「汗に盛られて」
登場人物
計:二人 男:一人 女:一人
藤野:女 大学生
清水:男 大学生
あらすじ 大学の同じサークルに所属している藤野と清水。藤野に思いを寄せる清水は、ある日、藤野から二人で遊ぼうと誘われる。だが、デート場所はなんとサウナ!? なんとか距離を縮めようとする清水だが…
Act 1 迎合
明転。中央に三人ぐらいが座れるベンチがあり、藤野は携帯を片手に座っている。
袖から清水が出てくる。二人とも手提げバックかリュックサックを持っている。
清水 あ、ごめんごめん
藤野 おー、きた
清水 待った?
藤野 ううん、全然
清水 はぁ、よかった
藤野はベンチに置いた荷物をよけるが、清水はそこではなく、距離を開けてベンチに座る。藤野は少し清水を見つめる。
藤野 ねぇ
清水 ん?
藤野 なんで、一人分空けるの? もしかして避けてる?
清水 いやいや…あー、走ってきたから汗臭いかなって思ってさ、言わせないでよ
藤野 ふーん、ならいんだけどさ
清水 …
藤野 …
清水 …それで、今日のことなんだけど
藤野 あ、うん
清水 急にサウナに行きたいなんていうから、びっくりしたよ
藤野 えーそう?
清水 そうだよ。まず、これまであんまり話さなかったじゃん
藤野 まぁ、たしかに。じゃあ、なんとなく誘ってみたって言ったら、清水は怒る?
清水 …怒らない、けど。他にもだれか来るの?
藤野 ううん、二人だけだよ。なんか、デートみたいだね
清水 ちょっと、やめてよ。普通に遊びに行くだけじゃん
藤野 あはは、顔赤いぞー
清水 …別に。ていうか、大丈夫なの?
藤野 何が?
藤野 …あ、やばい、もうバス出ちゃうよ
清水 え、やばい、走らなきゃ。それかLUUP使う?
藤野 あんなの乗ったら人権にないよ
清水 170cmない男性はもう古くなったんだ
藤野 LUUPいじりはもう古いけどね
清水 へぇそうなんだ。…いやそんなことより急がなきゃ
藤野 大丈夫。バス停ここから徒歩二分だから
清水 …そこ集合でよかったんじゃん
藤野 たしかに
暗転。
Act 2 バス
明転。
二人がベンチに座る。バスに乗ってる様子。
清水 うわぁ、ちょっと揺れるね
藤野 道がちゃんと整備されてないんだ
清水 とんだ田舎みちだなぁ…本当にこんなところにあるの?
藤野 あるよ。ちょっと、秘境だけどね
清水 秘境…秘境って言われるくらいだから、効能がすごいとか、そこ特有のサウナがあるとかなの?
藤野 そう! そこのサウナにはいろんな種類のサウナがあるの! メジャーなものからマイナーなものまでね。居心地が良すぎて帰れなくなっちゃうんだから
清水 へぇ、そんなに魅力的な場所なんだ。どんなサウナなの?
藤野 ふふん、それは行ってからのお楽しみ!
清水 えーケチー。…あれ、何回か行ったことある?
藤野 うん! もう6回は行ってる
清水 すご! サウナマスターだ
藤野 えへへ、もう行き過ぎて汗が枯れてきちゃった
清水 あはは、枯れるってなんだよ… てかさ、そこって男女兼用で入れるの?
藤野 うんそうだよ?
清水 …そっか良かった
藤野 よかった?
清水 ううんなんでもない、まじで、まじで
藤野 …なに、バラバラだと寂しかった?
清水 いや、多分迷子になったかなーて、そういうところって大体広いじゃん?
藤野 あはは、迷子ね。安心して、そこは一方通行なの。お一人様で初見さんでも安心できる親切設計でしょ
清水 うるさい。え、一方通行?
藤野 うん、ドアを開けて少し歩くと、別のサウナにつながるドアがあるの
清水 へぇ、つながってるってことは、お店側が決めた順番があるんだ
藤野 そう、鋭いね。完全に整ったのは、最後まで行った者のみ…らしいよ
清水 藤野は行ったことあるの?
