初恋の話第2話

その闘病垢の存在を認知してから数日後、私はとあるDMグループにはいった。まあ、「なりきり」をしている人間同士が集まる10人いかないくらいのグループだ。そのグループに彼はいた。みんなで話をしたり、闘病に疲れた彼を励ますうちに気づけば恋に落ちていた。

しかし恋などしたこともなかったものだから、奥手に奥手になり、彼に本気で伝えることもこの恋心を公言することもしなかった。いや、できなかったのだ。

彼には好きな人がいることは私もわかっていたし、その人と張り合う気もなかった。私がその人と張り合ったりすればグループはきまずくなるであろうことはわかりきったことだったからだ。

しかしそうやってモタモタしているうちに私にとっては最悪の事態が起こった。

私のあこがれの人は、違う人に攫われた。

公開しても遅かった。ああ言えばよかった、もっと早く動けばよかった、こうすればよかった、と。私はその時恋心の痛みも、辛みも初めて経験して知ったのだ。

他者に好きな人をとられてしまう悲しみも。

好きな人にこうすればよかったという後悔も。

好きな人が病気で苦しんでいるのを目の当たりにした時の胸の苦しさも。

私はそういうのを経験はしていなかったけれど、本をよく読む方だし理解していると思っていた。それが完全なるうぬぼれとも知らず。

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将来に残す備忘録1 @udaudakaku

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