〝観測者原理〟という言葉が、あります。量子力学から宇宙物理学、そして心理学。様々な学問で用いられる言葉です。とても乱暴に言うと、その言葉の意味は〝観測したから、その事が決まる〟という事です。そうだと思ったから、そういう事になる。こんな意味にも受け取れます。怪異も同じだと思うのです。語るから怪異になる。本編は、そんな優れた短編です。読んでみて欲しい。確かめて欲しい。物語の本編は思い出話。怪談の本質は最後。その一言です。怪異が立ち上がるから。
正体は、人だとしても、獣でも、何であろうとかまわない。人けの無い山にあらわれる、得体の知れない存在。人ならざる領域に出現した、正体も、行動原理も読めぬ存在。それだけで、十分すぎるほどに、怖い。
この話を読んだ反応は2つ、笑うか、恐れるか。私は2つ目だった。 口語体のかなりカジュアルな文体に加えて、落語の様な語り主体の構成により、読者は気楽に相手の話を聞いているような気分になるだろう。これは没入感を生み出す。そして、没入感と恐怖は比例する。 序盤ははっきり言って微笑ましいものの、徐々に話が変わってくる。途中でオチがつくのだが、ホラー作品は往々にして最後が怖いのだ。 色々と書いたが、読まなければ体験出来ない。先入観は捨てて見るのを勧める。
このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(121文字)
間違いなくホラー。ただし、怖さの方向性が違います。ホラーと聞いて何を想像しますか?本作の結末はきっと、貴方が思い浮かべたものとは違います。お読みになる際は、コーヒーやお茶などは絶対に飲んではいけません!取り返しのつかない恐怖体験をすることになるかもしれませんよ……。
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