最高のファクター
@lovejoy3753
前編
憧れのマコちゃんに会ってきました!!
インスタを何気に開き、真っ先に目に飛びこんできたのが、このフレーズ。
リール動画に、2人で行った先々の景色とともに、マコと一緒に居る自分の姿をヒロシがアップしている。
マコが長年待ち望んだ世界だ。どれだけの期間、この夢を追いかけただろう???
『夢』では、ないよね!?
自分と一緒にいるシーンをインスタに堂々とアップしてくれているということは???
ヒロシは、自分達の関係性が本気である!と???
そんなふうに捉えても構わない、、、という事かしら???
それとも、、、‼️ それとも???
動画編集が大好きなヒロシの事だ。
どんな些細な事でも、備忘録として残したいが為に、気楽な気持ちでアップしているだけかも知れない、、、
それでも、、、冒頭で『憧れの、、、マコちゃん』
そう、言葉を入れてくれた事が何より嬉しい♥
嬉しいのは確かだ❢ だけど、いまひとつ、確信が持てない。
ヒロシは、自分の事をどう思ってくれてるのかなー???
金山ヒロシと、大塚マコは、あるコミュニティで知り合った。勉強会が終わり、最後のオフ会で席が隣り合わせだったのだ。
ZOOMでのグループ勉強会では、自分の言いたい事を手短にまとめながら言語化していくヒロシの発言力に
回りは、圧倒されていた。
一人だけ、抜きん出るような質問の内容だった。
『自由』
にくらせる世の中に、とことん、こだわりを持っている。
今までの、既成概念にとらわれることなく、各々が、自由に暮らせる社会とは???
朝イヤイヤ起きて、
時間に間に合うように、出勤して、
さほど、楽しいと思えない労働をして、1日を終える。
そんな、うんざりするような時間と、空間の中から、脱出し、喜びをもって、愛を与えながら、人間が暮らせる世の中にするには、、、???
ヒロシの質問の軸には、いつも、『自由』と、『調和』を感じるものがある。
自分だけの幸せだけでなく、他人と一緒に人生そのものを底上げしていきたい!!
そういう熱い想いや考え方をするヒロシにマコは好感を持っていた。
そんなヒロシと、オフ会で隣り合わせに座れた時、チャンス‼️と、ときめいた。マコは、ココぞ!とばかりに、質問し始めた。
『ヒロシさんって、日頃から、
世直しぃ〜
だとか、
人々が住み安い社会
とか、考えていて、スゴイですよね、、、
なんか、私、ヒロシさんの発言の内容聞いてて、
この人、何者?!って思ってたんですよー』
ヒロシは、ZOOMで見るよりも、随分、小柄な男だった。
指先は、白魚のように、色白で、かぼそく、
ZOOMの中では、ダイナミックな発言も多かっただけに、マコが想像していたヒロシとは、真逆で、そのギャップが面白いと思った。
ヒロシは、物静かな口調で喋り初めた。
『僕も、皆さんがどんな事を日頃から考えているのか、凄く興味があるんです。』
『ヒロシさん、今、どんな事されているんですか???』
『今、前職をリタイヤした所なんです。これから、僕の夢を少しづつ形にしていこうと考えている所なんです』
『夢って、以前仰ってた、縛りのない自由な生き方ですよね!?』
『そう、世界中どこに居てもパソコンやスマホひとつあれば、自由に自分の好きなように生きて行く
僕、その為にも、あらゆる自己投資しましたよ』
ヒロシは、静かに語った。
やっぱりな〜、、、
確かに、、、
ヒロシだけじゃなく、マコ自身も含め、今の時代、既成概念から抜け出し、自由に生きることを好む風潮になってきている。
マコだって、そういう生き方がしたい‼️
そう、切に願う一人なのだ。
しかし、マコは
コレといった好きな事が自分でも分からなかった。
外食が好き🩷
料理や、お菓子作りも、嫌いではないが、 毎日は面倒‼️
気が向いた時にするのがイイ🩷
ドライブや、旅が好き🩷
いくら頭で、捻りだしてもコレくらいしか、好きなことが浮かばなかった。
生涯をかけてコレを貫いていく‼️といった信念で強く動いていけるものを見つけられずにいた。
マコは、過去に一度、結婚したのだか、結婚している事へのメリットが、なかなか見出せず、6年で離婚したのだった。
一般的に女子達が、
好き🩷
のカテゴリーに入れるような物事を、休日にしてはいるが、身体を休める為に、
半日は、何もしないで、ゴロゴロする時間が必要になってきた。
もう、若いとは言えない、、、
最近、疲れっぽくなってきたのを実感するようになってきている。
休日は、漫画をよんだり、YouTubeや、ネットフリックスを見たり、
あとは、さほど深く考える事もなく、ただ、何となーくぼ〜っと、過ごしていた。
なので、
ヒロシが言う、世の中を良くしていく情熱的な話を聞いたり、
実際に本人に会って会話をしてみると、自分が取り残されていくような、薄っすら、さみしい気持ちになってしまうのだ。
自分には、何かが足りていない、、、!!
