現場情報

 濱長北高校に着いた、小野小野 京介しょうの きょうすけは、芽生いちしから、事件についての簡単な報告を受けた。

その報告を聞いた後、いちしから頼まれ事を受けた。

「小野刑事、初動捜査をお願いしたいんだ。その内容は逐次送ってほしい」 

「初動捜査に参加しないのか?」

「捜査協力をお願いしたい人がいる。その人を説得したい。」

「わかった。いいだろう。頼まれた。ついでに二人きりになれるように手配しておこう」

「ありがとう助かるよ。何とか説得してみせるから」

 いちしにやりたい事があると言うのなら、いちしに任せるとしよう。 

 私は私の仕事事件の捜査をするだけだ。

 私は学校に今の状況を聞き、生徒を帰らせず留め置くように指示した後、事件現場に向かった。

 そうして、東校舎に入ろうとしたところで、部下の刑事が一人話しかけてきた。

 部下の刑事には、東校舎をいちし達から引き継いだ後、東校舎にまだ人が残ってるかどうかを調べるように指示してあった。

 その報告を聞く。

 調査の結論から言ってしまうと|。

 廊下、教室、屋上、その他特別室(鍵がかかって入れなかったもの)から屋上やトイレまで探したが、誰一人居なかった。

 窓等と言った外に出られそうな通路はすべて閉まっており、内側から鍵がかかっていた。

 つまり、東校舎内は密室だったというとの事だ。

 密室か。

 あいつが絡むとまあいつもこういう奇妙な事件が起こる。


 そして、私は件の現場である、1−4教室に入った。 

 きれいに並べてられていたであろう机の整列が崩れた、中心でうつ伏せに人が横になって倒れていた。

 名前は保健二と言ったか。

 被害者について鑑識からの検死の報告を聞く。

 結論から言うと、いちしの見立てと同じだった。

 被害者は首を切られたことによる失血性ショック死。

 状況から、自殺や事故などではなく、他殺でほぼ確定。

 死亡推定時刻は十六時前後。

 このことから考えると、被害者は東校舎に入ってすぐに1−4に向かい、そこで時間を経ずに殺されたと考えて良さそうだ。

 凶器のカッターナイフからは、指紋が拭き取られていたため検出できなかったとのことだ。

 側頭部にある殴られたような傷からは生体反応が検出され、なにかの丸い棒のようなもので生きている間に殴られた可能性がある。

 また、側頭部の傷は浅く、死ぬようなものではなく、気絶させるのがせいぜいだろうというものであった。

「殴った凶器に検討はついているか?」

 捜査中の部下に聞く。

「それに関しては今調査中です。椅子とか箒とかが考えられますが……」

「わかった。探してくれ。それで、被害者の持ち物は?」

「ポケットの中には財布がありました。調べましたが、その他に被害者の所持品はありませんでした」

「学校に来てるのに、財布しか持ってないってのはおかしいだろ。ほかに何かあるんじゃないか?  被害者のクラスは調べたのか?」

「はい。被害者の使っていた物と思われるスクールバックがあったと報告がありました。今ここに持ってきている最中です」

「よし。ここに届いたらすぐにでも中を調べてくれ」

「了解です」

「警部、そのほかにもこんな物がありました。」

 そして、他の部下の刑事は更に興味深い物を発見したとこちらに見せてきた。

 ビニールの袋に包まれていたのは、三ツに砕かれたスマートフォンだ。元々のスマートフォンが濡れていたのか袋の中が濡れている。

「被害者のか?」

「恐らくは。被害者の所持品からスマホは見つかりませんでしたから」

「何処で見つけた?」

「1-5の教室前の手洗い場に、スマートフォンが叩き潰されて、栓をした流し場に沈められていました」

「という事は犯人が意図的に壊したんだろうな。データは回収できそうか?」

「鑑識に回しますけど、ここまで壊れていてさらに、水に沈められていたとなると難しそうですね」

「わかった。それでも回してくれ」

 その報告を聞いた私は、手持ちのチャットアプリでいちしに簡単に情報を送信する。

「よし、これから、もう一度この東校舎やその周辺に本当に誰もいないかもう一度捜査する。今使われていない特別教室なども含めて全てな。その他にも、抜け道やら何やらが無いかも捜査する」 

 結果、東校舎は全ての窓が内側から閉まっており、また外部へと接続されているような扉はすべて鍵が閉まっていて、侵入ルートは見つからなかった。

 もちろん、隠し通路なんてものはなかった。

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