第15話:明くる晨の晴天に、真を索めて行き行けば(後)
……っていうか、なんでこの明らかにジ★異世界な所にまで垣屋の名が入ってるんだ?いやまー、土屋の名は無いから、どうやら偶然の一致らしいが、それが切欠で引っ張られた可能性が高い。
……しっかし、性別まで異なってるのはなんでなんだぜ?
「どう? 保波。何か質問ある?」
にこにこ笑顔で此方を見つめる(こっちの世界での)お母様。名前もまだ知らんが、質問があるかと言われて、素直に答えてしまおう。
「……質問できるほど、まだ、読み解けてないかな、って」
「あらあら、それがわかるだけ偉いわよ。……さすがにお母様、張り切っちゃって写本の原文もって来ちゃったから、子供用の持ってくるわね」
「アッハイ」
……最初っからそうしてくれ定期。
そして、子供用の本を読解している最中に、「垣屋」の謎は解けた。前回、「北面の武士的な、でも殿上人」と書いたが、どうやらこの世界での「垣屋」という苗字は別段、地名由来でもなければ土屋家の分家というわけでもなく、「屋」、つまりは建造物、の、「垣」、つまりは塀とか門といった外部防衛装置、すなわち日本書紀でいうところの「城闕」由来の、つまりは門番系の職掌を司る家系、的なものらしい。とはいえ、ただの門番ではなく玉門の門番である以上、天皇家や藤原氏などを除けば、相当優秀な実力の持ち主らしく、故に殿上人という格を以て養っている、ということらしい。
まあ要するに、武士の原型的な、つまりは「武士=武装貴族」説が当てはまる場合の、典型的な家系の原風景、とでも言えようか。
では、
まあ、その効能は術者や術式によって違って、魔法陣を描いて発動する人もいれば、呪文によって発動する人もいるし、場合によっては予備動作なしで発動できるズーパーメイデンもいるらしい。
……で、
「ん? 保波、なにやってるの?」
「……魔法が使えないかと思って」
「ふふふ、保波にはまだ早いわよ。……魔法は、生まれてから一回りくらいしてようやく使えるようになるわけだし、まだ修行もしてないじゃないの。……勉強に励むんなら、教えてあげても良いわよ?」
「……勉強って?」
「うん、歴史や地理は基本だけど、今日日算術とかもできないとね。ああ、もちろんだけど読み書きもサボっちゃだめよ?」
「は、はい」
……うーわー、義務教育をやり直しかよー……。
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