第4話 既成概念
「…というわけで、虚実存在の特徴に関する文章は規制されたってわけだぜ」
「へぇ、なんだか怖い存在ね」
「それじゃ最後に、虚実存在を認識して消失したとされてる人の残した言葉を表示するぜ」
「え? それって呪われたりしないの? 怖いんだけど」
「大丈夫、今のところ問題ないとされてるのぜ」
「え、今のところって…」
「それじゃ、はい、バン」
画面に映った顔だけのキャラクターがそう言うと、画面にはひもが絡まったような記号の書かれた紙が映される。
そしてその紙には雑に『これは死だ』と書きなぐってあった。
少し前に流行った虚実存在についての解説動画を見終えた僕は、何とも言い難い気味の悪さを感じていた。
サムネイルに興味を惹かれてつい見てしまったが…見るんじゃなかった。
それにしても、『死』か。
なんとも不気味で、ちゃちな言葉だ。
最後に表示された文を考えるに、虚実存在が死と同義であるということだと思うが、どうも納得がいかない。
画像の分類で発見されたなら、数値の情報としてそれが映っているということだ。
それならば死なんていう概念的な、実体のないものであるとするのは少し乱暴だ。
それならば死という言葉の意味を変えないと…あぁなるほど、もしかしたら、それを示す形容詞や名詞が存在しなかったのかもしれない。
そこで一番近い概念を記したと。
まぁ、嘘かもしれない情報をこれ以上考察しても仕方ないな。
思考することでだんだんと気味の悪さが薄れた僕は、また別の動画をあさるのだった。
虚実存在 mackey_monkey @macky_monkey
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます