第3話
ー夏。
一年を通してふんわりとしたひとだけれど、夏のきみはふんわりというよりへんにょりする。
駅のベンチでしょぼしょぼと飲み物を飲んでいる彼の首筋からは汗が滴っている。
ぱたぱたと手で自分の顔を仰ぎながら、彼は恨めし気にホームの電光掲示板を見つめていた。
「暑いのが苦手なんですか?」
思わずそう問いかけると、彼はぱちぱちと瞳を瞬かせた後、うーんと首を傾げる。
「夏は太陽が眩しくてはしゃいでしまうんだ」
自分の体力のことを何も考えずにはしゃぐから、彼は一日の最後には決まってへんにょりする。
そのくせ夕立に降られると、なぜだか嬉しそうに笑うのだ。虹、見れるかな、なんて言って。
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