この足りない『欠け』の正体は、いったい、なんなんだろう???
漠然とした不安に苛まれながら、それでもマコは、ヒロシという男に近づきたかった。
真摯的な態度や回りに対する応対が柔らかで、何より謙虚だった。
ヒロシに淡い恋心を持ちながらも、これ以上、会話が続かない!!
『恋心』が、芽生えてしまったから、緊張してしまうのだ。
マコは、次、どんな事を話そうか???と、
少し焦りながら、レモン酎ハイを飲み干した。
すると、そこへ、歳は30半ば位の髪の長いキレイめの女性が、ビール生ビールを片手にヒロシの横にピタリとくっつくようにやってきた。
『ココ、いいですかあ〜??』
ヒロシは、満更でもない様子。
『どーぞぉー』と、即答し、少し席のスペースを空けた。
あーあ!この女にもってかれちゃうな、、、と、マコは不貞腐れた。
そして、心の中で、
何で来るんだよ!と、ムッとして、、拗ねたえーん
その空気感を微妙に感じとったのか? 否か?
ヒロシは、マコのご機嫌でもとるかのように、
『マコさん、何か、飲み物、頼みましょうか?!まだまだ、飲めるでしょ?』なんて、、、マコの方に顔を向けて優しく微笑むではないか‼️
ヤ、ラ、レ、タ、な ❢
この気配りが、たまらない。
『何がいいかな? お酒生ビール、強いほうなんでしょ?』と、ヒロシは、自分の右側に座っているマコに、そぉっと聞いてきた。
早いピッチでお酒を飲み干すマコの飲みっぷりを見てヒロシは、マコの事を豪快に思ったのかも知れない。
『お酒は、好きですよ。カクテルさっき酎ハイだったし、次は、ワイン飲みたいなあーラブ
ココ、飲み放題だし、色んなお酒飲めるから楽しいですよねぇ〜赤ワイン』と、嬉しそうに答えた。
すると、ヒロシにぴったりくっつくように座った先程の女性、メグミも
『あー‼️ワイン、イイネー! 私も同じの頼んじゃおー赤ワイン』と、くったくのない、可愛い笑顔を、ヒロシではなく、マコのほうに向け無邪気に笑ったのだ。
マコは、少し面食らった。
だけど、そこは、『女のカン‼️』
このメグミという女も、きっとヒロシに気があるに違いない。
吉岡メグミは、33歳のキレイな女性だった。男なら誰もが好きになるタイプだろう。
ヒロシを真ん中に挟み、メグミは、しきりにヒロシだけでなく、マコにも同時に話かけてきた。
『ZOOMの中って、なかなか、ホンネをまとめて発言するのって、難しいじゃないですか!?
でも、ヒロシさんや、マコさんの仰っること聞いてて、羨ましいなーって、私、思ってたんですよー』
メグミのいきなり発言に、マコは驚いた。
まさか、自分も、一緒に誉めてもらえるとは、、、
誉め上手でおまけに美人。なおかつ、甘えん坊っぽい無邪気な笑顔で話しを盛り上げようとする、このメグミという女性も『出来る女』なんだろーな、、、
そう思うと同時に、ヒロシは、今、メグミや、自分のことを、どう思ってるんだろう?と、気になって仕方がなかった。
マコは、メグミに対するヤキモチを、ひた隠しに隠しながら、作り笑いを必死にメグミに返した。
ホントは、メグミとなんか、一緒の席に座りたくなんかないわよ、、、ガーン
ヒロシだけを私が独占したかったのに‼️と悔しかった。
せっかくヒロシと隣り合わせになったと、喜んだのも束の間、メグミに邪魔されたようで、
一気にテンション下がってしまった。
仕方ないな、、、世の中の半分は、女性がいるんだし、、、私は、このメグミみたいに魅力的ではない、、、
マコ46歳。バツイチ。女盛りの時期かどうかは別にして、生きることに対して漠然と出てくる不安を毎日、抱えていた。
いつもの悪い癖だ。と、マコ自身でも、自覚している。
ひがみ根性を目一杯、胸に抱きながら、もう、この場が、つまんなくなったら、お先に、おいとまして、かーえーろーっ‼️
シッポを垂れた負け犬の如く、頼んでいたワインも待たずにトイレに立とうとした瞬間、
お待たせしましたぁ〜!!
