後編
駅の改札口を通りぬけ、マコは、ヒロシとの待ち合わせ場所に向かおうとしていた。
そこへ、
『マーコーさんっ ❢ 』 と、ヒョイと横から飛び出してきたのは、ナント!ヒロシではないか‼️
『これは、これは、 ヒロシ様(笑) 』と、
マコはちょっと、おどけて見せた。
ホントに驚いた。
でも、嬉しかった💕
駅近くにあるスタバで待ち合わせの約束だった為、まさか駅でヒロシが待ち伏せをしてくれてるとは、、、、、
『今朝、起きたら、上天気だったし、海のほうにドライブしたいなーと気が変わったんですよ!
こんなイイ天気☀晴れなのに、もったいないじゃない?』
『うわ~っ‼️ ドライブ行くの???
やったぁ~っ!! 』
近くの駐車場まで歩いていくと、真っ青のプリウスがピカピカ光っていた。きっと、洗車して磨いてきたんだろうな、、、
車の助手席に座りデートするなんて、マコは何年ぶりだろう??
『イカしゅうまいの上手い所あるんだけど、シュウマイ好き???』
『もちろーん‼️』
そんな会話をしながら、海の見える場所に車を走らせた。
てっきり、スタバで、石橋社長が運営している事業の話や、
もしかしたら、ヒロシから、美容器具などの勧誘を受ける事もあるかもしれない、、、とマコは覚悟していた。
でも、
その時は、キッパリ断るつもりだった。
それでも、
セミナー以外の、まだよく知らないヒロシのプライベートな顔に少しくらい、触れてみたいと思った。
意外とヒロシは、スピード狂!
高速に入ると、かなり、ぶっ飛ばして怖いくらいだった。
マコは、すぐに本題に入った。
気分が良かったからだ。音譜 今なら聞ける!!
『ヒロシさん、今日、何故、私を誘ってくれたの〜?? 凄く嬉しいよ? でも、OFF会でメグミさんと、ずーっと一緒だったしぃ、、、』
ヒロシは、マコの顔をチラリと横目で見ながら『いけない???』と、ニヤリと笑った。
『いけなきゃないけど、ちょっと気になったから』
『マコさんの話をZOOMで聞いていて、面白いな ーと思ったんですよ』
『どんなとこーっ???』
『マコさんって、、、うーーん、、、、、???
何ていうか、、、???
ぶっとんだとこあるよね
堂々としてる!
人が口にしないようなことでも、正直に何でも質問するし、
マコさんが質問したら、嫌味にならないから、
いいな~と思ってるんですよ』
と、さらりと答えてくれた。
コレ、素直に喜んで良いものだろうか???
私はヒロシから、そんなふうに見られてるんだ。
周りからは、
天然ボケだの、
こいつのオツムは、お天道様向いてるだの、
しまいには、頭の中、お花畑の不思議ちゃん、
等と言われながら、今まで、散々からかわれてきたのだ。
だが、嫌でも
これが私のデフォルト‼️
もはや、治しようがなく、最近では、開きなおってきている。
『素直に喜んでイイのか? 悲しむとこなのか???わかんないなー』と、苦笑いしながら
『是非、私、これからヒロシさんが、どんな事されようとしてるのか聞いてみたい!!』
『それ話し出すと、ながーくなるよ』
『じゃあ、短くまとめて言って欲しい』
『マコさんて、気が短いほう???』
『うん、長くはないな、、、(笑) 』
そんな会話をしているうちに、海にポッカリ浮かぶ、青と白のストライプのカラフルな店が見えてきた。
店は ⛴️船の形をしている。
面白そーねー
マコは、かなりはしゃいでいた。
車から降りると、海風がサーッと強く顔に当たり潮の香りがする。
太陽は強く照りつけているが、回りには、緑葉樹がたくさんあり、
湿度も低いため、海風が絶えず、気持ちが良かった。
『キャーッ‼️ 最高ーっ!
ありがとう💕ヒロシさん!!
