ユノが消えた4人

ユノが走り去った後俺はゴミ山の上で寝転がって空を見ていた。

空を見上げていると4人からの視線が貫通するほど突き刺さる。

体を休めたくても見られていたら休めないので声を掛ける。


「何でお前たちは先から俺のことを見てるんだ、変に気を張るからやめてくれ」

「別に気無しなくて良い、こうなったのはあなたのせいだから見つめているだけ」


どうやら俺のせいらしいが全く心当たりがない。

確かに俺はユノの問に対し解を与えた、そしてユノが出ていった。

やはり思い返しても俺には非が無いように思える。

恐らくユノの事に関しては俺は悪くないだろう。


「反省していなようだから教えて上げましょう、ユノは話の間から嘘だと見抜いたのですよ」


間、ネラの言いたいことがわからない、確かに間を開けたがあれはどう答えるか迷っていたからだ。

別に嘘をついていたとしても俺ならあのような嘘のつき方はしないはずだ。


「つまり、ユノは俺の言葉を発する間で嘘だと勘違いしたのか」

「勘違い?嘘じゃない?」

「嘘なんてつくわけ無いだろ、まぁお前らからしてみれば信じれないだろうがな、たった1日過ごした男の言葉なんて」

「信じれない」


言い切るのかよ。

自分から言っておいてなんだが他人にきっぱりと言われると少し傷つくな。

ユノは警戒を解いたといったが明らかに解けていないな、いや戻しただけかもしれないが。


「私達は今からユノを探しに行く」

「おう、行って来いついでに家に帰れ」

「あなたも行く」


どうやら俺は耳が悪いらしい、今俺も連れて行くと言われた気がしたが気のせいだろう。


「早く準備して」


聞き間違いであってほしかった言葉が俺に向けられる。

なので気だるい雰囲気を出しながら俺は答えた。


「何で俺があいつを探しに行かなくちゃいけないんだ、せめて理由を教えてくれ」

「何故理由を言わないといけないんですか」

「ネラ、人間は感情的生き物だが同時に理性的生物でもあるんだよ、だから俺はある程度理屈を組まないと動かないんだよ」

「なら、組んであげよっか」

「ああ、できるならな」


そういったルシアはつらつらとそれらしい話を話し始めた。


「まず最初に関はユノに対して勘違いを起こさせたから責任をもってその勘違いをなさなければいけない。2つ目、ユノは今困惑状態にあると考えられるから戻さなくてはならない。」


今のネラが上げていたことに関して理屈になっていないし、いくつか反論が浮かんだがどうせ言っても聞かなそうなので納得したふりをしておく。


「分かった、俺も向かう。ユノの行き先場所に此処を当たりはあるか」

「.......」


俺の問に対して数秒の沈黙が訪れる。

どうやら何も決めていなかったようだ。


「たっく、行き先もわからないのに追いかけようとしてたのか」

「それに関しては何も言えない」

「まぁいい、お前たちがユノのと過ごして記憶に残った場所はどこだ」

「ルシアに会った神社と川の河川敷の橋の下と...後は最初に会った場所ですね」

「私もそう」

「僕も異議なし」

「そうか、それならまずは一番近い場所から行くか、夏とはいえもう6時半だからな」

「なら河川敷の橋の下」

「よし、じゃあ行くか」


そう言って俺はゴミ山から腰を上げて廃工場の天井のを見上げて扉へと向かった。


___________________


廃工場を出て河川敷についた俺達は一通り見てわたったがユノは見当たらなかった。


「此処にはいないみたいだな。次はどうする」

「ここから近いのは初めて会った場所」

「ならそこに行くか」



五人で河川敷を歩く、ただそれだけなのに妙に歯がゆいのはこの場所がユノのものだったから。

こいつらの集まり、はたから見れば普通の女子会のような気がする、だからといって何も思はないが。


...誰も喋らずに歩く、そんなことが久しぶりに心地よく思えてくる。やはり会話はどこか億劫で面倒くさい、そんな事せずともいれるこの時間が俺は好きになっていた。

そんな事を考えながら歩いていると。


「ユノ、消えたらどうしよう」

「「「つっ」」」


恐らくそれは誰もが気にしないようにしていた事の一つ、それをノアが意図的かふとしたことなのかはわからないが、言ったことで嫌でも3人は意識しなければならなくなってしまった。

今の言葉での3人の反応はそれぞれだったが、ノアも含め俺以外全員が苦虫を潰したような顔をしていた。

俺的に考えるのならどうせいつか他人からは忘れ去られて、自分も忘れて死ぬのだからどうでもいいように思ってしまうがきっと大半の人間はそうでは無いのだろう。


「人間て面倒くさいな」

「なにか言った?」

「いや何も」


どうやら聞かれていたらしい。小声で言ったつもりだったが、別に聞かれていたとしても問題は無いので放っておく。

そんなやり取りをしながら五分ぐらい歩いているとどうやらついたのか彼女達の足が止まった。


「ついたのか」

「いや、でもユノのハンカチが落ちてる、だからこっちに来たのは間違いない」

「ハンカチなんて市販のやつなら落ちってもわかないだろ」

「否定、姉の作ったやつだって言ってた」

「そうなのか」


どうやらユノはこちらに来ていたらしい。

妙な胸騒ぎがまたするがどうか勘違いであってくれと願いなら俺達はユノ探しを始めるのだった。

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