第6話 爆弾とケーキ



 イギリスの街並みが広がる中、私は父と一緒に旅をしていた。最初は一緒に食事をしていたけれど、いつの間にか別行動になり、私はレジ打ちの仕事を始めた。だが、打ち間違いが原因でクビになり、次に警察体験に参加することになった。


 そこで出会ったのは、天然ちゃん——少し抜けているけれど、どこか憎めない女の子。彼女は友達がマンションでDVを受けているかもしれないと警察に相談しに来た。署長はなぜか私を男用の警官服に着替えさせ、マンションへ向かうことになった。


 マンションに到着すると、天然ちゃんとその友達たちは部屋に入っていった。私は外で待機することになり、ひとりぽつんと立っていた。すると、足元にボールが転がってきた。


 蹴り返そうと近づいた瞬間——火花が散った。


「爆発するじゃん!」


 慌てて逃げ出す私。しかし、その爆弾は追尾してくる。何とか裏の広場まで逃げ込み、爆弾をそこで爆発させることに成功した。


 その瞬間、子供の笑い声が響いた。


「惜しい〜!」


 振り返ると、ケラケラ笑う幼児が立っていた。私はすぐに近づき、その子を押さえつけた。


「幼児だろうが犯罪者は犯罪者だ。」


 しかし、押さえつけられた子供はポロポロと泣き出した。私は仕方なくケーキを差し出した。


「ほら、食べな。」


 だが、子供はケーキを食べずに正座をし、「ケーキ久しぶりだよ!」とにこにこ笑った。そのうち母親がやってきて、親子でケーキを食べることになった。


「どこで爆弾を手に入れたんだ?」


 私は尋ねた。子供は「お兄さんがくれた」と答えた。例のDV男か?と思ったが、確証はない。


 天然ちゃんたちが戻ってきて、友達は無事だったらしい。私は爆風で負傷した唯一の人間として、親子に手を振りながら帰ろうとした。


 その時——唐突にフラッシュバックが起きた。


 室内で爆弾を使った男がいた。自殺を遂げたその男は、未来のこの子なのか、それともまだ生まれていない存在なのか——。


 帰り際、私はその子を抱きしめて「バイバイ」と言った。


「分かっちゃった、警察さん〜」


 子供はにやにやしながら手を振った。

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