と、ワインが運ばれてきた。
それを見たメグミは、
『ねっ? 3人で乾杯しましょっ!! はいっ!カンパーイ‼️』
と、明るく、その場を盛り上げた。
メグミは、ロングヘアーに、ゆるいウェーブをかけ、エクステをバッチリつけた、ぱっちりお目目。目
きらびやかなネイルをしていて、ミニスカートにジャケットを着こなしてるオシャレさんだ。
美しいお御足を横座りして、ヒロシのほうに伸ばして座っていたが、足の痺れが切れるのか???交互に足を組み替え、座り直していた。
このオフ会には、50名ほどの人数が集まっている。
居酒屋の長テーブルに、皆が一斉に、横に並んで座っている為、席を立って、すぐに移動するのも、気がひける。
差し向かいの人たちは、両横隣りの人と会話をしていた。
向かい合わせの人と話をするには、テーブルが大きい為、ちょっと距離があって話しにくい。
いったん、トイレに行ったあと、今度は、席を変え、別の誰かと会話してみよう、、、と、マコは、当たりをキョロキョロしていた。
ヒロシと、メグミが、仲良くなっていく様子を側で感じるのが不愉快だったから、早く、この場から逃げたかったのだ。
かといって、この、ほのかに芽生えたヒロシに対する、恋心をすぐには消せない!!
モヤモヤする不愉快感を感じながら、マコは、席を立った。
トイレでお化粧をなおし、気分を変えた所で、
さて‼️ このまま帰ろうか???
それとも、
せっかく来たんだから、席を変えて、誰かに話しかけてみようか???
迷ったまま心が定まらない。
迷いを抱えたまま、トイレから部屋に戻ってみると、コミュニティのメンバーも、お酒の酔いがイイ感じにまわりはじめ、各々が好きな場所に、席を移動し始めている所だった。
ZOOMで、大体の人の顔は知っているが、やはり、主催者に一言お礼を伝えるべく、主催者さんに近づいていこうとした。
このコミュニティの主催者の女性は、何社も会社を経営する凄腕の女社長だった。
このコミュニティに集まったメンバーも8割は、女性である。
女社長は、長テーブルのド真ん中に、まるで神の如く鎮座し、
『アタシの言う通りに動いていけば、必ず、成功間違いなし‼️』
と、豪語していた。
何冊も、本を出版し、中でも一押しの本を片手に女社長は言う。
好きなクラッシックをかけながら
やりたい事をイメージしていくのよ〜♫
そして、自分が成功して、叶ったシーンの感情を存分に感じる。ココが大事よぉ〜♥
その、イメージが本物なら、必ず、いい気分になれるはずだからね ❢❢
そうなれば、しめたもの‼️と、にっこり笑顔をふりまきながら
『私は、いつも、コレを鏡に貼ってイメージを繰り返しました。』といって、見せてくれたのは、
オードリー・ヘプバーンのビンテージ写真
確かに、女社長のセンスは、いつもオードリー・ヘプバーンを意識したスタイルだった。
60代とは、思えない若さと美貌をエネルギッシュに放っていた。
昔から、オードリー・ヘプバーンの大ファンだったらしく、
『強い思いは実現する!!』
をスローガンに、見た目でも、何でも
強く思う力で、現実を自在に変えられる。
というのが、この女社長のモットーだった。
そして、
一番マコに響いた言葉が
女性はまず一番に、『美』 を基準を置くと、大抵のことは上手く行く
確かに、これには、同感だ‼️
女性が閉経し、日に日に顔にシワやたるみが出てくるのをみると、
誰に何を言われた訳ではなくても、
あ〜ぁ、、、もう、、、
人生終わったな、、、と、鏡をみる度に絶望的な気持ちになり、ガッカリする日が多い。
体力的には、どこも悪くなくても、顔や身体の老化を見るのは、女の力を削ぎ落とされていくような気がしてならない。
シワは勲章だと思え!! ですって ???
誰が言い出しだ言葉か知らないけど、
それは昔の考え方だ‼️
女性から、可愛さや美しさを奪っていく、
この『老化現象』に、真摯に向きあう女社長を心から、尊敬する。♥
そんな思いで、マコは、このコミュニティに参加したのだった。
マコも、46歳という年齢になり、遂に老化を痛感しなければならない現実に差し掛かった。個人差はあるにせよ、老化は止められるものではない。
漠然とした不安の中には、しっかり
『老いる』
というテーマが入っていた。
そこに現れたのが、この心強い救世主‼️
女社長 石橋とも子 御年68歳。
50歳で、起業し、うなぎ登りにメキメキ業績を上げていた。
体型補正下着などに全く頼らず、自らの力で脂肪さえも動かし、自分の手で、リンパマッサージと、ストレッチをすることで、
ナント
『巨乳』
まで作りあげることが出来る。
というのだ。
そこには、イメージトレーニングが最重要で、社長は、昔から
胸が、小さいというコンプレックスを見事に克服し、ナント、AカップからEカップの巨乳にするという快挙を成し遂げたのだった。
しかも、身体に、いっさいメスを入れたりしないで、自分の手と、イメージ力で希望する容姿に変える。という、独自のやり方を編み出したのだ。
過去、還暦祝いとして、赤いレオタード姿をご自分で動画にもアップしており、年齢を感じさせない姿を人間は維持できるのだ!と、証明するかのように
舞台を歩いている社長の姿を観た事がある。
『人間には本来、思いの力が備わっており、そこを信じてあげないと、自分に対して失礼デスよはてなマーク
みなさん‼️』と、女社長は、力強く断言していた。
メンバーたちは、主催者の女社長の回りを囲むように席を移動しはじめた。
アレ?? ヒロシは、、、???と、ふと、気になり、
ヒロシの方向にチラリと目をやると、先程と同じ席に座っていて、まだ、メグミと一緒にベッタリとくっつき会話をしていた。
マコは、敗北感を感じながら、
今日は、主催者の女社長にお礼を言ったあと、帰ろう! と、気持ちを切り替えた。
そう、ヒロシの事は、もう、今日で諦めよう!
決ーめたっ‼️
女社長に目を移すと、飛び切り、イイ笑顔をしていた。
目が合うと、必ずニコッと、微笑み返してくれる。
その笑顔はあくまでも、自然で、媚を感じない、女性のマコから見ても強いオーラを感じる。
どさくさに紛れるかのように、マコは、遠巻きにこの女社長の顔が見れる位置に座った。
すると、すぐに岡田カナ子という女性がマコに話かけてきた。
女社長のアシスタントをしているそうで、女社長のことを、『先生』と呼んでいた。
『先生はね、何度も鏡を見て自分の顔の研究なさってるそーよ‼️ 笑った顔の時、口元から
自分の前歯が何本ハッキリ出るかまで計算してるのよ』
へぇ~っ、、、!
そっかぁ、、、計算かぁ、、、
ただ、なんとなくぼーっと生きるんじゃなくて、意識的に、
自分は、どうしたいか???
人にはどんな風に見られたいと、自分は思ってるのか???
そして、
どうなれば、自分は嬉しいのか???
どこまでも『自分は‼️』と、主体的に生きるのが大切だな
そんなことを思いながら、感心して話を聞いていると、
『ラストオーダーですよぉーっ‼️』
またたく間に、2時間半が過ぎ、店員さんがラストオーダーを聞きに来た。
今出たら、最終電車に間に合う。
マコは、女社長に、楽しかった♥勉強になりました。と、お礼を伝え、
回りの皆にも、軽く会釈をしながら、店を出た。
気になる、ヒロシのことは、今日で、忘れよう‼️
そう思ったから、ヒロシとメグミが話をしている所には、わざわざ挨拶には行かないまま、さっさと、店をでた。
この歳になって、辛い恋愛は、もうしたくない。
ヒロシは、ステキだが、今日でキッパリ忘れよう!
うん、、、それがいい、、、
ヒロシへの想いを吹っ切るように、少し冷たい夜風に当たりながら、マコは駅に向かって行った。
駅で、暫く時間待ちをしていたマコに、
『マコさーん!』と遠くから声が飛んできた。
え~っ‼️???
