第7話 もっこりの続きと、ルイの“触れてみたい”宣言
※風宮ルイと主人公・陽翔(はると)の視点切り替えあり
教室に誰もいない、放課後の図書室。
ルイと俺は、さっきの“事故”の余韻を引きずったまま、並んで座っていた。
「……もう、マジで死にたい……」
俺は顔を覆って、ひたすらうなだれていた。
スラックスの股間、思春期男子特有の主張が、バレた。
ルイに。
よりによって、幼なじみで、
男の娘で、
ずっと好きだったルイに——!
「はると、そんなに落ち込まないでよ」
ルイの声は、どこか楽しげで、でも優しい。
「私、別に引いてないよ? むしろ……うれしかったかも」
「……は?」
「だって、私のせいで“なっちゃった”んでしょ? ってことは……ちゃんと“男”として反応してくれてるってことでしょ?」
「ルイ……」
顔が熱くなる。いや、顔だけじゃない。
心臓も、息も、視線さえまともに保てないくらい。
そんな俺を見て、ルイはちょこんと首をかしげた。
「ねぇ、はると」
「……な、なに」
「ちょっと触ってみても、いい?」
「はああああああああああああああああああっっっっ!?!?!?!?!?!?!?」
まるで、「ちょっと飴ちょうだい?」みたいなトーンで言うなよルイ!!
俺の理性が崩壊しかけてるんだぞ!!
「む、無理に決まってんだろ!! な、なに言ってんだお前!!」
「……あー、残念。ちょっとだけでよかったのに」
ルイは冗談っぽく笑ったけど、その瞳の奥には、
冗談だけじゃない本気が、微かに滲んでいた。
(……もしかして、ルイも……俺のこと……)
けれど、そこから先を考える前に、
図書室の自動チャイムが鳴った。
——ピンポンパンポーン。
『図書室は間もなく閉館します。利用者の皆さんは速やかに退出してください。』
「あ、もうこんな時間か」
「……う、うん。帰るか」
俺は立ち上がろうとして——
「うおっ」
まだ下半身が“おさまって”なかった。
「ふふ……立てないの? かわいい♥」
「からかうなああああああ!!」
ルイの笑顔にからかわれながら、俺は必死でカバンを前に抱えて、図書室を後にした。
でも、その時——
ルイがぽつりと、俺の背中に言った。
「ねえ、はると。……今度、本当に“触れてみたい”って思ったら……ちゃんと、言ってね」
その声が妙に真剣で、甘くて、
図書室の外の空気が、なんだかやけに暑く感じた。
(……ルイ。お前、ほんと……ずるいよ)
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