第2話
8月15日の朝、平凡ないつもの日常が始まった。
都市伝説はただの戯言、噂話だ。
僕は魔法使いに成って無いし、つまらない日常にも全く変化が無かった。
「母さん、おはよう」
いつもの様に朝食を摂ろうとテーブルに着くと母さんが不思議そうに僕の顔を覗き込んで来た。
「あんた、昨日おでこに落書きしたまま寝たの?」
「何言ってるんだよ? そんな事する理由無いだろう?」
「でもさ… アンタのおでこに写真の写って漢字が書かれてるんだよ。顔を洗って落として来なよ」
「ハイハイ、分かったよ母さん」
きっとコレは母さんの下らないドッキリだ。
そう考えた僕は出来るだけ平静を装い洗面所に向う。
洗面所の鏡に写る僕の額には確かに何か文字が書いてある。
鏡越しだから文字は逆さまだが多分母さんが言う様に写真の写という文字みたいだ。
「全く… 子供じゃないんだからこんな下らないイタズラするなよ!」
僕は洗顔剤をつけて一生懸命ゴシゴシ擦った。
でも落ちない。
母さんのアイシャドーを落とすヤツを使ってゴシゴシやったけど全く落ちない。
まるで入れ墨でもしてるみたいだ。
「何だコレ? まさかこのまま生活するのか? 母さん、こんなくだらないイタズラしていないでコレ落としてよ!」
「知らないわよ! 翔が自分で書いたんじゃないの?」
僕は鏡を見ながらイライラした気持ちを抑えて額を擦った。
少し額の皮が剥けてズキズキしてきたが写の文字は消える事がなかった。
どうやって消そうか困っていたらテーブルに置いていたスマホが鳴った。
『今から会えない?』
幼なじみで最近つきあい出した彩からのLineだった。
『今、チョットたてこんでて忙しいんだけど…』
『そんな事いいからはやく来て』
全く他人の都合なんかお構い無しの身勝手な女だ。
僕にだって都合というものがある。
『この写という文字を額に付けたまま外室しろ』
というのか?
返信をどうしようか困っていたら、彩から電話がかかって来た。
「ねえ私、変なの。私… どうしたらいいか分からないの。お願い、はやく来て」
彩は泣いてるみたいにしゃくり上げていた。
事情は分からないが彩の泣き声を聞いて彩に何事かあったのを察した。
僕はキャップを目深に被り彩の家に向かった。
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