少女
少女は、フェンスをよじのぼり、「あたし、審判する」なんてほざきはじめた。
「審判よりもセンターとかライトが欲しいけど」
「そうだそうだぁ、おれだってのこのこレフトに飛ばすほどばかじゃないぜ。まぁ、この状態だと飛ばすしかないんだけど。ライトだとできる時間短くなっちゃうし……」
吉北くんがほおをふくらませながらぶつぶつ言う。
「アッ!
目を細めたり、かっぴらいたりしながら駆け寄ってきていた姫田くんが、ようやくわかった、というように叫んだ。「こいつ、こいつだよ、芳野と佐場に言った新マネージャー!」
「この子が?」
「そうよ、あたしが新マネージャー美少女、木下
「美少女?」「そうかなあ……」「ただの女の子に見えるけど」
吉北くん、姫田くん、佐場くんが顔を見合わせて首をかしげる。
「なによう!」
木下さんが、みけんにしわを寄せて、大きなため息をついた。
「というか、あんたらの名前は?」
「ぼく、芳野
ふぅん、と、木下さんは鼻を鳴らした。
「おれ佐場。佐場
「おれは吉北~。ファースト!」
「そっちのおかっぱは?」
「おれ? 昨日言ったろ」
姫田くんが首をかしげ、まばたきをした。ひとより長いまつ毛がゆれた(ような気がした)。
「忘れたわよ」
姫田くんが、大きなため息をついて、こめかみをおさえた。
「おれは姫田
「なにそれ、ピッチャーも?」
「本職には負けるけど、一応」
姫田くんが肩をすくめる。
木下さんはまた、ふぅん、と鼻を鳴らす。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます