022:青ゴブリン、森を行く①

 ジンジュです。

 森の異常を調べよう! ……の前に、そこで崩れてる骨の兎を【鑑定】させてもらいます。

 あと、大きさが近い虎柄の兎レティシアさんも。


「……ぴすぴす」


 興味なさそうに草食ってる。けど、本人(?)の許可は頂きました。

 じゃあ早速……


―――――

スケルトンラビット(♀) Lv.7[討伐済]

(分類)魔物/動物型

 草原や森に現れる、白骨化した兎。彷徨う亡者アンデッドの一種。

 通常のラビットより身軽だが、物理的な衝撃に弱い。


 HP:0%   MP:9%

―――――

レティシア Lv.12

 ミニラビット(♀)

(分類)魔物/動物型

 草原や森に棲む、小型の魔物。草食。

 ミニラビットから進化した個体がほとんどで、生態もほぼ同じ。


 HP:100%   MP:―

―――――


 図鑑読んだからか、ちょっと仕様が変わってる。

 んで、色々違うんだな~。レベルとか属性タイプとか。


 衝撃に弱い……階段から落ちたら骨折れる、ってこと? ……良くないたとえでしたスミマセン !!


「……昔っから謎やねんけどさ~、結局この手のお化けって生きとるん? それともんどるん? どっちなん ?? 」

「「俺らに聞かれてもなー……」」

「ぴすぴす」

「魔法生物の生き死にって、よく分かんねえよな……」

「カァ~」


 何か味わい深いやり取りになったな~。クロウくんの鳴き声のせいかな?

 この世界は謎だらけ。実に興味深い……


 ちなみに骨兎、はった・むさしさんが【自動解体】したら、そのまま「ラビットの骨」になった。

 白く光るサイコロポリゴンにはならないんだな~。



 魔物から素材へ。じょうだ。

 なむなむ……



 ◇


 森に入ったら、早速〈危機察知〉が反応した。斜め左から、ガサガサ草をかき分ける音がする。

 出てきたんは、“▽スケルトンウルフ(♂) Lv.7”……だけじゃない !?

 4体……さらに3体来た。合わせて7体、って多いよぉ !!


 8対7と言っても、こっち半分ウサギカラスだからな ??


《「スケルトンウルフ」7体と交戦中です》


「ッチ、こんな狭いとこで……」

「ほんまそれ」


 ボーゼが舌打ちして、えすとが同意する。そりゃそうだ、ここ獣道だぞ?


 仕方ない、大盾構えて……


「【ガード】、【鑑定】、おら来いやぁ !! 」

「えーと、【三重詠唱トリプル・スペル】、【光属性付与ライト・エンチャント】」


 【鑑定】結果は後で見る。 ……クセになってんだ、目的外使用が。

 で、えすとが魔法をおまけしてくれた。ありがとうねぇ。


 そこに、カタカタカタ! って走ってきた3体が、次々当たる。


 ……速い、でも軽い。骨だな~、余裕で止めれた。

 動きは“1.2倍速の狼”て感じやけど。大口開けて飛びかかってくる所とか。

 あと、めちゃくちゃHP減ってる。3体目なんか、一撃で0ゼロ


「ふんす!」

「ぷう!」


 あとの2体も、小兎2羽とがのとダイスに蹴られて、カラカラカラって崩れた。

 ……マジで衝撃に弱いんだな。


「「【光の魔球ライト・ボール】」」

「【光の魔球カァ・カァ】!」


 えすと、はったさん、クロウがそれぞれ、白い光の玉をはなつ。

 3つの玉が、後から来た骨犬3体を襲う。


 闇属性に〈光魔法〉、効果は抜群だ。こちらもカタカタ崩れ落ちた。


「やっぱ“弱点4倍”は頭おかしいぜ……」

「カァ……」


 で、最後の骨犬をほうを見たら……


「ぴすぴす!」


 レティシアさんに蹴られてけてた。哀れ、“▽スケルトンウルフ・コマンダー Lv.6”……

 そこにボーゼが駆け寄る。


「フンッ!」


 またや、また朱塗りの盾放っとる! 何しとんねん !!


