第8話「夏の終わりに」


「今日はどこに行きたい?」

「そうですね...」

美咲は少し考え込む。

「実は、新しくオープンした本屋があるんです」

「本屋...ですか?」

「ええ。佐藤さんの趣味が読書だと聞いて...」

山田の言葉に、美咲は胸が熱くなる。


新しくオープンした本屋は、駅から少し離れた静かな場所にあった。

「ここ、雰囲気がいいですね」

「ええ。本を読むのにぴったりな場所だと思って...」

山田の言葉に、美咲は胸が熱くなる。


店内を回りながら、二人は最近読んだ本の話で盛り上がる。

「実は、佐藤さんが担当している作家さんの本、全部読んでるんです」

「えっ、そうなんですか?」

「ええ。佐藤さんの選ぶ本は、どれも面白いですから」


本を選び終え、二人は近くのカフェに入る。

「何にしますか?」

「そうですね...」

美咲は少し迷う。

「ここのスペシャルブレンドがおすすめですよ」

「では、それをお願いします」


コーヒーが運ばれてくるまでの間、二人は最近の出来事について語り合う。

「実は、来月から新しいプロジェクトに参加することになったんです」

「えっ、そうなんですか?」

「ええ。佐藤さんと一緒に働けるのが楽しみです」

山田の言葉に、美咲は胸が熱くなる。


コーヒーが運ばれてきた。

「美味しい...」

「良かったです」

山田の目が優しく微笑む。


「ところで...」

山田が少し言葉を濁す。

「はい?」

「実は、来週の土曜日、もし良ければ...」

「はい?」

「実家に帰省するんですが、一緒に来ていただけませんか?」

「えっ...」

美咲の心臓が大きく跳ねる。


「もちろん、無理強いはしませんが...」

「...はい」

思わず即答してしまった自分に、少し照れくさくなる。

「ありがとうございます」

山田の目が輝く。

「これからも、よろしくお願いします」

「私こそ、よろしくお願いします」


カフェを出ると、夕暮れの空が美しく染まっていた。

「駅まで送ります」

「ありがとうございます」


二人の影が、夕日に長く伸びていく。

美咲は、これからの日々に胸を膨らませながら、

今日という日を静かに終えていった。


(続く)

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