もうこれだけで
1週間分の気分転換が出来た感じよ〜っ』
店の中に入るのが勿体ないような陽気だった。
小さな可愛い橋がレストランまで架けられていて、
店内に入ると、間仕切りで仕切られた清潔感ある小部屋が、いくつもに、分けてある。
どの小部屋からも、美しい紺碧の海が見える造りになっていて、最高だった。
『マコさん、好きな所へ、どーぞぉー』
そう言って好きな部屋を選ばせてくれる優しさに、ヒロシに対するポイントは、どんどん上がっていく。
店全体と、外の景色が両方、見渡せる、奥の角部屋のほうに行き、2人とも、この店一押しの海鮮丼とイカシュウマイを迷わず注文した。
パネルタッチでの注文形式ではなく、きちんと、ボーイさんが注文を取りに来てくれる所もありがたかった。
最初に運ばれてきたウォーターの中には、たっぷりの角い氷と、ライ厶🍋🟩が入っていた。
透き通る透明の美しいグラスの下には、水滴が落ちて汚れないよう、可愛い絵柄のコースターを敷いてくれて、
久々に、日本人ならではの、きめ細かい文化に触れた気がした。
ヒロシとマコは、差し向かいに座り、改めてお互いの顔を見つめ合った。
ヒロシは、優しい眼差しをしている。👀
歳は、マコと同じ46歳だか、小柄で実年齢よりかなり若く見える。
笑顔の爽やかな好青年といった印象が強い。
『ヒロシさん、よく、このお店くるの〜???』
『たまーに仕事で使う時あるよ、お天気の時は
絶景だよね〜』
運ばれてきた料理も、申し分なく美味しい‼️
大好きなヒロシと一緒だから、なお、美味しい‼️
この幸せ気分がずーっと続いてくれたら、人生どんなに華やかだろう??
今だけでも、このウットリする気分を存分に味わおう
マコは、この、雰囲気を充分味わえて大満足だった。
『ヒロシさん、これからどんな事業をしていかれるのー?』
最後のデザートが運ばれてきた所で聞いてみた。
『石橋社長と一緒に居ると、女性の感性の豊かさを目の当たりにしました。
とくに、自分を意識することの重要性を学んだから、それに伴って、心理学や、カウンセリングの勉強もしてきましたよ。
僕、これから、個人で、カウンセラーもしていきます!』
『いいですね、、、』
マコはポツリと、そう言って、口を噤んだ。
『私もヒロシさんのカウンセリング、受けてみたい ❢ 』
と、言いかけたが、すぐ、打ち消した‼️
マコも、今まで、ピンときた、あらゆるセッションにお金を使ってきた為、簡単に飛びつくわけにはいかなかった。
只でさえ、恋心が芽生えているというのに、
その本人のヒロシに、
個人でカウンセリングなど受けようものなら、
本題の ‘’自分の心の闇を見つける‘’ 作業の前に、
別の 『恋心』 の部分で、心が、揺れに揺れ、大波に飲みこまれ、
ヒロシの一挙手一投足に、心乱され始める未来がすでに目に見えている。
大好きな人に、自分の闇の部分なんて、、、見られたくないっ‼️
少なくとも、今は、、、そう思う。
そんな気持ちに伴い、受けるカウンセリングだったとしたら、、、
さらにメンタルの具合でも悪くなりかねない。
医者でも治せぬ、恋の病が、コレ以上、進行してしまうと
カウンセリングどころじゃないぞ‼️
又、マコの頭に警報が鳴り始めた。
しかし、小さい頃から、親の離婚を見てきて、心の闇を抱えている部分を、どうにかして、楽にしたい。という気持ちもある。
どうしても、恋愛に対してブレーキが、かかってしまうからだ。
マコは、いつも、心臓にグザリとナイフでも刺さったような、得体の知れない傷を抱えながら生きていた。
親と同じように、自分も離婚して以来
その傷の正体を、さらにハッキリ確かめたくて、難民のように、アチラコチラのセッションに奔走していた。
マコは、今までに何度か、カウンセリングをしてもらった経験があるが、どれも、人に話すことで、一時的には楽になったような気はするが、
カウンセラーによっては、アドバイスばかりされ、逆に責められているような気分になり、落ち込むことも多々あった。
コーヒーにフレッシュをいれ、スプーンでクルクル回しながら
『じゃあ、自宅にカウンセリングルームを構えてされるんですか?』
とのマコの問いに
『パソコンや、スマホさえあれば、こんな風に、どこに居ても人との会話は、できるでしょ?!
