戯言の裏腹
小田虹里
戯言
いつの日か、分かり会えるときがくる。
そんな戯言に惑わされてはならない。
人は生まれ落ちる瞬間も、逝くときも、独りなのだ。
それならば、生涯「孤独」と捉えても違いはない。
幼少期よく遊んだ友も、成長と共に離れていく。
青年期つるんだ仲間も、家庭を持ち消えていく。
希薄な人間関係は、存在しているともいないともいえる。
ただ、どちらかを選べというならば、後者だろう。
いつでも孤独な人生だ。
期待すればするほど、裏切られる。
いや、裏切られたという被害妄想にすぎないか。
孤独であるくせに、他者に期待した己が悪い。
そうだ。
全ては僕が悪いのだ。
分かり会えるときが永遠に来ないのも、僕の歪んだ思考のせいだ。
嗚呼、分かっている。
分かっているのに、僕は思考をやめられない。
本当は誰かに、何かに、手を伸ばしたいのかもしれない。
どうしょうもない僕を、解放して欲しいのかもしれない。
赦されたい。
孤独なんて嫌だ。
こんな思考、壊されたい。
そのはずなのに。
僕は僕である限り、解放されることはないのだ。
僕は、僕と分かり会えるときなど来ないのだから。
甘い戯言に、惑わされてはいけない。
所詮、戯言なのだ。
戯言の裏腹 小田虹里 @oda-kouri
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