花火色

華周夏

君を照らす花火色

君がつま先立ちした


一秒が 


僕の時間を止めた


微かにした


リップの化学式に


右手のラムネの味も解らない


僕を見つめるその瞳


いつもの君はもういない


花火を近くで見たいと言う君


地響きと浴びる光のフラッシュに


浴衣の僕の


腕に本気でしがみつきながら


斜め上を仰ぐ君


夏休みがもうすぐ終わる


伝わる


地面が揺れる


浴びる閃光


辺りが染まる花火色


夏が


こぼれていく


あふれていく


まるで


ラムネの炭酸色の泡


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花火色 華周夏 @kasyu_natu0802

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