第2話 山崎清忠の逃走、野沢温泉
《舟とふみとの邂逅》
野沢温泉の外れ、雪に埋もれた一軒家。戸を叩く清忠の音に応じ、軋む扉が開いた。そこに現れたのは、30歳の女・舟だった。村で「かか様」と呼ばれ、畏怖と好奇の目で見られる存在だった。亜麻色の髪を緩く結い、鋭い瞳が清忠を射抜く。彼女の肌は雪のように白く、熟れた体は麻の着物越しに豊かな曲線を描いていた。
「旅人か。入れ」
舟の声は低く、誘うような響きを持っていた。清忠は凍えた体を支え、彼女の後ろに続く。家の中は、薪の燃える匂いと温もりに満ちていた。炉端には、15歳の娘・ふみが座っていた。ふみの清純な顔立ちには、年齢に似合わぬ妖しい色気が漂う。黒髪が肩に流れ、大きな瞳が清忠を捉えた。
「母様、この方は?」
ふみの声は鈴のように澄んでいたが、その奥に隠れた誘惑の響きが清忠の耳に届いた。清忠は疲れ果てた体を炉端に下ろし、革袋をそばに置いた。
「山で道に迷い、凍えそうになった。助けてくれて感謝する」
舟は黙って頷き、ふみに命じた。「粥を用意しな」
ふみが立ち上がり、軽やかな足取りで台所へ向かう。彼女の歩みは、まるで舞うように優雅だった。清忠は舟の視線を感じた。彼女の目は、まるで清忠の心の奥まで見透かすようだった。舟が薪をくべる際、袖口から蛇と花が絡み合う刺青が覗いた。清忠は医者として、それが異国の呪術と結びつくことを感じたが、疲労で思考が鈍っていた。
粗末な粟粥と塩漬けの山菜が運ばれた。ふみが差し出す茶碗を受け取り、清忠は粥の温もりに体を蘇らせた。ふみの耳元では、貝殻を編んだ髪飾りが揺れ、微かな音を立てていた。それは、村の者たちが「魔を呼ぶ音」と恐れるものだった。舟が口を開いた。
「旅人、名は何と?」
清忠は一瞬言葉に詰まり、答えた。「山崎清忠と申す」
舟の唇が微かに上がる。「清忠、か。良い名だ」
ふみが茶を注ぎながら、そっと彼の手に触れる。彼女の指先は冷たく、しかし柔らかかった。家の中には、現実離れした雰囲気が漂っていた。
露天風呂の誘惑
食事を終えた清忠に、舟が静かに言った。「外に湯がある。冷えた体を温めな」
彼女の声には、命令とも誘いとも取れる響きがあった。清忠は疲れ果てた体を動かし、舟に導かれて家の裏へ向かった。雪景色の中、湯気が立ち上る露天風呂が現れた。岩を組んだ湯船は、野沢温泉の源泉を引き、雪に囲まれながら熱を放っていた。
「ここで体を休めな。ふみが世話をする」
舟がそう言い残し、家に戻る。清忠は革袋を岩の上に置き、凍えた外套を脱いだ。湯に浸かると、熱が筋肉を解し、凍傷寸前の指先がじんじんと蘇る。彼は目を閉じ、初めての安堵に身を委ねた。
そこに、ふみが湯文字一枚で現れた。白い肌は雪に映え、薄い布越しに豊満な胸が揺れる。黒髪が濡れて肩に張り付き、滴が鎖骨を滑り落ち、胸の谷間へと消えていく。清忠は驚き、思わず身を引いた。
「ふみ殿、何をなされるおつもりか」
声は震えていた。ふみは微笑み、湯船に近づく。彼女の動きは、15歳の少女とは思えぬ滑らかさで、まるで獣が獲物を追うようだった。湯気が彼女の体を包み、薄い湯文字が肌に張り付き、曲線をより鮮やかに浮かび上がらせた。
「清忠様、背中をお流しします。旅の疲れを癒して差し上げますよ」
ふみの声は甘く、誘惑の糸を紡ぐようだった。彼女は清忠の背後に立ち、柔らかな手で肩を揉み始めた。指先が首筋を滑り、温かな息が耳朶をくすぐる。胸が背中に軽く触れ、固く尖った乳首が布越しに清忠の肌を刺激した。清忠の体が熱くなり、心臓が早鐘を打つ。彼女の手には、微かな薬草の香りが漂い、医者として曼陀羅華の催情作用を思い出したが、湯の熱と彼女の触れ合いで頭が霞み、理性が薄れていく。
「ふみ殿、若い娘がこんなことをしてはならぬ…止めてくれ!」
清忠がたしなめると、ふみはくすりと笑い、背中から腰へと手を滑らせた。指がゆっくりと下り、股の間を優しくまさぐる。彼女の指は、まるで医者のように筋肉の硬さを探り、ほぐし、同時に男の欲望を静かに煽る技巧を持っていた。
柔らかな掌が彼を包み、ゆっくりと撫で上げ、親指で先端を軽く円を描くように刺激する。清忠の体が反応し、あそこが熱く膨れ上がり、脈動を始めた。慌てて彼女の手を外すが、ふみの目は妖しく輝き、逃がさなかった。
