完全という呪がついて回っています・・・だから彼はまた、無意識に封印をといてしまった」


 「また・・?封印・・・?」

 「先程も言いましたが彼はずっと不完全です―――――不完全な呪は新たな怪物を生みます」


 「その怪物って」

 全員が街で暴れるQRを見る


 「そういうことです・・・彼の抑えていたものそれが現れた・・・1度目は我が王国の災厄として・・・そして2度目は・・・」


 「世界ごと自分を消し去ろうとする怪物として・・・」

 モッフが小さく呟く


 「そういうことです――――彼は災厄として現れ私達の王国を別次元に飛ばし、どこかへ消えていましたが、まさか魔王軍幹部として暮らしていたとは・・・・」

 そこまでいうと王女は少しの沈黙の後――――


 「M∀GY支援国家及び全世界の民たちの代表として、厄災QRの抹殺を命じます――――それと同時にM∀GY及び魔王軍の権限は支援国家連盟に強制的に移ることとします・・・・」

 

 

 王女はそう言うと通信を切断した

 

 

 



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