第7話「竜の子」

 それからは畑を耕し、種を植えて世話して魔法の練習したり、リオル君に勉強教えたりの毎日だった。

 ひと段落したら他の所にも行ってみようか。

 アプリに聞いたらマップアプリはこの世界に合わせてるって。

 

 見てみるとこの世界、元の世界に似ていた。

 今いる場所は日本に似た島の真ん中辺り。

 違うのは北海道と九州が本州と陸続きになっているのと、形が微妙に違うってくらいだった。

 


 そんなある日。

 リオル君が言うには村の少し向こう森があるとか。

 村の木材はそこの木を切り出していたらしいし、木の実もあるそうだから言ってみることにした。




 リオル君の歩幅に合わせて歩く事三十分。

 だんだんと葉擦れが聞こえてきた。


 着いた場所は、青々として結構大きな森。


「逃げた時ここに隠れてたんだ」

「そうだったんだ。それで木の実もか」

「うん。けど動物はあんまりいないよ」

「そうか……お?」

 木の根元を見ると椎茸ぽいキノコが生えていた。


「ここのキノコって人間は食べられないってママが言ってたよ」

 リオル君がそれを指して言った。

「あ、そうなのか……ん? じゃあ食べられる動物がいたって事?」 

「うん。えっと」


 きゅー、きゅー


「ん? なんだこの音ってか、声か?」

「あ、近づいてきてるみたいだよ」

 なんだろな、危なそうなら速攻で逃げよう。


 そして現れたのは……え?


「きゅー」

 そこに浮いていたのは猫くらいの大きさだが、翼があってトカゲっぽいやつ、いや。

「あ、竜だ」

 リオル君が言う。

 やっぱりそうなんだ。竜がいると異世界って感じがするな。


「きゅ~」

 どうやら怯えてるようだな。


「怖くないよ、よしよし」

 リオル君が近寄って撫でる。

 すると安心したのか、頭を手に摺り寄せた。

 竜って人懐っこいのか、それともリオル君だからかな。

 

「えと、この森には竜が住んでたの?」

「うん。ちっちゃいの見たのは初めて。ねえ、パパとママは?」


「きゅ~……」

 なんか悲しそうに鳴きながら森の奥を前足で指した。

 つかこの子、言葉理解できてるのか?


「えっと、着いてきてほしいでいいのか?」

 俺が聞いてみると、

「きゅ」

 小さく頷いた。やっぱ理解してる。


「よし、行ってみようか」

「うん」

 親は病気なのか、それとも……。




「……」

 竜だろう骨が二頭分あった。

 既に白骨化しているところをみると、かなり経ってたんだろな。


 その間、この子は一人だったんだな。


「きゅー、きゅー」

 竜が親の骨を指して何か訴えてる……あ。

「なあ、もしかしてお墓作ってほしいのか?」

「きゅ」

 小さく頷いた。

「分かったよ。リオル君、ちょっと下がって」


 光魔法の弾で地面に穴をあけ、リオル君と一緒にそこに骨を入れていった。

 そして土を盛り、


「こんなもんかな……安らかに」

 手を合わせて祈った。


「きゅーきゅー」

 竜は俺とリオル君に頬ずりした。

 礼のつもりなんだな、どういたしまして。


「さてと、これからどうするの?」

 竜に聞いてみた。

 一人でこの森に住むのも寂しいんじゃないかな?


「きゅー」

 リオル君の頭に乗っかった。

「一緒にいきたいんだな、いいよ」

「きゅー!」


「よろしくね。あ、そうだ。名前つけないと」

「きゅ」

 竜が飛び降りて地面を擦り出した。

 いや、何か書いてる?


「えっと……『ココ』? あの、これもしかして君の名前?」

「きゅ!」

 竜が力強く頷いた。

「そうか、じゃあココ、よろしくな」

「きゅー!」


「ねえ、これっておじさんの国の文字だよね?」

 リオル君が地面を指して言った。


「……あ、そうだ? ねえ、なんでこの文字知ってるの?」

 というか竜って字が書けるのか?


「きゅ~……きゅ? きゅっ」

 ココがまたリオル君の頭に飛び乗った。

 すると、

「あ、ココが思ってる事、分かる?」

 リオル君がココに触れながら言った。


「え? そ、そうなの? それでなんて言ってるの?」

「えっとね、パパに教わったんだけど、この文字はしんりゅう族の文字だって」

「しんりゅう族って?」

「竜の神様の子孫だって言ってるよ」


 な、なんだと?

 という事は神竜族か? そんな凄い竜なのか、この子?


「それと人間もこの文字読める人いるって聞いたって。それでおじさんがなんとなく読めそうな気がしたから書いたって」

 日本語が竜の文字……いや、もしかしたら日本人の先祖がその神竜に言葉を教わったとかだったりしてな。


「そうだ。あの、なんでココの思ってる事がリオル君には分かるの?」


「きゅー」

「えっと、ぼくって元々動物の言葉分かる力があるって言ってるよ。けどまだ弱いからこうやってくっつかないとだって」


「なんだって? それってなんか特別な一族とか?」


「きゅー」

「そこまで分からないって」


 そうか……。

 魔法の才能もあるし、もしかするとリオル君は何か特別な子なんじゃ?


「きゅー」

「あ、もう暗くなりそうだよって」

「あ、そうだな。じゃあ帰ろうか」




 家に帰って灯りを点けると、

「きゅー!?」

 おお、驚いてるわ。


「ぼくお風呂沸かしてくるね」

「うん、お願い」


 俺は台所へ夕飯の支度に。

 ココも着いてきた。


「きゅー」

「あ、そうだ。ココは何食べれるんだ?」

 イメージだと肉食っぽいが。

「きゅー」

「うおっ?」

 俺の背中を指でなぞった。

「えっと、『にんげんとおなじ』か。それならこのキノコは?」

 一応持って帰ってきたキノコを見せたら、

「きゅっ」

 ぷいっと横むいた。

 食えないのか嫌いなのか知らんが、まあ食わせない方がいいな。



「きゅー!」

「美味しいね」

 今日はハンバーグにした。


 二人共美味そうに食べてるよ。

 あとココは米は食べた事ないだろからどうかなと思ったが、気に入ったようだった。



「きゅ~」

「ね、気持ちいでしょ?」

 ココも一緒に風呂に入った。

 聞いたらオスで、歳は六歳だって。

 まあメスだったとしてもその歳だし、そもそも竜なんだしいいよな?




 リオル君とココは一緒にスヤスヤ寝ていた。

 ココも両親を亡くして辛かっただろに、そんな雰囲気見せないな。

 強い子なんだな、ほんと。


 そう思った時、ふわっと空気が流れた。

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