藤野 え、だから六回
清水 それじゃなくて、最後まで。最後の部屋まで行って整ったことはあるのかなって
藤野 あー、厳密にはそこまで行ったことない
清水 ギブしたんだ
藤野 まぁね、だから今度こそ最後の扉を開けてトトノウのよ!
清水 なんで急に外国人みたいなイントネーションなんだよ、もしかしたら最後の扉のドアノブだけ熱くて、物理的に空けれなくなってたら面白いね
藤野 そんな、ホームアローンじゃないんだから
清水 ホームアローン?
藤野 まじか。…あ、そろそろかな
清水 あ、着いた?
藤野 いや、まだあと二つ行ったら駅着くかな
清水 へぇ、どれどれ、あー、うん? 初めて聞く名前だ
藤野 やっぱり、みんな言うんだよね
清水 …みんな? あー、ここに一緒に来た人?
藤野 うん、地元民でも知らないっていうんだからびっくりした
清水 ふーん、彼氏とかとも来てるの?
藤野 ううん、あれ、言ってなかったっけ? 私彼氏いないよ?
清水 そうなんだ
藤野 …あはは
清水 なに笑ってんの
藤野 もうそれ使い古されてるよ
清水 …うっさい
藤野 …それにしても道悪いね。整備しろって言ってこようかな
清水 誰にだよ
藤野 管理人
清水 国ってこと
藤野 いや、ここらへん一帯山持ってるのが、今から行くサウナの店主なの
清水 え、そうなの?
藤野 そうそう、んで、ここまでバスの道引いてもらったってわけ
清水 へぇ、詳しいね。じゃあ文句って、じゃあ、そこの店主さんに?
藤野 そうそう。「お客様には気分よく来てもらいたい」って、いつも店長言ってたし
清水 いいお店のモットーだね
藤野 でしょ
清水 うん? 店長? あれ店主と知り合いなの?
藤野 あ、そうそう。私、オープニングスタッフからいるからね
清水 …初耳、そうなんだ
藤野 んで、私がいるってことは、社員割で四割引きできるわけなんですよ
清水 すっご
藤野 しかもスタンプも溜まってて、ほらこれ、七つ目だから…あ、今日二人以上だったら半額だって
清水 え、じゃあ今日本来価格の一割で入れるってこと?
藤野 そうかも
清水 え、めっちゃアツい。誘ってくれてありがとう
藤野 えへへ、どうもありがとう。あ、ついた。行くよー
清水 うん。ていうか、ここ、スイカ使えないんだ
藤野 だから、先に券二枚買っといたよ
清水 え、お金渡すよ
藤野 私電子マネー派だから、あとで送金して、はいチケット
清水 …俺電子マネーやってない
藤野 …四百二十円
暗転。
Act 3 着替え
明転。二人ともサウナ用の服に着替えてくる。初めから上着を着ていて脱いだら下に着てる、など直ぐに、違う服装に着替えられるようにする。半袖半ズボンが好ましい。ベンチに電話しながら藤野が座ってる。袖から清水が出てくる。
藤野 あ、きたきた。え、なにそれ、ウケる
清水 おい、笑うなよ
ベンチに座る清水。
藤野 あはは、どう私のは
清水 ああ、似合ってる
藤野 ありがと
清水 どこで買ったの?
藤野 私は一昨日、アマゾンで注文したの。あれ、清水のは? あ、わかった西松屋だ
清水 ちがうよ
藤野 え、うそ、イオン?
清水 小学生じゃないんだから。あれだよ、temuだよ
藤野 え、temu? テムってあの、デスクトップPCとかが十九円で売ってる誇大広告詐欺販売アプリ?
清水 そのテムだよ
藤野 あはは、サウナ入ったらその服爆発するんじゃない?
清水 リチウムイオン電池で動いてないよ。もう俺の服イジんな
藤野 ごめんごめん、似合ってるよ。その爆発する服
清水 しないって。ていうか、そのスマホ大丈夫なの?
藤野 うん、サウナに入ってもOKなやつだから
清水 いいなぁ。じゃあ早速入る?
藤野 ちょっと待って
清水 うん?
