第23話「本当に親にしてくれて、ありがとう」
リオル君……。
「あ……」
リオル君は俺達を見た途端、踵を返して建物の中へ入っていこうとした。
「待ってくれ!」
俺はもう無我夢中で駆け寄り、
「あっ」
なんとか抱きしめられた……。
「あ、あの」
「無事でよかった」
「……え?」
「ほんと、よかった……」
あの夢みたいに、いなくならなくて。
こうして追い付けて。
ああ、自分勝手だが、手放したくない……。
「……ごめんなさい」
リオル君がボソッと言ったが、
「いや、謝るのは俺の方だよ」
「え、なんで?」
「……俺はな、本当にリオル君を自分の息子だと思ってるんだ」
「え?」
俺はヘタレだから、結婚できないままだった。
同年代の人が子供と一緒に歩いているのを見て
一緒に遊んでいるのを見て、楽しそうに話してるのを見て。
羨ましく思ってたんだ……。
永遠に叶わない願いだなと思ってたのに……。
ここへ来てリオル君に会って、一緒に暮らして。
一緒に遊んだり、どこかへ出かけたりして。
……ここに来てやっと、俺にも子供がと思った。
ここに来てやっと、俺も親になれたかもしれないって。
これまでもそのつもりで接したけどさ、言うのは違うかと。
言わせるのも違うかと……。
いや、もしかすると嫌がるんじゃないかって、怖くて……。
それを気にして、リオル君が思い詰めたんじゃないかって……。
「だからごめん。あのさ、無理にパパとか呼ばなくてもいいけど、これからも息子と思わせてくれないか?」
俺の思いを全て言った。
すると、
「……ぼくだって、おじさんをそう呼びたいよ」
リオル君がそう言ってくれた。
「けど、けど……」
「ほんとのパパに悪いと思ってるんだよね?」
いつの間にか俺達の横にリオル君と同い年くらいの男の子がいた。
「……うん」
リオル君がゆっくり頷いた。
そうだったのか……。
「じゃあさ、このおじさんの事は『父さん』って呼んだら?」
「「へ?」」
同時に抜けた声を出してしまった。
「僕の父さんの友達が言ってたんだ。自分にはほんとの父親と育ての父親がいるって。それでほんとのは『父さん』、育てのは『オヤジ』って呼んているって。そうやって分けてればどっちにも悪くないかなって笑いながら言ってたよ」
その男の子が笑みを浮かべて言った。
「分ければか……それでもいいんだ」
リオル君が呟き、
「いいんだよ。自分の気持ちなんだからさ」
男の子が頷いた。
「……うん」
そして、リオル君が俺の方を向き、
「ねえ、これからは父さんって呼んでいい?」
そう言ってくれた。
「……いいよ」
返事をするとリオル君が抱き返してきた。
「それとね、ぼくも呼び捨てでね」
「ああ、リオル」
「うん、父さん……」
ああ、ありがとう。
本当に、親にしてくれて……。
気がつくと皆が傍に来ていて、涙ぐんでいた。
「あーしね、リオルより後に来たのに先にパパって呼んじゃったの悪いと思ってたんだ。だからつい……ごめんねえええ」
ライラが泣きながらリオルの頭を撫でた。
「ううん、もういいって」
「あー、やっとこれで言えるよ。ねえ、ボクも父さんって呼んでいいよね?」
ココが近寄って言う。
「ああ。ってもしかしてリオルが言うまではと思って、喋れるのを黙ってたのか?」
「そうだよ。ボクまで先に行ったらお兄ちゃん、グレちゃうんじゃないかなって思ったの」
ココが頷いて言った。
「グレないってば……ココ、ありがと」
リオルが半笑いになって言う。
「いえいえ。ところでボクが喋ってるのに驚かないね?」
「え? あ、そうだった。気づかなかったよ」
「リオル君はココ君の言葉分かるから、区別つかなかったんだろね」
「ははは、そうだな」
カンナちゃんとハルスが笑みを浮かべて言い、
「あっし、歳のせいか涙腺が緩くて……ううう」
「俺もだよ……グス」
ズーネさんとゴリアンさんはまだ泣いていた。
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