　衆人環視の密室の状況から被害者保健二を殺害した犯人はいったいだれなのか。

　そして犯人はどうやってだって脱出したのか。

　全ての手がかりは始まりからここまでの間に記されている。

　読者自身が手がかりを一つ一つ分析し、考えていけば芽生いちしのように犯人へとたどり着けるはずだ。

　最後に、謎解きをフェアにするためにいくつかの事を書き記させてもらう。

　①犯人は容疑者として上げられていた六人のうちの誰かである。

　それ以外の人物は全てしっかりとしたアリバイがあったり、犯行の実行が物理的に無理な状況であったりして、少なくとも保健二殺害の犯人ではない。

　当然、深見常夜や芽生いちしといった探偵や助手、小野刑事が実は犯人などといった冷める展開は用意されていない。

　②犯人は芽生いちしのような特別な存在ではない。あくまで普通の人間であり、できることは普通の人間ができる事までだ。

　壁をよじ登ったり、屋上から中庭や一階まで飛び降りて無傷等と言った事は出来ない。

　③犯人は東校舎から姿を消す際に、ロープやはしご等の大掛かりな道具は使用していない。誰でも持ち得るものと、犯人の機転だけで東校舎からの脱出に成功した。

　④この事件の密室の担保者である三姉妹は一切の嘘を言っていない。彼女たち三人は偶然密室の保証人になってしまっただけの善良な一般市民である。

　⑤芽生いちしのもたらした推理は客観的事実を元にしている。よって、動機の面から犯人を当てるのは不可能である。それらの事実はいちし達からは知りようもない事だ。

それでは、健闘をいのります。

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