クリスタ帝国 帝都

クリスタ帝国。『武神』と呼ばれたとある存在が作り上げたと言われる、2,000年以上もの歴史を誇る大国だ。農業、鉱業、冒険者稼業は当然として、各所に美しい光景が広がっているこの国は観光業も発達しており、世界一の国力を持っていると言われている。


そんな帝国の中心部に、僕たちはやってきていた。


「とうちゃ〜く!やっと着いた〜!」

「とりあえず、こっちの冒険者ギルドに顔出しに行くよ。」


そんなことを話しつつ、僕たちは冒険者ギルドに向かって歩いていく。


「それにしても、本当に綺麗だね〜。」

「上下水道に魔導灯とかの環境が本当に隅々まで整備されてるらしいからね。」


そして僕たちは、冒険者ギルドに辿り着く。


「すみませ〜ん。」

「はい、なんでしょうか。」


ギルドのカウンターで僕たちの対応にあたったのは、少し癖のある茶髪をボブカットにした女性だ。


これ・・を、お願いできますか?」


そんな彼女に、僕はトウカさんから受け取った手紙を見せる。


「これは……!……ということは、あなたたちが……。……わかりました。少々お待ちください。」


その手紙を見た彼女は瞠目した後、魔導具でどこかに報告を送る。


── しかし、さすがはクリスタ帝国の帝都。街も活気に溢れてたし、冒険者の質もいい。


僕はギルドの中をざっと見渡しながらそんなことを思う。多分、今ここにいるのは大体がCランク以上の冒険者だろう。冒険者の6割がDランクまでで終わっちゃうのに、すごいな……。


「おい。お前。」


すると、そんな僕に声がかけられる。僕がそちらを向くと、そこには重装備に身を包んだ強面の男性がいた。


「うわ、またガイルだよ……。」

「なんでああも他人に絡むんだ……?」


周囲ではそんな会話がなされている。どうやら、彼が他人に絡むのはいつものことらしい。


「何ですか?」

「ここはお前みたいな奴が来るところじゃないんだよ。お前みたいな可愛いやつは、こんなところに来るんじゃなくて街で働いてろ!」


── ん?なんか変に絡んでくるのかと思ったけど、言ってることはまとも……というか普通に優しい……?……他人を見かけで判断するのはちょーっとイラッときたけど……ただのいい人じゃない?


「ご忠告、ありがとうございます。ですが、人を見た目だけで判断するのはやめた方が良いですよ?」

「あ?何言って ──」


言葉通り「何を言っているか分からない」といった様子の男性に向け、僕は普段は制御して外に出さないようにしている圧力を少しだけ、本当に少しだけ放出する。


「!?」


僕の纏う空気が変わったことが分かったのだろう、男性の表情が変わる。


「分かりました?」

「あ、ああ……。」

「失礼、あなたが彼女の言っていた方ですかな?」


すると、そんな僕に別の男性が話しかけてくる。灰色の髪を丁寧にセットした、The執事のような出で立ちをした男性だ。その灰色の瞳は優しいようで、僕を見極めんとする様子があった。


「はい。あなたは?」

「ああ、自己紹介がまだでしたね。私はシルバ。この冒険者ギルドのギルドマスターを務めさせていただいています。」


その言葉を聞き、僕は


「ああ、どこかで見たことがあると思ったら……。」


と声を漏らす。


「しかし……。流石の圧力ですね。先日は全くそういったものを出していなかったようですが……?」

「彼を説得するためにちょっとだけ放出してました。」


そう言いつつ僕は、再び圧力を抑え込む。


「ほう……あの装備の効果かと思っていましたが……。……実力は、本物ということですか。」

「それより、例の件・・・は?」

「ああ、それでしたら、先ほど彼女に連絡を送りましたので、おそらくはもうすぐいらっしゃるかと……。」


その時、ギルドの扉が開き、トウカさんとレオンさんが入ってくる。想像もしない大物の登場に、ギルド内がざわめき出す。


「お待たせしました、ノアさん。」

「いえ、大丈夫です。」


そしてそのまま和やかに会話を始める僕に向け、周囲から「こいつマジか」みたいな視線が向けられる。何なら、さっき僕に絡んできた人なんてこれでもかと目を見開いてる。


「ここまでくる間に、何かあったりは?」

「いえ、特には。……あ、ですが……。」

「何かあったのですか?」

「国境の近くの『魔の森』から、デュラハンが1回だけ出てきましたね。」

「それは……!」

「……失礼、その話、詳しく聞かせていただいても?」


僕のそんな言葉に、トウカさんだけでなくギルドマスターも反応を見せる。


「分かりました。確か ──」


そう言葉を返し、僕はあの時の状況を説明するのだった。

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