第3話 文化祭に向けて
あーもう直ぐ、文化祭だ。この文芸部は千文字ていどの簡単な書き物を配布する予定だ。
「美蝶くん、SMはダメだよ」
前島先生が私に向かって注文をつける。あああ、イライラする。私からSMを取ったら何も残らない。
よし、夢落ち小説を書いてやれ。
私はノートパソコンでカタカタし始めると健一が頬を赤らめて寄ってくる。
「美蝶様、この健一は美蝶様と入れ替わるモノを書き始めました」
は!?
「美蝶様の姿にてハイヒールでフミフミされる小説です」
私が健一になって自分の体をフミフミだと。
変態だとは思っていたが……いや、私の前ではどんな男子もえむえむなのだ。
「あぁぁ、女の体になってハイヒールでフミフミされる。大興奮です」
ダメだ、健一はあちらの世界に行ってしまった。そっとしといてあげよう。
そんな事より、自分の小説だ。異世界転生モノにして結局、夢落ちでしたにしよう。
タイトルは『異世界で最強の勇者になって魔王を倒したら、夢落ちでした』だ。
よーし、書くぞ。
……———。
で、大体、書けたがこれ面白いのか?書き上げてから疑問に思う。タイトルを変えてみるか……。
『異世界に転生して最強勇者になっても魔王に負けて、起きると自室でした』
うむ、つまらなそうな小説だ。
少し、新タイトルに合わせて内容を修正してと。
私は書き上げた原稿を前島先生に見せる。
「確かにつまらない、でも、美蝶くんの書きおろしだ、よかろう。この話で問題ない」
へへへへ、前島先生に褒められた。気分は悪くないな。
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