死と踊れ、夜を撃て


何処までも霧にむせぶ街


時計塔の歯車が叫ぶ


フロックコートを翻し駆けろ


銃声は何よりも雄弁なのさ



絞首台に死神が嗤う


闇を纏い鐘を鳴らせ


月光に浮かぶシルエット


そこは最高で最低の舞台



ディストピアじみた昼間は用済み


自由な夜をこの手の中に


震える神父に労いと弾丸を


「また来世で」と眉間に一撃



羽根飾りの帽子を投げ上げて跳べ


奪われるくらいなら捨ててしまえと


薔薇の花弁を雨と降らせて


振り向きざまに嘲笑を



漆黒の魂は闇に溶けゆく


死神なんぞにくれてやらねえ


こめかみに突き付ける冷酷な銃口


引き金は自分で引くのがセオリー



黎明の刃が暗黒を切り裂く


燃える夜明けは終演の合図


狂気と祝福の拍手を我が身に


骸も残さずスマートに去るのさ



薔薇と死と災厄をかざして


黒き反逆の旗をこの手に


何度でも蘇るそれが運命


再び訪れる夜を誓おう



死と踊れ夜を踊れ


あの時計塔を撃ち抜く日まで



  ▽


『倫敦の夜を駆ける狂気と災厄の王

月光を背にフロックコートを翻し

響く銃声は鮮やかに死を讃え

薔薇と血と硝煙で闇を彩る──』


霧のロンドンで夜ごと現れる怪人、時代がかった衣装で闇を月下を駆け抜け、死と薔薇を街に降らせる、そんなピカレスクロマン。


伝説のパンクロックバンド『the willard』の歌詞みたいな詩を作りたかった。

満足している。言い訳はしない。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る