自宅に居る必要などないよ?
気分が上がる場所に自分を連れて行って、気持ちよく、遊ぶように僕は仕事をしていきたいんです。』
ヒロシはそう言いながら、マコの目をジィ〜っと見つめていた。
ヤバい‼️ 私の顔が曇っていくのを気づかれたかも知れない、、、ガーン マコは一瞬、焦った。
今は、話を聞いて貰うことですら、高額なお金を支払うのが当たり前の世の中になってきた。と、以前のカウンセリングを受けた時に、痛感したのだった。
心の傷が深いと、友達との雑談の中で相談したり、話を聞いてもらうだけでは解決し辛く、やはり、専門家に足を運ぶ必要性があったのだ。
しかし、、、、、
確かに知識やスキルは、大切だが、
それとともに、カウンセラーとの
『相性』や、『人柄』も、多大な要素を占める。
世間的に見て、どんな良い教えでも、受け取り手の捉え方が不十分であれば、かえって歪んでしまう。
そこの所を、個人個人のレベルに合わせながら、誘導してくれるような、安心して委ねられる人であれば問題ないのだかが、
『ドブ金を支払ってしまったな〜』と、
ガッカリした経験をしたことがあるマコにとって、
もう、コレ以上、大枚をはたくような事には、危険信号がついてしまい、足を踏み入れたくなかったのだ。
なんせ、カウンセリングを『受ける』側は、
そもそも
問題解決の糸口すら分からないから、カウンセリングを受けに行くわけだ。
事前に決められている前払いで、高額を支払い、覚悟して受けても、
気持ちがさらに、モヤモヤして荒んでしまうカウンセリングもある。という出来事を、マコは経験済みだった。
心の世界は、自分の捉え方で、いかようにも変容する。
だからこそ
望む未来を固定するには、まだまだ、練習が必要だと、マコは、これまでの経験から、さらに強く感じていた所だった。
そんなことを、思い出していると、急にヒロシが誘ってきた。
『昨年、学会を作ったんですが、マコさん、入りませんか???』
『学会って、、、??? また、何の学会???』
『スピリチュアルリーダーと呼ばれる方々が集まって、これからの風潮を変えて行こうという試みなんです。
勿論、石橋社長も入ってくれてますよ。』
出たーっ! 遂に始まったぞーっ‼️
興味が無いわけではないが、自分には危ない、、、
もう、その手の話は、懲り懲りだ。
マコ自身、スピリチュアルな話は、大好き♥だし、そんな素晴らしい学会を作ったヒロシに対して、尊敬している。
だが、
マコが望んでいるのは、ヒロシのような誠実な要素を含んだ男性と
『楽しいお付き合いラブラブ音譜』をすることだ。
【学会に入る】 だの、
【カウンセリングを受ける】だの
聞いただけで、今のマコは、拒否反応が出て暗い気持ちになってしまっている。
今まで、大金を使い、散々やってきて、さほど効果を感じられなかった為に、もうコレ以上、同じことを繰り返したくはなかったのだ。
暫く沈黙が続いたあと、
『なんか? 難かしそーね、、、、、
わたし、霊能力なんか全くないし、遠慮するよ』
そう言って、マコはキッパリと断った。
ヒロシは、心憎いほどの爽やかな笑みを浮かべて饒舌に喋り始めた。
『能力なんて、全くいらないよ??
ZOOMの中で話をされていた、マコさんのピュアな感性を僕は信じています。』
『私のピュアな感性???』
『はい、これからの時代は、今までとは逆になっていくからね、、、』
『仰ってることが、全然わかんないんですけ
ど、、、???』
『過去の傷を掘って、取り除こうとしなくても、これからの時代は、望む現実に作り上げることが出来る。
それには、自分はこうなる‼️と、強く信じる力が重要です。』
『ふぅ~ん』
あまり、話にノッてこないマコの様子を見て、
まるで、ご機嫌をとってくれるかのように、ヒロシは、立ち上がろうとした。
『マコさん、ソロソロ、場所、変えようか?!』
そう言って値段表をさっと持ち、レジへと向かって行った。
『待ってぇー!
