第10話 回想③
橘の気分は高揚していた。長年、考えていたことに対して、一つの答えが出たからである。外を歩いていると、大沢に会った。
大沢は「こんちはー!」と挨拶をしてきた。
橘も「こんにちは」と挨拶をしたのであった。
二人はデイルームへ行き、雑談をしていたが、橘は統合失調症という病気についての説明がしたく、大沢に話すことに決めたのであった。
「統合失調症って何なのか教えてあげましょうか?」
「えぇ、知りたいです!」
「僕たちのいる空間は4次元時空間で、一つ下には、アニメ、ゲーム、漫画、ドラマ、映画などの2次元空間がありますよね?」
「はい、そうです」
「例えば、漫画のワンピースで考えてみます。主人公のルフィがアラバスタでクロコダイルに勝利するかどうかを決めているのは誰だと思いますか?」
「う~ん、わからないです…」
「それは、4次元時空間に存在している、尾田栄一郎という人類ですよね。作者の匙加減で、ルフィたちが行きるか死ぬかを決めることが出来ます」
「なるほど…」
「じゃあ、ルフィたちは闘っているところを誰に見られているか?これは、4次元時空間に存在している、読者という人類ですよね。」
「確かにそうです」
「ルフィたちにとっての神のような存在、それは、4次元時空間に存在している尾田栄一郎ということですよ。つまり、統合失調症というのは、自分たちよりも、高次元の存在にアクセスしてしまった人たちです」
「すごい!!橘さんは頭がいいですね!!実は、橘さんと同じことを言った友達がいるんですよ。」
「そうなんですか!?」
「その友達は、高卒なんですけど、すごい難しい本ばかりを読んでいるんですよ」
橘は驚いた。自分が初めてではないのだと。まるで、自分がノーベル賞級の発見をしたのだと思っていたからであった。橘と大沢は歩きながら話すことにしたのであった。ナースステーションの前に来た。看護師さんが作った、人形が置かれている。そこにはこう書いてあった。”ご自由にお使いください”。橘は考えた。人間が作った創作物は、作った人が創作物からすれば神のような存在になる。この創作物は、人間をどのように見ているのであろうか。また、ふと目をやると、壁に紙が貼っておりそこに絵が描かれていた。とてもうまく描かれている。この、絵の人物は人間を認識することが出来るのであろうか。もし、認識できるのであれば、それは、統合失調症なのかもしれない。
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