聞き覚えのある、その声は、ナント!ナント!
ヒロシではないかっ‼️
振り向けば、やはり、ヒロシが、息荒く走って来た。
一人だった。
例のメグミも一緒ではないか?? と回りを見渡したが、やはりヒロシ一人だった。
『ヒロシさんお一人なんですか???
一緒に居たメグミさんは???』と、思わずマコは、声をかけていた。
『皆さん、帰宅先、違うから‼️』と、
少しハァハァと、息が上がりながらヒロシは、答えた。
偶然にも、ヒロシと帰りの電車が同じ方向とは、ラッキー♥
マコは、心がちょっぴり踊ったのだが、
ダメダメ!また、自分だけの、ヌカ喜びになってしまう。いつものパターンにならぬよう、ここは、沈着冷静に!!
変な期待をもつ事など考えないようにしよう、、、
そう、自分に言い聞かせながら、ヒロシと一緒に
地下鉄に行く階段を降りた。
ヤバい ❢❢
胸が高鳴っているぞ‼️ 忘れようとしたのに、やはり、本人を目の前にすると、身体が勝手にドキドキするものなんだな、、、
マコは、暫く沈黙していた。
人混みをかき分けるように、やっと、2人は沈黙のまま電車に乗り込んだ。
2人がけの席が空いていた‼️
マコは、恐るべき速さで席めがけて小走りに進み、2人掛けの席を確保した。
そのお陰で、
2人とも、ゆっくり2人掛けの椅子に腰掛けられてホッとした。
『マコさん、お住まいは?』
『市内ですよ。ヒロシさんはぁ〜?』
ZOOMの最初の授業の中で一斉に、みんな自己紹介はしているけれど、名前以外は、忘れてしまっている。
マコとヒロシは、同じ市内に住んでいるが、決して近い距離ではない。
二駅先でマコは、下車しないといけない。
そう思うと時間が、とてつもなく短く感じた。
せっかく、ヒロシと2人だけになれた、この基調な空間を手にしたのに、只、座っているだけでイイのかっ!!
いいえ、、、もう、ヒロシへの執着は捨てよう!
さっき、ヒロシの事は、忘れる!と決めたばかりではないか!!
淡く美しい恋心が、やがて、中年女の醜い欲望に変化でもしたら大変だっ‼️
頭の中では、警報が、鳴り響いている。
ありもしない悪い妄想がグルグルと頭を悩ませる。
すると、
いきなり、ヒロシが
『マコさん、ライン交換しない??
いろんな情報交換しましょうよ』
と、言ってスマホを取り出した。
やったぁ~‼️
マコの心臓は、さらに、高鳴ったが、わざと平然を装い、
『イイですよー』と、即答した。
マコは、ヒロシにどうしても、聞いてみたいことがあったのだ。それは、、、
何故?? このコミュニティに入ったのか??
動機が知りたかった。
しかし、
もうそろそろ下車の時間だ。
今、質問しても、中途半端に話を終えることになるだろう。
ライン交換できたんだから、又いつか聞いても構わないんだし、ガツガツと質問攻めにすると、疎まれちゃうかもな、、、
そんなことを思いながらも、ライン交換をした安堵感を感じながら、マコは、ヒロシと別れ、電車を降りた。
ヒロシとライン交換出来たことは、マコにとって、かなりの収穫である。
しかも‼️
ヒロシのほうから言ってきてくれたのだ。
かなり、嬉しい♥
三日三晩、この嬉しいイイ気分ドキドキ音譜が続いていた。
これだけで、、、
ホントに、幸せな日々だった。
ヒロシの方から、ラインを聞いてくれたんだしぃ、、、
いつかは、何かしらの連絡がくるだろう♥
マコは、ヒロシから、連絡があるのをウキウキしながら、心待ちにしていた。♫
4日目の朝、いきなり乱高下が起きた。
山頂から、一気に谷底へ落ちたような
かなり激しい落ち込みようだ。
ライン、来ないじゃないかっ‼️
待てど、暮らせど
な〜んにも連絡など来やしない、、、
どーなってんだ???
情報交換しようと、言ってくれたのに。
待てよ‼️ 罠にハマるな!マコよ。
ヒロシは、他の人達にも声をかけているのかも知れない。
それに、たまたま、帰りが一緒だったから、ライン交換しただけで、特に深い意味などないのかも知れないではないか!!