ちょっと、お手洗い行きたい!!』
そう言ってマコは、逆方向のトイレに向かった。
お化粧直しをして出たらヒロシは、会計を済ませて、もう外に出ていた。
『ヒロシさん、割り勘にしましょう。
いくらでしたか???』
とっさに、言ってきたマコに対して
『ココは、僕が持ちますよ ❢
今日のところはね♡』
と、 またまた、爽やかな笑みを浮かべて仰っるではないか‼️
んもーっ!! この人、どこまでスマートな対応なんだろう???
ヒロシに対してポイント上がりっぱなしだったが、その一方で、いつかまた、気持ちが、ドカーンと落ちてしまうのが、マコは怖かった。
幸せを感じていると、
いつまで続くかな?
こんなに、自分が幸せを感じていていいのかな??
いつか、不幸な現実にストーンと落とされてしまうのではないか??
等と、ありもしない、いつもの不安癖が邪魔をする。
『ありがとうねーヒロシさん
ココ、最高だったねー音符 雰囲気も料理も‼️』
そう伝えたあと、暫く無言で2人で歩いていると
あずま屋が見えてきた。
そこには、ちょうど良い事にテーブルとベンチまで置かれてあった。
『ア・ソ・コ 座ろう』と、
ヒロシがマコの背中にそっと手を当て、押すように歩いた。
強い海風が吹いているが、相変わらず心地よい風だった
あずま屋のベンチは、海側に向かう角度に設置されてある。
ヒロシと、マコは、その長いベンチに横並びに座った。
マコは、先程の話をヒロシに、ダイレクトにぶつけてみた。
『信じたくても100%は信じるなんて無理って気持ちの場合、どーやって信じるのー???』
その質問には答えないで、かる~くスルーしたヒロシは
『マコさん、前世療法って、知ってる???』と別の質問をしてきた。
『うん、聞いた事は、あるよ』
『僕、ヒプノセラピストの資格も取ったんだよね、、、』
『へーっ、‼️ スゴイね。それを取得したいと思ったきっかけは〜?』
『ぼく、昔から、電話してる相手の姿が見えたり
突然、人が見えないものが見えたりするから、
何か、前世に影響あるのかな??と思ったのと、
あとは、
面白そうだったから、、、』
『それではてなマーク 何か、わかったの〜???』
『正解はないよ!!
ただ、自分の中で納得いく、ピンときたものがあってね、
それ以来、現実がドンドン変わってきた。』
『望む方に変わったってこと???』
『もちろん!!』
『へーっ、‼️ いろんな手法があるんだねー
望む現実なら、誰しも作りたいよぉ〜っ 』
『その、前世療法をやってみて、僕は信じれる事 への確信か持てた‼️
それが、大きなきっかけだったよね 』
ヒロシは、力を込めて断言した。
『どう、現実変わったの〜???』
『まず、前世での母親との関係を見た時、自分が今世、どんな使命をもって、この世に出て来たかって、繋がりが分かったから、随分、生きやすくなったよ。
なんていうか? 気持ちが楽になった。
自分の思いが変わると現実も変わりはじめて、
社長から、役職ももらって、
さらに、学会もトントン拍子に作れて、
種が芽吹き始めたのを感じるよ』
と、熱ーく語るのだった。
マコは、そんなヒロシを見ていて
最高に、素敵な人だと思う反面、今の自分との距離をかなり感じてしまった。
自分とのギャップを埋められるだろうか???
等身大の自分には、ヒロシと肩を並べるだけの器が無い‼️
ここで、また、大枚はたきながら、ヒロシのセッションを受けたり、学会とやらに、自分が入ったとしても、今ひとつ、コレだ‼️と、確信もてなかったらどうするんだ???
