春に溺れて

クライングフリーマン

行った春はあるが、来る春はない。

 バチが当たったのだ。

 若い頃、「のむ、うつ、かうの〇〇」と先輩達に揶揄されたことがあった。

 先輩に飲み屋に連れて行かれると、アルコールは「付き合い」程度で、つまみを食べる時間の方が多かった。でも、奢って貰っているし、仕事場の先輩だし、飲み屋に「出禁」を食らっている程酒癖が悪かった。

 他の先輩には、花札や麻雀に誘われた。

「カモ要員」である。父親の惨状を見てきたのに、子供の頃。

 それより何より、「ヤケクソ」だった。

 初めての大きな挫折。なかなか立ち直れなかった。

 大道具のバイトは、実入りが良かった。

 給料以外にも、同業のバイトをすることが出来た。

 知り合いの知り合い、紹介の紹介。

 どんどんお金は増えていったが、減るばかりの方面に減らして行った。

 所謂「風俗」だ。

 飲み屋系だはなく、後の世で呼称が変わる、「ト〇コ風呂」だった。

 馴染みの店が出来ると、折角苦労して貯めた金は減る一方になった。

 知り合いの知り合い、紹介の紹介のスタイルは、後世で「派遣の仕事」をする際に役には立った。

 あれから40年。結婚も出来ず、「春に溺れた」日々は、強く「思い出」に残った。

「頭の働きより腸のの働きの方が先」。医者にそう言われたことがある。

 生殖器官も、頭より先に働くのかも知れない。

 見回せば、政治家や真凄み人間は、働いた生殖器官の「訴え」を頭の「判断」より優先してしまって、ダメな人生になっている。

「目くそ鼻くそ」かも知れない。

 私は性衝動に負けても、性犯罪はしたことがない。

「意気地無し」と罵られても、AVの冒頭やエンディングに出て来る「注意書き」が脳裏を掠めるから。

 お陰で、家族を持つことは出来なかった。

 風俗以外の女性と交わったことは無い。

 風俗以外の女性と体を合わして事があるが、失敗した。

「春に溺れて」失敗した。

 私の体は、「体の年齢」が「戸籍の年齢を越してしまっている。

 後、何年生きることが出来るかな?

「工場は、まだ細々と稼働している」、と性衝動のことを冗談で言っている。

 一体何兆の「子孫」を闇に葬ったのかな?闇で無く、ゴミ箱か。

 でも、そのゴミも、頭の中で処理した性衝動も、他人に迷惑かける代物では無かった。

 来世では、「スキです」ではなく、「私で我慢して貰えませんか?」と言ってみようかな?

 人間だったら。

 ―完―


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春に溺れて クライングフリーマン @dansan01

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