ヌカ喜びはあなたを苦しめるだけよ。マコ!
そーだ‼️ 自分から痺れを切らし、ヒロシにラインをした所で、、、
また、緊張で会話が続かなくなり、気まずい思いをするだけだ!
よしなさい!!。マコよ。
ひとときの、淡き良き恋心に浸れたと考えて、ここは、もう、静かに忘れていこうじゃないか、、、
傷は、浅いほうがイイ、、、、
来ない連絡にイラ立ちながらも
さらに、闇落ちしないよう、マコは、必死に自分を、なだめたおしていた。
それから、、、
2週間以上が過ぎた、ある夕方
突然、ラインメールじゃなく、ライン電話の着信が入っていた。
ヒロシだ‼️
バックの中に携帯入れていて、着信音に気づかなかったのだ。
諦めようとしている際に、あまりにも突然なことで、不思議と、胸の高鳴りは全く、、、無い。
だが、今度は不安がドッと押し寄せてきた。
どうしよう???
何話そう???
ラインメールのほうがいいかしら???
そう思ったが、ヒロシの方から、連絡くれたんだし、、、、
恐る恐るマコは、折り返し、電話してみた。
『お久しぶりですぅ』と、明るい声のトーンでヒロシはライン電話に出てくれた。
『気づかなくて、スミマセン!着信が入っていたもんだから連絡しました。お元気でしたか??』
『はい! 実は今度、石橋先生(女社長)の講演会があるんですが、マコさん、行かれませんか??
今度は参加費、無料ですし、お誘いしました。』
無料かあ〜、、、、
それは、嬉しいがマコは、あまり乗り気にはなれなかった。
女社長のことは、尊敬しているが、今まで、コミュニティにも参加して、たくさん話を聞いて勉強してきたのでコレ以上、行く必要性を感じなかったのだ。
何だかんだ言っても、最終的には高額なお金を支払うことになるのは、目に見えている。
それより、何故? ヒロシは、この女ばかりの集まりに留まろうとしているんだろう?
そこを聞いてみたくなった。
『お誘い嬉しいですが、石橋先生(女社長)のお話は勉強会でも、沢山聞いてきたから、今回は、遠慮します。
それより、ヒロシさん、このコミュニティで、これからも、ずっと続けるおつもりですか???』
『はい! 実は、石橋先生の息子さんと僕、親友なんですよ』
なーるほど、、、納得‼️
いくら、成功法則の勉強会だとはいえ、何故、
美しいプロポーションを自在に作りあげる
美しい美乳を作る
といった理念の元に男性のヒロシが混じっているのか、少し疑問だったのだ。
ヒロシは、話を続けた。
『僕は、生活保護で育ちました。
親は、離婚して、僕は母親に引き取られたけど、母は身体が弱かったからね、、、
実はね、、、石橋先生も、以前は、同じような境遇だったんですよ。身体が弱く、起業する前は、保護に頼りながら、あらゆる勉強をされてました、
一時的に、生活保護を受けていたけど、先生は、起業して立ち上がった。
僕の母親は、もう亡くなったけど、石橋君のお母さん(女社長)見ていると、ずっと応援していきたいと思ったんです。』
いきなりだったが、そんなプライベートな話をしてくれてマコは、内心、嬉しかった。
『ヒロシさん、今、お一人なんですか?』
『はい、バツイチですから。』
『あら、じゃあ、私といっしょだね』
『マコさん、残念だなー
一緒に行ってくれると期待してたんだけど、、、
じゃ! また、いつかお会いしましょう。
失礼します!』
そう言ってヒロシは必要最低限の事を話終わると、プツリと電話を切ってしまった。
え~っ! それだけ?? 推しが足りないよぉー
と、一抹の淋しさを感じた。
マコは、ちょっと悲しかった。だが、カモにはなりたくなかったのだ。
いつもの勉強会とは違って、無料だと言ってセミナー会場に連れて行かれ、美容器具や、色んなマシーンを売りつけられるのではないか?!
そう考えると、
これでいい、、、!
お誘いを断ったのは、間違ってはいない。
そう自分に言いきかせた。
それより、女社長の勉強会でせっかく学んだ成功法則を実践してみよう。
イメージ、、、強い感情、、、
私は、どうなりたいか??
どんな未来なら、嬉しいのか??