藤野 そうそう、先に契約書書いてもらう必要があって、そこの机から書いて
清水 あー、わかった。えなに、そんな危ないの
藤野 いや、そんなにだよ。まぁ、一方通行だしね。一応何かあったとき用のものだから、適当に書いちゃっていいよ
清水 そうなんだおーけー。(書きながら) 藤野はもう書いたの? これー
藤野 うん、もう書きおわってるよー。あ、んで書き終わったらそのポストみたいなやつに入れてー
清水 え、ここに?
藤野 うん、ちゃんと書いた?
清水 適当かちゃんとかどっちだよ。まぁ、書いたよ。えっと、ここか。はい、入れたよ
藤野 よーし、じゃあ、レッツゴー
清水 はーい
藤野 あ、あと清水 (二人とも歩きながら)
清水 うん?
藤野 本当に爆発しないでね
清水 するわけねぇだろ
暗転。
Act 4 サウナ① 燃焼の間
明転。
清水 えーっと、燃焼の間? 程よく熱いなここ
藤野 うん、ここの部屋はね、ロウリュウすると、いろんな光が出るの
清水 ロウリュウってなんだっけ
藤野 えっと、あの石に水をかけて、室温を上げること
清水 あー、それか。てか光るの?
藤野 うん、光るよ
清水 ほんとかよ、周りに誰もいないよね、大丈夫かな
藤野 うん、やってみて
清水 おーけー
SE:焼け石に水をかけるような音 照明:カラフルに
清水 なんか、カラオケみたい
藤野 そんなこと言わないの
清水 それに、何で燃焼の間って名前なんだろう
藤野 ああ、なんか、酸素と可燃物が熱を使って合わさるとき、光を出しながら合体するらしくて、その時燃焼って言うらしいよ
清水 へぇ、かしこ
藤野 中学校で習ったでしょ。そんなんだからFランなんだよ
清水 一緒の大学だろ
藤野 あちゃー
清水 ぶっとばすぞ
藤野 あとこれ、入り口でもらった付け塩
清水 ああ、そういえばそんなのもらったね
藤野 これを塗ってもっと汗をかいて、出た時すごい整うのよ
清水 そんな効果があるんだ。もったいないし全部塗っちゃうか
藤野 服だから、そんな背中とかに塗れないのよね
清水 自分で塗るしかないみたい
藤野 …そっか、そうだ、私手届かないから、塗ってくれる?(後ろを向く)
清水 …え?
藤野 だから、背中に塗って?
清水 (手を伸ばしたりひっこめたり葛藤)…い、いやだよ、汗に触りたくない
藤野 …はぁ、女の子にそんなこといなんて最低!(振り向くときに言い放つ)
清水 …口が滑った
藤野 あはは、冗談よ
清水 …はぁ、からかわないでくれ
藤野 あはは、ロウリュウしてあげる
清水 ちょっと、これ以上熱くなったら
藤野 えい!
SE:焼け石に水をかけるような音 照明:カラフルに
清水 あぁ! 熱い! 熱い!
藤野 あはは、顔あっか!
清水 藤野! 次の部屋、次の部屋行こう!
藤野 かしこまりましたー。あ、こら、走らない!
二人とも舞台からはける。
暗転。
Act 5 サウナ② 寒天の間
明転。 照明:青色が好ましい。
清水 えーっと、寒天の間?
藤野 そうそう、ここは寒天の間
清水 とりあえず入るか。失礼しまーす、うわ! 涼しい!
藤野 ここはちょっと休憩するところみたいな場所ね
清水 へぇ。ふぅ、ここいいね。めっちゃゆったりできる。あれ、ここ漫画も置いてるの? うわ、ハガレンも、え、噓! ぶっといAKIRAも置いてる。バンダイとかにしか売ってないのに!
清水 しかもここ、空気もすごく美味しくない? すごい澄んでる気が…
藤野 ここね、空調も管理してて、ずっと新鮮な空気がはいってくるのよ
清水 へぇ、すごくいいじゃん。いろんな友達に紹介したいなぁ
藤野 …紹介したくなった?
清水 うん! ここのこと広めたい! まぁ、でも、独り占めしたいってのもあるけど、でも共有したいなぁ
藤野 ここ実は紹介制でしか入れないんだよね
清水 え、そうなの?
