Love at First Sight④
二週間後のGW。ついに、待ちに待ったこの日がやってきた。私は慣れない手つきで駅の券売機から新幹線のチケットを取り出す。私はこれから大阪に向かおうとしていた。
「えーっと、新大阪行きの新幹線は……あった! あそこの乗り場だ!」
初めて一人で乗る新幹線であったが、なんとか迷わずに新幹線への車内へと辿り着く。無事に新幹線に乗れたことに安心しながら、私は予約していた指定席へと座った。
窓側の席につくと、私は首にかけていたヘッドホンを頭につける。スマホを操作し音楽を流す。もちろん、流す曲はタイガーのものだ。
長い間楽しみにしていたこの日、事前にライブハウスの場所もしっかり確認したし、そこまでのルートも調べてある。準備は全て万全であった。新幹線が走り出すと、私はタイガーの楽曲を聴きながら今日のライブに思いを馳せる。
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二時間半もすると、あっという間に私は大阪の地に降り立った。初めての大阪、時刻は14時。少し遅いが、今からお昼を食べてライブハウスに向かえばちょうどいい時間帯だ。
私は地下鉄に乗り換えて、まずは梅田駅へと向かう。ライブハウスは心斎橋駅だが、事前にランチを調べていたらどうしても行きたいお店を見つけたのだ。
梅田駅に着くと改札を出て、目的地に向かう……と言いたいところなんだけど、とにかく人が多い……。東京も人が多いことには変わらないが、初めての土地でこうも人が多いと道がわからなくなってしまう……。
「えーっと……8番出口は……」
スマホの地図アプリを頼りに、なんとか私は出口を見つけて地上に出る。地下は見晴らしが悪く自分がどこにいるのかわかりづらかったが、地上に出さえすればなんとかなるはず。私は引き続き地図アプリを見て目的地へと向かった。
歩き続けること10分。私は目的地の『ブルータル・バーガー』へと到着する。名前の通り、ここはハンバーガーの専門店。何を隠そう、私はハンバーガーが大好物であった。
人気店のここはお昼時はかなり並ぶようだが、少しお昼にしては遅めの時間なのが功を成し、並ぶことなく入店する。お店の内装もアメリカンな感じでいい雰囲気だ。私はカウンター席に案内され、メニューに少し悩んだあと注文をする。
「お待たせしました。こちらダブルバーガーです」
数分もすると、私のテーブルには注文したハンバーガーが運ばれてくる。並々ならぬサイズのそれは、チェーン店のハンバーガーとは規格外の大きさであった。私は心を躍らせながらハンバーガーを包み紙に入れ、大きく一口かじる。そのおいしさは衝撃が走るほどで、私は一心不乱に続けてかぶりついた。
あまりのおいしさに一瞬で食べきってしまった私は続いてコーラを飲みながらセットのポテトをつまむ。すると、店主と思わしきおじさんがカウンター越しに声をかけてきた。
「お嬢ちゃん、いい食べっぷりだね。どうだい? うちのハンバーガーは」
「あ、はい! とてもおいしかったです!」
がっつきすぎていたことに少し恥ずかしさを感じながらも、私は感想を伝える。
「おぉ、そりゃよかった。よかったら会計時にクーポン渡すから、また食べにおいで。グループで使えるからお友達の分も割引できるよ」
「えっと、すみません。私東京から来てて……」
「東京? そりゃあちょうどいい。今度渋谷にも店を出すんだ。そこでも使えるよ」
「本当ですか!? それじゃあ、また食べに行きます!」
東京でもこのハンバーガーが食べれることに私は嬉しさを隠せずにいる。よくよく考えれば渋谷にもお店が出来るんだったら、わざわざ大阪まで出てきたんだから他の物を食べたらよかった……と思いそうなところであるが、そんなこと気にならないほど私はこの味に深く惚れてしまっていた。
私は気分が高まったまま会計を済まし、店主さんからクーポンを受け取る。さて、お腹も膨れたしいざライブハウスへ。私はスマホを取り出すと地図アプリを起動し、再び地下鉄の駅へと向かった。
……はずだった。
ちょっと待って。ここどこ? 駅って確かこっち方面じゃ……? しまった。8番出口じゃなくて、つい見つけた入り口から地下に入ってしまったせいで完全に来た道とは違う道に迷い込んでしまっている。
どうして私ってこんなにも方向音痴なの……!? 私はみるみるうちに冷や汗をかく。落ち着け。まだ開演まで……いや、タイガーの出演時間を考えたらまだ時間に余裕はある。私はとにかく、駅の方角へと歩き出した。
だけど、梅田の地下ダンジョンは私をどうしても目的地にたどり着かせたくないらしい。私は何度も行ったり来たりを繰り返し、ようやく地下鉄の駅へと辿り着く。道中、改札を通ったかと思えば別の地下鉄だし、階段を上り下りさせられて自分が今何回にいるのかもわからなくなるし散々だった……今度来るときは絶対レイヤたちも連れてこよう……。
私はライブ前だというのにすでに疲れ果てた顔をしながら、心斎橋方面への電車にやっと乗ることができたのであった。
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