第4話

 小さな網に、1つの虫かご。

 とある休日の夕暮れ、彼は道具を手にしながら、花壇で蝶を待ち構えていた。


 通りすがる人々は、彼を怪訝そうに横目で見ていた。

 しかし、彼はそんな人々の目を気にせず、ひたすら蝶を待っていた。



 蝶は、ふとした時に現れた。


 何処からともなく流れてきたモンシロチョウは、ひらひらと彼の周りを舞い、タンポポに留まった。


 彼は花壇の前にしゃがみ込み、その蝶にそっと忍び寄った。


 蝶は彼に気づいていないようで、黙々と蜜を吸っていた。


 彼はモンシロチョウにそっと網を被せた。

 蝶は驚いたように飛び回ったが、逃げることはできなかった。


 彼はそのまま蝶の羽をそっとつまみ、虫かごに入れた。



 捕獲作業は、静かに終わった。


 彼は虫かごの中で動き回る蝶を眺めながら、浮かれた足で家に持ち帰った。

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