第3話 山崎清忠の逃走、夢魔の夜
寝所
寝所は、絹の敷物と獣の毛皮で覆われ、篝火の光が壁に揺らめいていた。舟とふみが清忠を挟むように横たわり、彼を絡め取った。舟の熟れた体は、豊かな胸と柔らかな腰が清忠に密着し、彼女の肌からは野の花のような甘い香りが漂う。
彼女の指は、清忠の胸を滑り、まるで彼の心臓の鼓動を確かめるようだった。蛇の刺青が彼女の肩から腕に伸び、篝火に照らされて、まるで生き物のようにうねり、誘うように動いた。
「清忠様、ふみと私めに精をお注ぎくだされ。ややこをお授けくだされ」
舟の声は低く、呪文のように響き、部屋の空気を震わせた。彼女の唇が清忠の首筋に触れ、温かな息が肌をくすぐる。舌がゆっくりと這い、湿った軌跡を残しながら鎖骨へと降りていく。その動きは、獲物を捕らえる蛇のように確実で、しかし優雅で、甘い痺れを清忠の全身に広げた。
舟の目は、篝火の炎を映して妖しく輝き、清忠の抵抗を静かに溶かし、彼を完全に支配する意志に満ちていた。彼女の愛撫は、ただの快楽を超え、まるで魂を優しく吸い取るような、深い渇望を秘めた力を放っていた。
ふみの柔らかな肌が清忠の左側に寄り添う。彼女の胸は、15歳とは思えぬ豊満さで、柔らかく弾み、乳首が薄暗い光に淡いピンク色に輝く。ふみは清忠の腕を掴み、自分の胸に導いた。掌に伝わる温もりと柔らかさに、清忠の息が乱れた。
「清忠様、私をお感じになって…私の熱い秘めた場所を……」
彼女の声は甘く、囁くように溶け、耳朶をくすぐった。ふみの手は、清忠の股間を巧みに愛撫し、少女とは思えぬ熟練の技で彼を昂ぶらせた。指先が優しく包み、ゆっくりと上下に滑り、時折親指で先端を撫でる。その動きは、まるで琴の弦を弾くように繊細で、しかし確実に彼の欲望を引き出し、熱い脈動を呼び起こした。
彼女の喘ぎには、不思議な旋律が混じり、甘く切なく部屋に響き、まるで何度も転生を繰り返した魔女の魂が宿っているようだった。
清忠はふみに溺れ、彼女の甘い喘ぎに我を忘れた。ふみの腰が彼に絡みつき、滑らかな太腿が彼の脚に巻き付き、熱い吐息が耳元で響く。彼女の秘部が彼を迎え入れ、湿り気を帯びた温もりが清忠を包み込んだ。
ふみの動きは、純粋な少女のものではなく、まるで何百年も男を惑わしてきた魔物のようだった。腰をゆっくりと沈め、波打つように揺らし、内なる襞が彼を締め付ける。清忠は耐えきれず、ふみに精を注ぎ、彼女の体が細かく震え、甘い吐息が絶頂を告げるのを感じた。
だが、酒に仕込まれた曼陀羅華の効果か、清忠の昂ぶりは収まらなかった。舟がふみを優しく押し退け、清忠に跨がった。彼女の熟れた秘部が彼を飲み込み、熱く濡れた感触が清忠を再び支配した。舟の腰は波のように動き、熟れた体が清忠を深く包み込む。
豊かな胸が揺れ、乳首が硬く尖り、篝火の光に艶めかしく輝いた。彼女の喘ぎは低く深く部屋を満たし、喉の奥から絞り出されるような甘い響きが、清忠の心を掻き乱した。
「清忠、もっと……わしにもそなたをくれ給え」
舟の動きは激しく、腰を前後に振り、時には円を描くように回転させ、内なる熱が清忠を溶かす。彼女の目は欲望と何か深い渇望に燃え、汗が肌を滑り、甘い香りを強めた。
清忠は彼女の熱に飲み込まれ、再び精を放った。舟の体が震え、満足げな吐息が漏れる。仏壇の神像が、夜が深まるにつれ、微かに光を放ち、清忠の心に恐怖と魅惑を植え付けた。
行為の合間、舟は寝物語を始めた。
「この家は、村人に夢魔の家と呼ばれておる。わしらの先祖は、戦乱の世に村を守るため、山の神と契りを結んだ巫女だった。子を授かり、血を繋ぐことで、神の力を保ってきたのじゃ」
彼女の声は、まるで古い伝承を語る巫女のようだった。ふみは川の字に寝ながら、清忠の体をさすり続ける。彼女の指は、まるで彼の魂を縛る糸を紡ぐようだった。ふみの貝殻の髪飾りが、微かな音を立て、まるで魔を呼び寄せるように響いた。
舟はさらに囁く。「まず、ふみにお子を授けておくれ。ふみの子は、きっと強い子になる」
清忠はふみを再び抱き、彼女の甘い声に我を忘れる。ふみの体は熱く、彼女の瞳は清忠を捕らえて離さない。
舟はそれを見つめ、自らを慰めながら悶えた。指が自分の秘部を滑り、甘い喘ぎを漏らす。やがて耐えきれず、ふみを押しのけ、清忠に跨がった。
舟の腰が再び動き、三人は夜通し絡み合った。肌と肌が擦れ合い、汗と吐息が混じり、部屋は甘い熱気に満ちた。清忠の体は二人の温もりに溶け、理性は遠のいた。
