第2話 時間を喰う者(タイムイーター)

 SF×歴史×復讐劇×ロボットのクロスジャンル。


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1965年・上海。


 蒸気の匂いと油の焼けた煙が立ちこめる、古い工場跡地。そこに、異様な光を発して現れたのは一人の男。肩に焼け焦げた傷跡を抱え、目には赤いセンサーの光――ダミーネーター0号。


 だがその顔は、誰かに似ていた。

 かつて中国の奥地で「時間を操る」とされ、処刑された天才博士・林 信仁(りん・しんれん)。

 彼こそが、この偽ターミネーターの“原型”であり、復讐の主。


 彼の命令を受けて1960年代へタイムスリップしてきたのは、部下でありながら派遣社員という立場の李 秀海りしゅうかい。あだ名は「バイト秀吉」。その忠誠心は熱く、同時に生存本能で生き抜く才覚を持っていた。


「――これが、博士の親の仇の時代……!」


 秀海は煙草を咥えながら、古びた上海の街を見上げた。

 そこには、かつて林博士の父を処刑に追い込んだ国家主導の科学管理委員会があり、トップに立つのは現在の英雄とされる科学者、**馬 良泰マーリャンタイ**だった。


「お前が林博士の父を“見せしめ”にしたってな……許しはしねえ」


 その頃、マー・リャンタイのもとにも異変は届いていた。

「……60年代に“未来の偽物”が現れただと?ターミネーター……笑わせるな。だがもしそれが“時間跳躍技術”なら……面白い」


 彼もまた、過去の影と未来の技術の交差に気づいていた。



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 回想:林博士の少年時代


 1945年。文化大革命の混乱のなか、林 信仁は父の処刑を目撃する。

 その場で父が遺したメモには一言、「時間を征する者が、すべてを制す」とあった。


 以来、林は国家から逃れ、極秘研究を始める。

ターミネーターを模した“偽りの兵器”=ダミーネーターは、復讐と再構築の象徴だった。



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 現在:時間戦争の始まり


 1965年、工場跡地にて。

 李 秀海は、最初の標的である科学管理委員のひとりを見つけ、ダミーネーターと共に襲撃をかける。だが、そこには同じく「未来」から来た、政府側のロボットが立ちはだかった。


 その名は――“真ターミネーター”。政府が開発した、林博士の技術をコピーした究極の刺客。


「偽りが真実に勝てると思うな、派遣風情が」


「……それでも、オレは博士の夢を守る」


血と鉄火が火花を散らす。だが、戦いはまだ始まりにすぎなかった。



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次回予告:

第三章「偽の英雄、時間の罠」

― ダミーネーター vs 真ターミネーターの死闘。

― 派遣社員・李秀海が、信仁の娘と出会うことで運命が狂い始める。

― 1960年代という時代そのものが“自己意志”を持ちはじめ、未来を変えようとする。



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