第92話

タバコの煙が真っ暗な空気に広がっていく。




野々村夏実は今日、楽しそうだった。

喜んでいた。笑ってもいた。




ーーーーでも俺があの時。エマの事で怒鳴った時。


辛い顔をした。悲しい素ぶりをした。

俺の腕を掴む手が、震えていた。




ーーーー俺はあいつが笑顔になるようなこと、何も出来なかった。



考えてみりゃ、プレゼントもケーキもドレスも

コウキの金でやったもので、

俺がしたことと言えばエマの相手位ぇで。


今日の特別なエマと、特別なエマを見て喜ぶ野々村夏実の笑顔は


実質、コウキが作ったもので。


コウキがエマを、野々村夏実を笑顔にさせたってことで。




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