《「スケルトンウルフ(♂)」2体を討伐しました。以下の条件が満たされています》

《〈体力強化〉がLv.3になりました》

《従者「とがの」の〈器用強化〉がLv.3になりました》


 まずは手を合わせて……なむなむ。

 ……あっさり勝ったな~。骨相手だからか、体格差とか関係なかった。


 訂正。戦いは数だよ、兄貴。



 じゃあ、後回しにした骨犬の【鑑定】結果を……


―――――

スケルトンウルフ(♂) Lv.7[討伐済]

(分類)魔物/動物型

 草原や森に現れる、白骨化した狼。彷徨う亡者の一種。

 通常のウルフより身軽だが、物理的な衝撃に弱い。


 HP:0%   MP:15%

―――――


 目新しい情報はなさそう。じゃあ次行こうか~。



 ◇


 前来た時と同じ所を通ってるらしい。けど、何か雰囲気が違う……

 ボーゼが奥の木の根元を指さす。


「おいジンジュ、あれ見てみ?」

「何や急に……」

「こら珍しい、ゴーストのご遺体や!」

「……日本語しゃべれや ?? 」


 たしかに、半透明の人が倒れてる。その上に“▽ゴースト(♂) Lv.8[討伐済]”って文字列も見える。

 で、“ゴーストのご遺体”? 何その……何 ???

 もっと分かりやすく説明してもろて……


「おい幽霊が死んどぉぞ !! 」

「そうですがそうではない! ……はなから死んどぉやろ幽霊は。“死人の死体”て何どい ?? 哲学てつがくか ??? 」


 とか言ってたら、また茂みを掻き分ける音。現れたのは……半透明のオス鹿でした。

 ま~、立派なツノだね~……ってこっち来る !?


 【ガード】……はきついか。


《「ゴーストディア(♂)」1体と交戦中です》

《抵抗に成功しました》

《従者「とがの」が抵抗に成功しました》


 幽霊鹿が悠然とこっちに歩いて……いや浮いてる。悠然と飛んでくる。今にも


「お? ワシのシマで何しとん ?? 」


とか言いそう。

 カッコいい所、申し訳ないんだけど……


「【鑑定】、【火の魔球ファイア・ボール】!」

「キ゛ュ゛ー゛ン゛」


 挑発して、魔法をぶつけておく。【鑑定】結果はまた後で。

 どうせアンタ、慈悲とかないんだろ? こっちが逃げる義理もやられる必要もないし。


 ……後ろに吹っ飛んだ! 効いてるな~。幽霊、魔法には弱いのかな?

 あと、鳴き声めちゃくちゃひずんでる。ギターか、いや知らんけど。


 あと幽霊鹿、そもそも動きが遅い。じゃあ……


「とがのさん、【鑑定】お願い!」

「ふす! ……【鑑定ふんす】!」

「ありがと~!」


 この手があった。何で気付かなかったんだろ……?


「その手があったか……!」

「次から俺も使おー」

「次とか言わずに、今やろうぜ?」


 後ろがにぎやかだな。


「せやせや……【三重詠唱】、【光属性付与】!」

「お、ありがと~!」

「……えすとっきゅー様。属性付与とは何でしょうか?」

「幽霊をぶん殴れる魔法だよ」


 後ろで、さらに気になるやり取りが……余裕だな !!

 幽霊鹿ぶん投げてやろうか ??


「【受け流し】……っとい!」


 斜め左後ろの木にぶつ……からずにすり抜けた。知ってた、幽霊だし……。


《「ゴーストディア(♂)」1体を討伐しました。以下の条件が満たされています》

《Lv.6になりました》

《〈火魔法〉〈生活魔法〉以上のスキルがLv.2になりました》


「……し、ししししし死んでる ??? 嘘やん今の一撃で ?? てかどこ行ったぁ !!? 」

「「「あっち」」」



 とりあえず、手を合わせておこう。

 なむなむ……


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