将来に残す備忘録1

@udaudakaku

初恋の話。

 「初恋なんて実らない」いろいろなところでよく聞く言葉である。

 初恋は実らない、私の初恋も例外ではなかった。でも、初恋がSNSの中であったこと、声をほぼ聞くことはなく、そして顔を合わせることなく恋をしてしまったのは他のうら若き乙女たちが経験する初恋とは少し毛色が違うのかもしれない。

 あれは、春休みが始まろうかという16歳の春。その日も私はSNSのチェックに余念がなかった。もともと自他ともに認めるほどのツイ廃だったのだ。なかなかやめようと思ってやめられるものでもなく、毎日毎日飽きもせずツイッターを開いてはタイムラインをひっきりなしに更新し、新しく増えたフォロワーに喜び、フォロワーの投稿を橋からチェック、いいねとときにはリプやリポスト、インリツも忘れない。そんな毎日を送っていた。そんなある日、私のフォロワーにとある鍵垢が滑り込んでいた。

 私のアカウントはいわゆる「なりきり」と呼ばれるもので、言い方は違うかもしれないがフォロワーに「同業者」が入るのは必然である。そんな中その鍵垢が目に止まったのは鍵垢だったからではない。そのアカウントが闘病垢も兼ねていたからである。

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