篝火が消え、闇が深まる中、清忠の意識は断続的に揺れ、夢と現実の境が曖昧になった。彼は一瞬、秀成の声を聞いた。「清忠、気をつけろ…彼女たちは…」 だが、声は途切れ、舟とふみの熱に飲み込まれた。
朝の別れ
夜明けの光が窓から差し込む頃、清忠は正気を取り戻した。体は重く、頭はまだ酒の余韻に霞む。寝所には、舟とふみが穏やかに眠っていた。彼女たちの顔は、夜の妖艶さとは異なり、まるで普通の母娘のように清らかだった。
清忠は静かに起き上がり、革袋と短刀を手に取った。炉端には、粥と干し魚が用意され、湯気が立ち上っている。舟が目を覚まし、彼に微笑む。
「清忠様、よく眠れたかい?」
彼女の声は、昨夜の蠱惑とは異なり、温かみに満ちていた。ふみも起き上がり、清忠の手を握る。彼女の笑顔は、純粋さと妖しさが交錯していた。
舟が語り始めた。「この家は、野沢の村人から夢魔の家と呼ばれておる。わしらの先祖は、戦乱の世に村を守るため、温泉の蛇神と契りを結んだ巫女だった。子を授かり、血を繋ぐことで、神の力を保ってきた。わしらは村から離れ、ひっそり生きてきた。だが、子を授からねば、神の怒りに触れる」
彼女の目は、哀しみと決意に満ちていた。舟の刺青は、村の古い祠に刻まれた蛇神の文様と一致していた。ふみの貝殻の髪飾りは、温泉の底でしか採れぬものとされ、触れる者に幻惑を与えると村の古老が語っていた。仏壇の神像は、温泉神の分霊とされ、村の外れに隠された祠に祀られるものだった。
舟とふみは、かつて村の祭りで巫女として舞った。彼女たちの美貌と舞は村人を魅了したが、子を宿さぬ男たちが次々に病に倒れたことから、村長が追放を命じた。以来、村人たちは彼女たちを「夢魔」と呼び、祠に供物を捧げて呪いを避けた。
「清忠様、ふみに子を授けてくれたら、わしらの命は続くのだ」
清忠は複雑な思いを抱いた。彼女たちの誘惑は彼を惑わせたが、温もりと食事が命を繋いだのも事実だった。ふみの柔らかな腹に手を当てると、微かな温もりが残っていた。あの夜、何度も注いだ精が、確かに彼女の中に根を張ったような気がした。ふみは清忠の手を自分の腹に重ね、静かに微笑んだ。
「清忠様、私の中に…そなたの命が宿った気がする。女の勘じゃ」
舟も頷き、穏やかな喜びを浮かべた。「これで、神の怒りは鎮まる。わしらの血は続くじゃろう。清忠様、ありがとう」
清忠の胸に、喜びと罪悪感が交錯した。医者として命を繋ぐことを志してきた自分が、知らずのうちに彼女たちの願いを叶えた――それは喜ぶべきことなのか、それとも夢魔の呪いに囚われた証なのか。ふみの瞳に宿る古い魂が、なおも彼を引き留めようとしているように感じられた。
「感謝する。だが、私は先に進まねばならぬ」
舟が静かに言った。「清忠様、わしらのことは忘れておくれ。だが、ふみの子が生まれたら、いつか訪ねてな。子は、そなたに似て強い子になるじゃろう」
ふみは無言で清忠の手に小さな貝殻の髪飾りを握らせた。それは、昨夜彼女がつけていたものだった。清忠は、ふみの腹に子が宿り、成長する未来を一瞬想像した。だが、医者としての使命が彼を現実に引き戻す。あの夜は幻だったのか、それとも現実の業だったのか――心の奥に、微かな棘が残った。秀成の幻の声が、再び耳に甦る。「気をつけろ…彼女たちは…」 それを振り払うように、清忠は首を振った。
「舟殿、ふみ殿、私は医として生きねばならぬ。だが、君たちのことは忘れぬ。子が生まれたら…山の神が守ってくれることを祈る」
舟が微笑む。「それでいい。山の神がそなたを守るよ」
清忠は革袋を肩にかけ、短刀を腰に差した。舟が差し出した干し飯を受け取り、彼は家を後にした。雪が止んだ山道を下り、飯山へ向かった。背後を振り返ると、夢魔の家の灯火は朝霧に消えていた。ふみの髪飾りが懐で微かに音を立て、彼の心に残響を残した。
道を進むうち、清忠は自問した。「あの夜、私は命を救ったのか、それとも奪われたのか…」 答えは出なかった。だが、医の道を貫く決意だけは、揺るがなかった。雪の山道を、彼は一歩一歩、江戸への道を切り開いていった。
💋「新編 江戸の夢魔の夜」越後長岡藩から逃走した藩医山崎清忠は山中で夢魔に出会った。 🌸モンテ✿クリスト🌸 @Sri_Lanka
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