第18話
53
賑やかな屋台の並ぶところから少し離れると
おじさんたちが座り込んで
もう酒盛りをしている。
「よう、お姉ちゃんも一緒に飲まないか?
すげー、べっぴんさんだねー」
「いやだ、私まだ未成年ですよ。」
「そうかい
こりゃ驚いた、色っぽいねー
じゃ、持って帰んな」
そう言ってワンカップを手に押し付けてきた。
「未成年って言ってるのにー」
「もらっちゃいなよ、
だって、今日の杏奈ちゃん凄く大人っぽくて、
誰でも声かけたくなっちゃう。」
「じゃあ、もう少し
人の少ない所に行こうか?
あ、たこ焼きひとつください。」
人混みから離れた神社のベンチに腰掛けて
たこ焼きのケースをひらいた。
「ふふふ、はい河野くん、アーン」
「え、へへ」
照れてる、こう言うところもすごく可愛い。
もう一息かな
「あちっ、あちっ」
「あはは、やっぱり、猫舌になっちゃったんだ。」
急に近くで犬が吠え出した。
河野くんに向かって、吠えつこうとしている。
「あっ、こらしっしっ
うわ、やめろ、くるな!」
犬はしつこく河野くんを追いかけ回した。
「逃げるから余計に追いかけられるのよ。」
「だって、コイツ、
うわー」
「ちょっと、どこ行くの?」
「ペス、どうしたんだ急に!」
後から飼い主がリードを持って犬を追いかけて行った。
私は、暫くベンチに腰掛けていた。
「ねえ、お姉さん1人なの?」
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西村と理沙は2人で屋台を冷やかしていた。
「あんたと2人で回っても、あんたばっかり目立って、ちっとも楽しくないや。」
「でも女の子連れていると、やたらに話しかけてくる子がいないから
ゆっくり見て回れる。」
「フン、贅沢な悩みだね、私は虫除けかよ。」
「あ、ヨーヨー釣り、ヨーヨー釣り」
「おまえ何回やるんだ?」
理沙が釣り上げたヨーヨーが途中でブチっと切れた。
「下手だなぁ、おまえ雑なんだよ。
おい、どうした?
泣いてるのか?」
「杏奈さあ、
杏奈もう帰って来ないかもしれない。」
え?
「わかんねーのかよ
今日のあの子の気合いの入れ方!」
「わかるんだよ、
あれは絶対何か決心してるよ。」
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