その恐怖心の方が強くなり、マコは、ヒロシと距離を置いたほうよいのではないか???
と、躊躇し始めた。
あっという間に、夕方になっていた。
ふと、気づくと太陽晴れ☀の熱が少しやわらぎ、
今度は、キレイな夕日になって赤々と輝き始めていた。
『写真とろうか?!』
急にカメラを向けてきたヒロシに対して、
断る理由もなく、
マコ自身も、こんな良い景色での幸せな瞬間を
是非、記録に残しておきたい
そう思ったから、
『オッケー♥』 そういって、ヒロシの前でVサインを指で作り、ポーズをとった。
『今度は、2人で一緒に撮ろう‼️』
ヒロシは、マコに顔を近づけ海を背にしながら、
マコの肩にそっと片手を伸ばし、もう片方の手でパシャリ!と、撮った。
カメラには、2人の満面の笑みの顔が映った。
マコ、決定的、幸福感100%の瞬間だ‼️
ヒロシは、他にも海に浮かぶ舟や、砂浜を歩く野良猫などの写真を楽しそうに撮り始めた。
当たりが、暗くなるまで2人で浜辺で遊び、
マコは、明日、仕事が早いからと理由を伝え、その日は、ヒロシに駅まで送って貰い、そのまま別れた。
→→→ それから、マコは、意識的に
ヒロシと距離を置いたのだった→→→→
4ヶ月が過ぎた
あのままヒロシを好きになっていくのが怖くなったからだ。
“ 恋心 “
恋心は
確かに素晴らしい人生のスパイスにもなり得るが、一歩間違えると命とりだ。
そう感じるからだ。
あまりにも素敵に見えるヒロシと自分では、釣り合わない、、、
これが、今のマコの正直な気持ちだ。
例えヒロシを追うように、恋愛した所で、
気持ちにゆとりがなくなると、又、余計な心配や、醜いヤキモチが出て来てしまう
それを思うだけで、疲れ果てている自分の未来が想像出来る。
マコは、相手から、溺愛されて、お互い大切にしあえる関係を望んでいる。♡
この距離を置いていた4ヶ月の間、ヒロシから、誘いのメールは、たま〜にあったが、どれも仕事か、学会にからむ事ばかりだった。
個人的にハッキリと、お付き合いして!と告白されたことは、全く無し‼️
ヒロシという理想のタイプがマコの前に出現したが
マコは、もっと、自分の心に『ゆとり』が欲しいと思った。
そんなことを、念頭におきながら、
マコは、一旦、ヒロシの事は、忘れ、自分磨きに精をだすことに決めた。
今まで、散々、色々なワークをしてきた為、
一旦、過去を棚上げし、
『今に集中‼️ 』
することを、かなり意識的に心がけて生活をした。
ネガティブな感情が出る度に打ち消し、あまりウジウジ考える時間を減らすべく、
趣味のピアノに没頭するのは勿論のこと、
練習❢ 練習❢ と呟きながら、慣れない瞑想も、日常生活に、取り入れたりしてみたのだった。
そして、 その日も、突然やってきた。
ヒロシからの突然のメールがきた。
ヒロシの知り合いがバイオリン🎻コンサートを開くというので、マコに一緒に行って欲しい‼️という誘いだった。
もう、何ヶ月、ヒロシに会ってないだろう???
2枚、チケット取ったので、是非に!!
というヒロシからの熱〜いお誘いに、断る理由など、あるはずかない。
マコの心も、波風たたず、今じゃ、凪のように静かで落ちついている。
友人として、、、ヒロシにお会いしよう!
いいえ、、、
友人というより、ヒロシにとってマコは、
『知り合い』というカテゴリーに入れられているかも知れない。
どちらにせよ、
マコはいま、凪のような静かな気持ちで会える日を迎えられる事に、人生の彩りを感じていた。
その日、コンサートは、ディナーに合わせて夕方から、始まった。
森の中のコテージ風の建物に隣接された、オシャレな広い一軒家で行われた。
夕方、虫の鳴く声が涼やかに森中に響きわたっている。
それに同調するかの如く楽器の音色は、至福への恍惚感へと誘ってくれた。
感無量だった‼️
コンサートが終わり、
ヒロシの車に乗る迄の帰り道、ヒロシは無口だった。
マコは、コンサート、素晴らしかったと連発し、何度もヒロシにお礼を伝えた。
『いつか、お礼をしたいんだけど、ヒロシさんは、何がいいかしら???