「清忠様、続きは夕餉の後に……私とかか様共々、お楽しみを」
ふみは耳元で囁き、温かな唇を清忠の肩に軽く触れさせ、舌先でそっと舐め上げた。その瞬間、清忠の全身に甘い電流が走り、背筋が震えた。彼女が湯船を離れると、湯文字が濡れて体に張り付き、豊かな胸の輪郭や腰の曲線がより露わになった。
ふみの髪飾りの貝殻が湯の中で奇妙な光を放ち、まるで霊的な存在を呼び寄せるようだった。清忠は目を逸らし、心を落ち着けようとしたが、ふみの柔らかな触れ合いと甘い香りが頭から離れず、心に深く根を張った。
湯から上がった清忠は、凍えた外套を羽織り、家に戻った。足元がふらつき、湯の熱とふみの誘惑が体に残り、理性を揺さぶっていた。
夕餉と酔いの夜
夕餉の席は、篝火の揺れる広間に設けられた。木の膳に粟粥、山菜の漬物、干し魚が並び、粗末ながら温もりに満ちていた。舟が清忠の前に座り、ふみが右側に寄り添う。舟の着物は胸元が緩く、熟れた肌が篝火に照らされて艶めいた。豊かな乳房の谷間が影を落とし、彼女の目は、清忠の心を探るように深く、しかし柔らかく彼を包んだ。
「清忠、酒を飲みな。山の寒さを忘れるよ」
舟が差し出した杯には、透明な酒が満たされていた。ほのかに薬草の香りが漂い、清忠の医者としての勘が警鐘を鳴らす。だが、舟の視線に押され、彼は杯を傾けた。酒は喉を焼き、すぐに体を熱くし、血を巡らせた。
「良い酒だ…だが、強すぎるな」
清忠が笑って誤魔化すと、舟は微笑み、さらに杯を勧める。
「遠慮はいらぬ。わしらの酒は、命を繋ぐ薬だよ」
彼女の声は、まるで呪文のように清忠の耳に絡みついた。ふみが茶を注ぎながら、そっと彼の膝に手を置く。その触れ合いは、偶然を装いつつ、計算された誘惑で、指先が内腿を軽く撫で上げ、清忠の体を震わせた。
二杯、三杯と勧められるうち、清忠は異常な酔いに襲われた。視界が揺れ、頭がぼんやりする。酒には曼陀羅華や他の薬草が仕込まれていたのか、体が熱く、理性が溶け、欲望が静かに膨らんでいった。
舟が胸元をさらに緩め、豊かな乳房を露わにした。彼女の肌は、30歳とは思えぬ張りと滑らかさを持ち、篝火の光に輝き、乳首が淡く尖って誘うように揺れた。蛇と花の刺青が胸元に浮かび、まるで生き物のようにうねり、魅惑を増した。
「清忠、わしを見ておくれ。疲れた体を癒してやるよ」
舟は清忠の股間に顔を埋め、柔らかな唇と舌で彼のあそこを愛撫した。彼女の動きは、熟れた女の経験と野生的な本能が混じり合い、温かな口内で彼を包み、舌が巧みに絡み、ゆっくりと吸い上げる。
時折、歯先で軽く甘噛みし、吐息が熱く肌を刺激した。清忠の体を一瞬で支配し、全身が震え、甘い痺れが広がった。舟の吐息は、まるで清忠の魂を吸い取るように深く、彼の記憶を揺さぶった。一瞬、秀成の笑顔が浮かび、動揺するが、快楽の波に飲み込まれた。
隣に座るふみが、彼女もまた胸をはだけ、豊満な乳房を清忠の腕に押し付けた。柔らかな温もりと弾力が伝わり、15歳の少女とは思えぬ技巧で、彼女は首筋に唇を這わせ、甘い吐息を漏らす。舌先が耳朶を舐め、軽く噛み、熱い息が肌を湿らせた。
「清忠様、私にも…お情けを…」
ふみの声は、純粋さと淫靡さが交錯し、清忠の心を掻き乱した。彼女の唇が耳を軽く噛み、口吸いを求める。清忠は抗おうとしたが、酒の力と二人の誘惑に流される。ふみの唇に応じ、彼女の舌が口内で優しく踊り、甘い味が広がった。彼女の瞳には、少女にはない古い魂が宿っているように見え、深く彼を引き込んだ。
舟の執拗な愛撫が続き、舌の動きが速まり、清忠は耐えきれず精を放った。舟は満足げに微笑み、顔を上げ、唇に残る熱を拭うように舌を這わせた。彼女の唇には、なおも誘惑の光が宿っていた。ふみが清忠の頬を撫で、囁く。
「清忠様。寝所で、続きを……」
舟とふみは微笑み合い、清忠の手を引いて寝所へ連れていった。絹の敷物が敷かれた部屋で、篝火の光が二人の影を揺らし、まるで異世界へと誘うようだった。部屋の隅に置かれた小さな仏壇には、異形の神像が祀られ、微かな香が漂い、夜の深まりを予感させた。
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