第7話 そして、旅に出る1

あれから、地獄の修行が始まり1カ月が過ぎた。

ラキは、どうにか魔法を制御する術を習得することが出来た。


『マスターは、頑張りが足りません! 早く超上級光魔術を習得してください』


「ルリ……。1カ月そこらで習得できる術じゃないからな!」


『フフフ……。イメージが足りませんよ。マスター。マスターは幸運使いです。だから、創造の魔術が使える未来をイメージするのです』


「なんか、すげースピリチュアルを感じる……」


『でも、幸運ってそんなもんですよ。他の魔術と違ってよく分からない代物です』


「今までの術者の人たちってどんな風に使ってたんだ?」


『凄い人居ましたよ! 幸運以外の魔術はなかったんです。でも、俺は光が魔法が使える!!って言ったら習得出来てました』


「そんなもんなの?」


『ええ。幸運とはそんなものです。僕が、ランギョク兄と手を組んだ時はコンゴウ兄の技が全く当たらないように幸運を願いました』


「だったら、そのコンゴウさんが負けるとかコンゴウさんを弱体させるとかの術をかければ良かったんじゃねぇの?」


『そこは、難しい所なんですがそれだとコンゴウ兄に不運をかけることになるでしょ?』


「んーーーー。確かにそうだけどそれって幸運の判定って難しくないか?」


『そうです。難しいです。相手に不運をかけてしまうとそれは呪詛返しになり僕たちに返ってきます。先ほどの、光魔法を取得したーいは誰も不幸になっていないので幸運ですしランギョク兄は、コンゴウ兄を止めたい。協力してほしいと言ってきたので誰も不運になっていません。もし、ここでコンゴウ兄を倒してくれって言われて幸運を使えばコンゴウ兄や術者さんにとっては不運になります』


「うーーーーん。それって、もし、倒されてコンゴウさんたちが不運と思わなかったから幸運ってことだよな?」


『そうですね』


「難しいーー」


『だから、幸運はここぞっと言うときやその効果で不運になってしまう方が居ないか考えてから使うことになりますね』


「最強だけど最弱ってことだよな……」


『まぁ、そうですね』


「因みに、呪詛返しってどんな事が起きるの?」


『死んだり……とか』


「怖っ。俺あんまり幸運使わないようにするわ」


『えーーーー』


「えーじゃないよ!」


『じゃあ、せめて創造の魔術を取得できるように願ってください。これは、不運に思う人居ません!』


「そうか……てか、なんでそんなに取得してほしいの?」

ラキが、尋ねるとルリは恥ずかしそうに顔を赤らめた。


『僕、まっちょになりたいんです』


「まっちょ?」


『はい。僕って身体細いし小さいからどの戦いでも補助かすぐに倒されてました。だから、今回は行く末を見てみたいんです……まぁ、ランショウ兄に頼めばカスタムしてくれそうですが……あの兄は……』


ーランショウって機械の国サトミに居るやつだよな……


「ちょっと待って。俺が、創造の魔術を取得したらその機械の国のランショウさんが不幸になるんじゃないか? 機械の国って人形のカスタムとかしてるし……」


ルリは、目が泳いでいる。


『大丈夫です! それぐらいならお腹壊す程度かもしれません』


「いや待て待て。それで路頭に迷うやつも居るかもしれないだろ! そんなにカスタムしたいならサトミ国に行こうぜ」


『えーーー。でも、あの兄は……』


「いや、行っても良いと思うぞ」

シチロウが、茶菓子を持って部屋に入ってきた。


「色々わしも考えたんだがまず、ルリの他の兄弟と協力した方が良いと思う。サキミヤ帝国のランギョクは論外。シーバ国のコンゴウは、もしかしたらルリに恨みを持っているかもしれん。モルガン・スファレライト・シャリンを所持している氷の都シマキリ国は、誰も近づけない豪雪の都となっておる。進むには、何かしらの手立てが必要だ。あの都は自分の国の者以外の立ち入りが難しい。となると、機械に発展した国サトミ国のランショウセキを頼りシマキリ国へ入国するための豪雪を防ぐ機械を作ってもらうのが一番の近道かもしれん。行方は不明だがあの国の何処かには居るだろう」


「ルリはどう思う?」


『そうですね……。あの兄はモノづくりにしか興味がなく今までの争いでは最初の争いでのみ姿を現しましたが後の戦争では一切出てきませんでした。ランギョク兄には、僕の負けで良いよ。僕は兄妹の争いを見たくなないのさと言う手紙が届いたそうです。まぁ……変人なのであまり関わりたくはありませんがモルガン姉は心強い方なのでモルガン姉とは接触したいです。最悪、ランショウ兄は倒せば良いっか……』


ルリは、ブツブツと独り言を言いだした。


「倒せばって……」


『ランショウ兄は、兄姉の中で最弱なんです。ワンパンで倒せますよ。その代り頭脳は最強ですけど』


「そうか……」

ラキは、少し悩んだ。このまま帝国に行きツバキと話がしたかったがおそらく帝国はランギョクを目覚めさせているに違いない。今の自分では幸運をフルパワー使えば勝てるかもしれないがリスクが多すぎる。それに、他のルリの兄姉の話も聞いてみたい。仲間は多い方が良い。


「よし、サトミ国に行こう。で、ランショウさんに俺が創造の魔術を取得しても良いか聴いてみないか?」


すると、ルリの目が輝いた。


『なるほど! それは良い案です! 行きましょう!』


「お前、本当に体変えたいんだな」


『はい!』


「そうと決まれば、光炎の魔術を完成させた方が良いな」


「まじかよ!」


ラキの受難は続くのであった。

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