藤野 そう、ここでバイトして、社員と同じくらいの功績を残したら、自由に出入りすることができるんだけど、基本は入れないの
清水 へぇ、そうなんだ…あ、二十世紀少年にゲド戦記、ロックマン? この本棚の守備範囲広すぎない?
藤野 話聞いてないし…そう、店主が多趣味なのよ
清水 らしいね、この本棚見ればわかるよ。他の人もいろいろ読んで漫画の巻数がバラバラだったりするし
藤野 ああ、直しておかなくちゃ
清水 いいでしょ、もう辞めてるんだから
藤野 そう、だね… ゲド戦記取って
清水 ゲド戦記好きなの?
藤野 うん
清水 珍しいね、はい
暗転。数秒の間。明転。
清水 あ、やばいうそ、寝てた?
藤野 うん、ぐっすり眠ってた
清水 ちょっと長居しすぎた
藤野 ほんとだ、ちゃっちゃと次の部屋行こう。時間が勝負よ
清水 いつ勝負したんだよ
藤野 はい、本棚に戻して
清水 どうも
藤野 先行ってるからねー。
清水 ちょ、ちょっとまってよー
藤野がはける。
清水 …えーっと、ゲド戦記は、さっきここにあったよな。二十世紀少年とロックマンの間…え、いや、そんな、わけないだろ。気のせい気のせい…偶然偶然。さっ、行かないと、ここで、距離を縮めないと、こんなチャンス滅多にないぞ。よし、気合い入れていくぞ清水。(顔を軽くたたく)
清水がはける。暗転。
Act 6 サウナ③ 匂いの間
明転。緑の照明が好ましい BGM:豊かな自然を感じる音楽
携帯をイジっている藤野
清水 えーっと匂いの間? あ、いたいた
藤野 お、やっと来た?
清水 うん。あれ音楽もかかってる。それに、すごく、いい匂い
藤野 でしょ、ここは匂いの間。ちょうどいいあったかさで精神デトックスができる場所
清水 なんか小難しくてよくわかんないや
藤野 あはは、わかんなくていいよ
清水 ふぅ、ここも居心地がいいな
藤野 ね、ずっといたい
清水 ふわぁ…
藤野 …どうしたの? 眠くなってきた?
清水 そうみたい、ふわぁ
藤野 じゃあここ使う?(太ももをたたく)
清水 …ああ、寝心地良さそう
藤野 誰の足が太いって?
清水 いや、罠じゃん、そんなこと言ってないよ
藤野 冗談よ、触ったら殴るから
清水 人を試すようなことしないでくれ
藤野 ごめんなさい、私の悪い癖ね
清水 …いや、いいんだけどさ
藤野 …清水はさ、もし私が物語の悪役だったらどうする?
清水 急にどうした?
藤野 いいから、答えて
清水 どうするって言ってもなぁ、うーん、悪役。まず藤野が悪役ってのが想像つかないな
藤野 え?
清水 だって、性格もいいし、周りの人間から信用されてるし、ちょっと意地悪なところもあるけど、別に気にするほどのことでもないしな
藤野 …え、そう?
清水 あと、顔も悪くない方だろ。ヒロインが似合ってるよ
藤野 …質問の答えになってない
清水 じゃあ、俺が悪役だったらどうするんだよ
藤野 殺す
清水 怖すぎるって。ピーチぐらいじゃない? クッパ殴れるの
藤野 冗談よ、うーん、悪役でも別に構わない
清水 そうか、なんかあと思ったのが…藤野って、あまり人に興味なくない?
藤野 …興味がない?
清水 そう、人に。なんか、時々寂しいときがあるんだよ。転校する時に転校するって言ってくれない友達みたいな、そんな寂しさ
藤野 なにそれ。てか、そんなことないよ、だって、清水誘って、遊んでるじゃん
清水 まぁ、そっか。でも、時々ね、時々感じるんだ
藤野 そう、ごめんなさい、気をつけるわ
清水 …
藤野 …
清水 あのさ
藤野 あのさ
清水 あ、ごめん。先どうぞ
藤野 うん、あのさ、ちなみにあとサウナが八個残ってるんだよね
清水 そんなあんの!?
