幽玄艶歌:一【短歌】


幽玄艶歌:一

『死が二人を分かつとも』


■黄泉路越え 幽玄暗夜の 逢瀬旅 彼方の朧に 燃ゆ曼珠沙華


よみじこえ ゆうげんあんやの おうせたび かなたのおぼろに もゆ まんじゅしゃげ


■死してなお あなたと一つに なりたいと 涙をすすり 血肉を啜り


ししてなお あなたとひとつに なりたいと なみだをすすり ちにくをすすり


■曝首 抱えて辿る 下り坂 永久に堕つるは 恋の地獄ぞ


しゃれこうべ かかえてたどる くだりざか とわにおつるは こいのじごくぞ


■身を裂かれ 鴉ついばむ 屍ぞ 我も共にと伏せ晒す肌


みをさかれ からすついばむ しかばねぞ われもともにと ふせさらすはだ



  ▼


以前、カクヨムで開催された俳句・短歌コンテストの第一回に出しそびれ、そのまま手許で眠っていた短歌達です。

『幽玄艶歌』と称し、二十首の連作短歌として出す予定だったものです。

内容としてはホラーというか、怪奇と幻想と耽美、あやかしや死や背徳、そして愛欲と情欲が詰め込まれたものですね。


それらを改稿し再編し、数首ずつテーマごとに掲載していこうと思っております。

という事で今回の四首は『死が二人を分かつとも』。


最初の歌は彼岸と此岸で逢瀬する二人の魂を描いたもの。

二つ目は、ホラーでよくあるカニバリズムなアレですね。

三つ目は、亡き恋人の首を抱え冥道を歩む覚悟。

そして最後は、野晒しにされた亡骸の傍に、同じ苦しみを得ようと横たわる柔肌、といったところでしょうか。


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