第8話 そして、旅に出る2
さらに、2カ月が過ぎた。世界情勢はと言うと、沈黙を貫いている。
もしかしたら、戦争に備えて各国が魔術師たちの調整を行っているのかもしれない。
サキミヤ帝国にある魔法学園はと言うと、未だに復興の兆しがないらしい。学園復興よりも別に資金を回しているのではないか。王族で何か起こっているのではないかなど噂されている。ラキはと言うと幸運にも2カ月で光炎の魔術をなんとなく習得した。
「ここに来るまで3カ月か……」
『もっと、欲を持ってすぐに光炎を習得!とか幸運使えば良いと思いますが?』
「いや……なんていうか、修行って大事じゃね? 俺、今まで魔術使ったことないし魔術のイメージも掴めなかったからさ。魔術人形の使い方とか想像も出来なかった。大変だったけど結構この時間で色々知ることも出来たし俺にとっては有意義な時間だったぜ」
魔術人形は、主が使える魔術を使う事ができる。
『そういうもんでしょうか? まぁ、僕はマスターが強くなればなるほど使える魔法が増えるので嬉しいですが……』
「そういうもんなの。幸運の使い方もなんとなく分かってきた。言霊ってやつが重要なんだな」
『はい。言葉には、強い力があります』
「さてと、そろそろ旅立ちの時ってやつかな」
ラキは、無限収納の魔術アイテムボックスを取得していた。
◇◇
数日前
「旅に出ることになるけど、すげー大荷物になるよな……。アイテムボックスとか欲しい……」
『あいてむぼっくす?とが何ですか?』
「ああ。ゲームとかでさこう時空に空間が出来て色々ぽいぽい入れて収納できる技があるんだよ」
ラキが、目の前を指さしでグルグルすると空間が現れた。
その穴をルリが覗き込む。
『こういう穴ですか?中は、真っ白ですね?』
「そうそう。こういうやつ……ってうぇぇぇえええ。俺、幸運使っちゃった? 誰か不幸にならない?これ?」
「ならないんじゃないかの?」
シチロウも、ルリと同じように空間に顔を突っ込んでいる。
「だよな!!って、爺ちゃんあぶねぇよ」
「大丈夫だ。中には入らんよ。まぁ、この魔術は欲しがる人が多そうだから人前では使わない方が良いだろうな。構造とか説明できないじゃろ?」
「指でグルグルしてたら使えたとか言ったら研究者の人たちから睨まれそう」
「だが、幸運の魔術は具体的に分かっていればすんなり使えるってことじゃな」
『まさに、口は災いの門ですね』
「俺、無口になれるかな……」
「無理だな」
『無理だと思います』
「だよな……」
「まぁ、不吉なこと考えなければ大丈夫だろう。しかし、制御魔法をすり抜けるとは……。幸運の魔術は強いの……。もう少し修行させた方が良いだろうか……」
「だっ大丈夫だよ! 爺ちゃん。魔力値って機械とかルリの兄姉しか検査できないんだろ? バレないって! ゲームみたいに見ただけで頭の上に数値が浮かび上がったりとか……」
ラキは、シチロウの頭の上に呪術師と表示されとシチロウをとてつもない魔力で覆いいだした。
『おっ! シチロウの魔力すごいですね!』
「ルッルリ!!」
『マスターが習得すれば僕も使えますからね。 瞳で覗くこともできますけど……こっちの方が随分楽に発動できます! さぁて、僕はアイテムボックスにお菓子もたくさん入れてきます。あと、ナナコが作って洋服も入れますね』
ルリは、楽しそうに部屋に戻っていった。
「ラキ!! お前、学園でゲームばかりしていたんじゃないのか!」
「だって、サトミンって会社のゲームめちゃくちゃ面白いんだもん」
そこから小1時間ほど叱られたのであった。
◇◇
「じゃあ、くれぐれも気を付けていきなさい。本当は、お前の第でこんな事が起こってはほしくなかったのじゃが……」
「仕方ねぇよ。それに、俺魔術が使えて楽しいし!」
「そうか……」
しんみりとした空気。すると、ルリが、あっ!と声を上げた。
『マスター。僕、重要な事を思い出しました』
「どうした?」
『マスターのお嫁さんも探さないとですね』
「は!?」
ラキは、ルリのいきなりすぎる発言に変な声をだした。生まれて事方、女子と話したことなんてシラヌイぐらいだ。
『だって、もしマスターが死んでしまったら僕永遠の眠りにつくことになるじゃないですか!』
「そうなの? というか、旅立ちの日にすげーこと言うな。ルリさんや」
『だって、僕は、サエグサ家の家系魔術幸運の魔術がないと動かないんですよ!! めちゃくちゃ重要です』
「まぁ……なんだ。頑張れ」
シチロウの言葉に小さな声でラキは答えた。
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