藤野 あと、次の人が多分来ちゃってるから、早めに行かないとダメかもって
清水 あぁ、さっきの部屋です長居しすぎちゃったからか…わかった急ごう
藤野 うん、行こっか
暗転。
Act 7 サウナ⑩ 最後の間
明転。
清水 ふぅう、やっと最後の間か。
藤野 ちょっと、早足できちゃったね
清水 そうだね、でもまぁまぁ楽しめたよ
藤野 ほんとう?
清水 あぁ、いろんな部屋があってさ、油ぬったり、もっかい灼熱だったり、アルミホイルに巻かれて蒸されたり、他にもいっぱいあって面白かった
藤野 あはは、それはよかった。楽しめたんだったらすごいうれしい
清水 んで、ここ出れば整うんでしょ?
藤野 まぁ、厳密にはもう整ってはいるんだけど
清水 え、なんて?
藤野 ううん、なんでもない。次の部屋で、整うわ
清水 次の部屋?ここが最後じゃないの?
藤野 次が最後なの。店主のミスよ。看板発注するとき一個少なかったの
清水 そうなんだ。おっちょこちょいなんだね
藤野 おっちょこちょい、ね…
清水 …ていうか、藤野、ここまでこれたんじゃん
藤野 うん、これたね
清水 …なんで六回もここでギブしたの?
藤野 普通にきつくて
清水 きつい…あとそうだ、藤野の友達の志賀ちゃん、ここに来たんだろ?
藤野 きたけど、なんで?
清水 ストーリーに載ってた
藤野 そう…
清水 んで、あの日以来、大学で見なくなったんだよ。それと渡辺も。
藤野 そうなの
清水 その前日は藤野に誘われて遊びに行くみたいなこと言ってたんだ。別に疑ってるわけじゃないんだけどさ
藤野 …そんなわけないじゃん
清水 …だよな
藤野 そんなありえないよ、注文の多い料理店じゃないんだから
清水 …そう、だよな! そんなべたな展開なわけないよな
藤野 そうそう、ほら、次でラストじゃん。せっかくここまで来たならコンプリートしちゃおうよ
清水 それもそうだな、よーし、行くか
暗転。
Act 8 膣�鐃�
明転。照明:青色が好ましい
清水 わぁ!
藤野 え、なに、びっくりしたー
清水 ごめんごめん、あ、ここって
藤野 え、寒天の間だけど
清水 え、寒天の間? はぁ、寝すぎて変な夢見たんだけど
藤野 えー、どんな夢?
清水 なんか、注文の多い料理店みたいな?
藤野 えー、なにそれ、これから私たち食べられちゃうってこと?
清水 あはは、ありえないよな
藤野 うん、だって、ここのサウナ別に多くないし、次で終わるんだもん。じゃあ、なに、ここは居酒屋ですか?
清水 あはは、俺たちが商品なら回転率が悪すぎるよな
藤野 たしかに。あ、思い出した。ここのサウナ出た先にある料理屋がすごくおいしいの。ここ出たら一緒に食べに行かない?
清水 …うん、行く! よーし、ちゃちゃっと整っちゃおう!
清水はける。数秒後、藤野は携帯を取り出し電話する
藤野 あ、もしもし、はい。あー、はい。やっぱ塩味だけじゃだめですかね? あー下味をもっとしっかり付けたい? そうですねー、はい、それで、思い出したんですけど、どうでしょう、あのー匂いを付けたり、健康的に良いと言って体にタレを塗ってもらう。当店自家製とか言えば大丈夫ですよ。はい、そうですね、あとは、体にアルミホイル巻いてもらって、ロウリュウするとか。えー、あはは。たしかに、蒸してるみたいですね。でも最近は何でもありですからね。やっぱりSNSはじめましょうよ、きっとバズりますよ。あ、すいません、はい、そうですよね。少しずつ食べないと人間にバレますもんね。あと、山道、あそこ何とかしてくださいよ。機嫌を害されたら、お客様帰っちゃうでしょ。私たちのモットーは「お客様には気分よく来てもらいたい」なんですから。まぁ帰らせるわけにはいかないんですけど。あはは。そうです。だから直しておいてください。それと、これで七人目なんで、弟、返してください。はい、約束ですよね。ありがとうございます。はい、それと最後に。…やっぱり、もう少し注文があってもいいと思います
暗転。終。
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