やはり、即、浮かんだのは、ヒロシのような誠実な人から告白されて、お付き合いしたいな〜
容姿もプロポーションも整えて、若々しく居たい
ヨシ!!
これを実践しよう
女社長の仰るイメージ力をフルに使い
なりたい未来のみに焦点を合わせる
早速マコは、自分の声をスマホのボイスに吹き込み、アファメーションをした。
健康的に45キロキープ
いつも若々しくキレイで居る
毎日仕事しなくても、週2位の割合で美容のお仕事に携わりながら、食べていける自分である。
特にヒロシにこだわらなくても、
ヒロシのようなステキな要素を持っている男性と、お付き合いがしたい
そういったことを、好き勝手にイメージしてみた。
だが、実際、やってみると、あまり、実感が湧かない、、、
女社長は、いい気分になれる事が、何よりも重要と仰っていた。
悪い気分ではないが、特に妄想しても、極上の気分にはなれなかった。
それが
また、焦りを生み、上手く出来ないよーと、不快になることさえある。
今まで、失敗体験の方が多く記憶に残っているだけに、
もはや、よい妄想をする事すら、遮られている自分に、マコはハッと気づき、
まず、この癖から治していかねば‼️と、
日に日に、そんな思いが強くなっていった。
自分が健康で、望む容姿になった所で老いは、止まらない。
いえいえ、女社長のように、60代になっても、可愛い人はたくさん居る。
肯定。 否定。 肯定。否定。 、、、、、
それを繰り返しながら、否定的な事から、意識を外らせる練習をしていたある日、
マコは、遠い昔、やり残して悔しい思いが残っているのを思いだした。
まだ、幼い4歳の頃だった。
姉がピアノを弾いていて、それを聞いただけで、特別に人から習わなくても、マコは曲が弾けていたのだ。 音感だけは、冴え渡っていたように思う。
メロディーを奏でる‼️という、至福の時間が、はるか遠い昔、自分にもあったのだ。
あの幸福感は、いったい、何なんだろう???
しかし、マコの両親は、やがて離婚し、経済的に苦しくなった為、習い事などするゆとりはなくなっていったのだった。
生きていく中で、音楽をしたい!!と、何度か思ったことはあるが、マコの行った学校は、吹奏楽部など音楽にまつわるものは無く、その内
音楽をしたい‼️と思う気持ちすら薄らいでいったのだ。
大人になって、気になるセッションを受けていく内に、
自分が自分に『自己満足』する生き方をしていかないと、
誰と恋におちようが、、、、
どんな仕事をしようが、、、、
味気なく感じてしまうのではないか???
自分自身に、自分が、徹底的に満足してもらう生き方
『最高のファクターになるには?』
まず、大人のピアノを習いに行こう‼️
小さいキーボードで充分だ。
幼い頃に諦めた『〇〇したかったなー』と思う、漠然とした小さな事からやり始めてみよう。
全く、恋愛とは、関係ないが、
幼い頃の『コレしたい』をせっかく思い出したのだ。
マコは、早速、キーボードや、楽譜を購入し、近くの大人の音楽教室に申しこんだ。
幸い、若い優しい先生に恵まれ、ピアノ教室は楽しかった。
ヒロシの事から、意識を逸らすべく、美容関係の仕事と、趣味のピアノに打ち込んでいたある日
ヒロシから、また、電話がかかってきた。
『マコさん、お久しぶり‼️。
一度、お会いしたいんですが、いつか、お時間ありますか?』と、
ド,ストレートに誘ってきた。
断る理由など、何もない。
マコは、以前のように、ヒロシに対して緊張したり、胸が高鳴るといったようなことは薄らぎ、気持ちがフラットになっているのを身体で感じた。
ヨシ!! 今なら、GOサインだ。
マコは、自分の休日をヒロシに告げ、遂に2人で会う約束をした。
以前ヒロシと会った日から、もう、半年近く過ぎていた。
今ごろ、いったい、どーゆーつもりで、誘ってきたんだろう???
疑心暗鬼にはなっているが、前のような恋に対する期待感もなく、今は、落ちついて行動出来るから、大丈夫っしょ‼️
マコは、軽くオッケーを出した。
当日は、精一杯めかしこんで、なおかつ、余計な期待感は持たぬよう、肝に銘じながら、約束場所へと向かった。
季節はもう、初夏になり、街は風鈴の音が爽やかに聞こえていた。
→ 後編に続く →
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