月並みなことしか、出来ないけど、、、』
というマコに
『別にお礼なんて、いいよ?』と、ぶっきらぼうに応えたかと思うと、さっさと車に乗り込んだ。
『マコさん? 夜景でも見にいかない??』
またまた、突然のヒロシの誘いに、ちょっと驚いたが
『行く‼️』と、マコは即答した。
山から見下ろす夜景は、宝石みたいにキレイだ。
展望台まで行きたくて、2人は夜風に当たりながら暫く山道を歩いた。
回りはカップルだらけだった。
子供連れの家族もチラホラ、、、
ヒロシは、よほど写真が好きなのか???
至る所でカメラや、動画を撮って楽しんでいた。
夜遅いのに、屋台もあって、かなり遅くまで楽しめる。
ドッグランもある為、ペット連れも多く、賑やかだった。
今日のヒロシは、やけに無口だった。
帰る道中、車を走らせている間、ずっと、赤信号に、ひっかかった。
その時、ヒロシが口を開いた!
『良かった‼️ また、赤になってくれた!』
『えっ? 何でぇー?』
『赤信号で止まった分、マコさんと長く居られるっしょ‼️』
そういってヒロシは、マコの横顔をチラリと見て微笑んだ。
マコは、耳を疑った
一瞬、息も時間も止まったように感じた。
身体の血がドクドクと流れる音が今にも自分の耳にまで聞こえそうだ。
マコは、言葉を失った。
ヒロシの横顔を見て、無言で、笑顔を返すのが精一杯だった。
遂に告白があるかっ???
と、さらに次の展開に期待してしまったが、
ちょうど、最寄りの駅についてしまった。
自宅まで送ろうか?? とも聞かれなかったし、
マコ自身も今の距離感でヒロシに自宅を教えるつもりもなかった。
そして、ヒロシは、『次に会う約束』も、してこなかった。
マコは、期待外れにガッカリしたが、それでも、本日のデートは、大満足だった。
『赤信号になるとマコさんと長く居られる‼️』
こんな夢のような言葉を、今、聞いたのだ!!
くぅ〜っ!くっ !くっ!
心の中で、くっくっと、ほくそ笑みながら、、、
ヒロシに今日のお礼を何度も伝えながらマコは、車から降り、そのまま電車に乗って帰った。
ヒロシが自分に対して恋愛感情を持ってくれているかどうかは、謎だった。
しかし
尊敬するヒロシに匹敵する自分になる為には、
まず、自分のことを、大好きな自分で居たい♡
過去の学校教育や家庭環境での
否定的な刷り込みばかりを受けて来た生い立ちは、
もうこの辺で棚上げして、
自分に恋愛感情が持てる程、自分を好きになって、許せたら最高にいいな~💕
焦りだけは、禁物‼️
そんなことを、漠然と考えて過ごしていたある日
インスタを開くと、ヒロシがマコと一緒に行った先々のシーンをリール動画で上げていた。
そこには
『憧れのマコさんに会ってきた』
というワードが確かに刻まれている。
コレが恋に無骨なヒロシからのメッセージなのか???
それとも、精一杯の愛情表現なのか???
『好き🩷』とか、『付き合いたい💕』といった
ハッキリした言葉を全く貰えてない為、マコ自身、不安になることも多い。
この、いつまでも安定しない、モヤモヤ感
自分の内から沸き起こる不安感こそ、
今を生きている醍醐味ではないか?!
無理に払拭したりしないで、どんな感情も大切にしよう。
この先、ヒロシの
『特別に大切な存在』として
そして
マコ自身の
『最高のファクター(要因)』として
楽しい恋愛が出来る自分自身になる未来に思いを馳せながら、マコは、穏やかな眠りについた。
完結
最高のファクター @lovejoy3753
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