第7話「カフェでの告白」
土曜日の午後、美咲は駅前で山田を待っていた。
「お待たせしました」
颯爽と現れた山田は、いつもとは違うカジュアルな装いだった。
「いえ、私も今来たところです」
新しくオープンしたカフェは、駅から少し離れた静かな場所にあった。
「ここ、雰囲気がいいですね」
「ええ。本を読むのにぴったりな場所だと思って...」
山田の言葉に、美咲は胸が熱くなる。
窓際の席に案内され、二人はメニューを開く。
「何にしますか?」
「そうですね...」
美咲は少し迷う。
「ここのスペシャルブレンドがおすすめですよ」
「では、それをお願いします」
コーヒーが運ばれてくるまでの間、二人は最近読んだ本の話で盛り上がる。
「実は、佐藤さんが担当している作家さんの本、全部読んでるんです」
「えっ、そうなんですか?」
「ええ。佐藤さんの選ぶ本は、どれも面白いですから」
コーヒーが運ばれてきた。
「美味しい...」
「良かったです」
山田の目が優しく微笑む。
「ところで...」
山田が少し言葉を濁す。
「はい?」
「実は、今日は一つお願いがあるんです」
「お願い...ですか?」
「佐藤さんと、もっと親しくなりたいと思っていて...」
美咲の心臓が大きく跳ねる。
「もし良ければ、付き合っていただけませんか?」
「...はい」
思わず即答してしまった自分に、少し照れくさくなる。
「ありがとうございます」
山田の目が輝く。
「これからも、よろしくお願いします」
「私こそ、よろしくお願いします」
カフェを出ると、夕暮れの空が美しく染まっていた。
「駅まで送ります」
「ありがとうございます」
二人の影が、夕日に長く伸びていく。
美咲は、これからの日々に胸を膨らませながら、
今日という日を静かに終えていった。
(続く)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます